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ラット慢性骨盤虚血モデルにおける低出力衝撃波の有効性の確認と、過活動膀胱治療メカニズムの解明

木村, 信吾 東北大学

2023.03.24

概要

博⼠論⽂

ラット慢性⾻盤虚⾎モデルにおける
低出⼒衝撃波の有効性の確認と、
過活動膀胱治療メカニズムの解明

東北⼤学⼤学院医学系研究科医科学専攻
外科病態学講座泌尿器科学分野
⽊村

信吾

⽬次
略語
1.

要約...............................................................................................................3

2.

研究背景........................................................................................................5

3.

研究⽬的........................................................................................................7

4.

研究⽅法........................................................................................................8

5.

研究結果.......................................................................................................19

6.

考察..............................................................................................................23

7.

結論..............................................................................................................27

8.

謝辞..............................................................................................................27

9.

参考⽂献.......................................................................................................28

10. 図の説明.......................................................................................................35
11. 図..................................................................................................................43
12. 表..................................................................................................................64

1

略語

AI,arterial injury(⾎管内⽪障害)
CD31,cluster of differentiation 31
cGMP,cyclic guanosine monophosphate(環状グアノシン⼀リン酸)
eNOS,endothelial nitric oxide synthase(内⽪型⼀酸化窒素合成酵素)
HE,Hematoxylin-Eosin(ヘマトキシリン-エオジン)
HUVEC,Human umbilical vein endothelial cells(ヒト臍帯静脈内⽪細胞)
MT,Massonʼs Trichrome (マッソントリクローム)
NO,nitric oxide(⼀酸化窒素)
PDE,phosphodiesterase(フォスフォジエステラーゼ)
sGC,soluble guanylate cyclase(可溶性グアニル酸シクラーゼ)
SD,Sprague-Dawley
VEGF,vascular endothelial growth factor(⾎管内⽪増殖因⼦)

2

1.要約

【背景】過活動膀胱は尿意切迫感(急に起こる、我慢できないような強い尿意)を必
須とした症状症候群であるが、その発症メカニズムとして⽣活習慣病による慢性⾻盤
虚⾎が⼀つの素因と考えられている。低出⼒衝撃波は⾎管新⽣など⽣体に様々な影響
を与えることが知られており、近年多領域で臨床応⽤されている。低出⼒衝撃波の⽣
物学的影響が、 慢性⾻盤虚⾎による過活動膀胱の治療的効果があるのではないかと
仮説を⽴てた。
【⽬的】ラット慢性⾻盤虚⾎モデルの過活動膀胱症状に対する低出⼒衝撃波治療の有
効性を確認すること、治療メカニズムを解明することを⽬的とした。
【⽅法】16 週雄性 SD ラットを 3 群に分けた(各 n=8)。両側総腸⾻動脈の内⽪を擦
過し⾎管内⽪障害(arterial injury、AI)を⽣じさせ脂肪⾷を与えた群を AI 群、AI 施
⾏後 4 週から週 1 回ずつ 4 週にわたり下腹部に低出⼒衝撃波(0.25 mJ/mm2、1800
発、3Hz)を照射した群を AI-SW 群とした。24 週齢(AI 施⾏後 8 週)に膀胱瘻を造
設し、3 ⽇後に覚醒下膀胱内圧測定を⾏った。膀胱瘻造設を⾏わないラットの膀胱を
採取し分⼦⽣物学的・組織学的評価を⾏った。
【結果】AI 群では Control 群と⽐較して1回排尿量、排尿間隔が有意に減少した⼀
⽅、AI-SW では AI 群と⽐較して有意な増加を認めた。レーザー⾎流計を⽤いた膀胱
⾎流/動脈圧⽐は膀胱に 0,0.5,1.0 ml ⽣⾷注⼊した 3 点で AI-SW 群が AI 群より⾼
値であった。マイクロアレイ解析では AI 群に対して AI-SW 群で可溶性グアニル酸シ

3

クラーゼ(soluble guanylate cyclase,sGC)α1・β1 の⾼発現を認めた。PCR・Western
blotting では、AI 群に対し AI-SW 群・Control 群において sGCα1・sGCβ1 の有意
な上昇を認めた。更に環状グアノシン⼀リン酸(cyclic guanosine monophosphate,
cGMP)アッセイでは AI 群に対して AI-SW 群で有意な上昇を認めた。また LESW 照
射 24 時間後(AI 施⾏後 4 週)の PCR にて AI-SW 群で⾎管内⽪増殖因⼦(vascular
endothelial growth factor,VEGF)および cluster of differentiation 31(CD31)の遺
伝⼦⾼発現を認めた。膀胱の組織学的評価では、AI 群の粘膜固有層において CD31 に
よる⾎管密度の低下を認めた⼀⽅で、AI-SW 群では同部位の⾎管密度の上昇を認め
た。また、粘膜固有層上層には sGCα1・sGCβ1 の発現を認めた。
【考察】低出⼒衝撃波は機械刺激センサーを刺激すると考えられており、VEGF や
endothelial nitric oxide synthase(eNOS)を介して⼀酸化窒素(NO)を活性化するこ
とが知られている。⼀⽅で NO の細胞内受容体である sGC は虚⾎下で減衰し、下部
尿路症状に関与すると考えられている。本研究における治療メカニズムとして、
①VEGF を介した⾎管新⽣や eNOS 活性に伴う sGC-cGMP の上昇により膀胱⾎流が
上昇し、治療モデルで⾎流が回復し慢性虚⾎による過活動膀胱に進⾏しなかった可能
性、②cGMP 活性による知覚神経刺激の抑制による頻尿症状の改善の可能性が考えら
れた。
【結論】本研究では低出⼒衝撃波が過活動膀胱の新たな治療選択肢となる可能性が⽰
唆された。しかし、その治療メカニズムはまだ⼗分に解明されておらず、今後の更な
4

る研究が望まれる。

2.研究背景

過活動膀胱とは、尿意切迫感(急に起こる、我慢できないような強い尿意)を
必須とした症状症候群と定義される。通常、頻尿や夜間頻尿、切迫性尿失禁などの膀
胱蓄尿症状を伴い、⽣活の質(Quality of Life)を著しく低下させる疾患である 1)。過
活動膀胱の有病率は加齢とともに上昇し、40 歳以上の⽇本⼈の 12.4%=1000 万⼈に
有すると⾒積もられている(図 1)2)。
過活動膀胱の発症メカニズムとして、解剖学的素因から4つに分類すること
ができる(図 2)3):1)排尿筋由来(膀胱局所に起こる⾃発収縮による Aδ線維神経
の活性化が尿意切迫感を起こす)、2)粘膜由来(尿路上⽪/粘膜固有層からの刺激因
⼦が増加し、膀胱知覚神経 C 線維が活性化され過活動膀胱の発症に⾄る)、3)尿道
由来(尿道刺激による排尿反射が誘発される)、4)中枢神経由来(上位ニューロンの
排尿反射への抑制が障害されると排尿筋過活動が誘発される)。
過活動膀胱発症の病態学的素因として、メタボリック症候群に伴う動脈硬化
が近年注⽬されている

4)5)

。図 3 に⽰すように⽣活習慣病に伴う動脈硬化は慢性⾻盤

虚⾎をきたし、酸化ストレス・炎症性サイトカインの上昇(慢性炎症)や内⽪障害に
よりその下流で膀胱刺激因⼦の上昇や粘膜障害や筋層におけるコラーゲン沈着など
の組織学的変化や神経障害が⽣じ、膀胱知覚神経(求⼼路)の亢進、膀胱壁内の除神
5

経により頻尿をきたすと考えられている 6)。
これまで過活動膀胱の治療薬として、抗コリン剤やβ3 アゴニストが⽤いら
れてきた 1)。抗コリン剤は膀胱のムスカリン受容体に拮抗し排尿筋の不随意収縮を抑
制することでその症状を抑える。β3 アゴニストは膀胱のβ3 受容体に作動し排尿筋
を弛緩させる。また、Phosphodiesterase(PDE)5 阻害剤は環状グアノシン⼀リン酸
(cyclic guanosine monophosphate,cGMP)を上昇させ、尿道平滑筋を弛緩すること
で男性の前⽴腺肥⼤症を伴う下部尿路症状に対する適応があるが、膀胱の知覚神経
(求⼼路)に作⽤し蓄尿症状にも効果があることが知られている

7)8)

。しかし上記の

薬剤で⼗分に改善しない患者も多く存在し、難治性過活動膀胱に対する⾮侵襲的治療
の開発が求められている。そこで、我々は低出⼒衝撃波に注⽬した。
低出⼒衝撃波とは、体外衝撃波結⽯破砕術で⽤いられるエネルギーの 10 分の
1程度のエネルギーに相当し、これまでの研究で⾎管新⽣・抗炎症作⽤・神経再⽣促
進・細胞増殖・細胞膜透過性変化など様々な⽣物学的変化をもたらすことが⽰されて
きた 9)。特に、動物実験では⾎管内⽪増殖因⼦(vascular endothelial growth factor,
VEGF)や⾎管内⽪細胞に発現し内⽪細胞間をつなぐ接着分⼦である cluster of
differentiation 31(CD31)を介した⾎管新⽣に伴う機能改善が多く報告されている
10)11)12)13)14)

。実際に低出⼒衝撃波は循環器領域 15)16)、整形外科領域 17)等幅広く臨床応

⽤されており、泌尿器科領域では勃起障害での効果が⽰されている 18)。我々は、低出
⼒衝撃波のもつ⽣物学的効果(⾎管新⽣・抗炎症作⽤・神経再⽣促進)が、慢性⾻盤
6

虚⾎のもたらす素因(慢性炎症・内⽪障害・神経障害)に作⽤し過活動膀胱症状が改
善するのではないかと仮説を⽴てた。
そこで、ラットの総腸⾻動脈の⾎管内⽪を擦過(Arterial injury,AI)し、⾼
コレステロール⾷を与えることで頻尿をきたすラット慢性⾻盤虚⾎モデルを⽤い、排
尿症状における低出⼒衝撃波の有効性の確認と治療メカニズムの解明を⾏うことと
した。

3.研究⽬的

ラット慢性⾻盤虚⾎モデルの過活動膀胱症状に対する低出⼒衝撃波の有効性
を確認すること、治療メカニズムを解明することを⽬的とした。

7

4.研究⽅法
4.1.動物

本動物実験は、動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(2006 年 6 ⽉ 1


⽇本学術会議)に従い、東北⼤学動物実験委員会の承認(2017 医動-185)を得て

⾏った。16 週齢(500-570 g)の雄性 Sprague-Dawley(SD)ラット 24 匹を 8 匹ずつ
病態モデル(AI 群)、治療群(AI-SW 群)および Control 群の 3 群にランダムに振り
分け、24 週齢で膀胱瘻を造設し排尿観察・覚醒下膀胱内圧測定、膀胱⾎流測定およ
び総腸⾻動脈の組織学的評価を⾏った(図 4)。AI および AI-SW モデルは 2 匹 1 組と
して1つのケージで飼育した。また別の 48 匹は膀胱を採取するために使⽤した。AI
群、AI-SW 群、Control 群の各群 5 匹は 20 週齢(早期評価モデル)で、各群 7 匹は
24 週齢(後期評価モデル)で分⼦⽣物学的評価を⾏った。ほかに各群 4 匹ずつを 24
週齢で安楽死させ膀胱組織学的評価に⽤いた(膀胱組織学的評価モデル)。ラットは
室温 23℃、12 時間おきの明暗のある環境下で飼育した。あらゆる処置に対して苦痛
を最⼩限にするよう努め、安楽死はイソフルラン⿇酔下で KCL(4 mol/L)にて施⾏
した。

4.2.病態モデル(AI 群・AI-SW 群)作成

本研究で⽤いたラット慢性⾻盤虚⾎モデルは、両側総腸⾻動脈擦過と⾼脂肪
⾷によって慢性⾻盤虚⾎を惹起し過活動膀胱をきたすというモデルであるが、2012
8

年に野宮らが報告して以降
19)20)21)22)

6)

、様々な過活動膀胱治療の動物実験で⽤いられてきた

。前述の野宮らの⽅法に基づき、16 週齢の SD ラットを 3%イソフルラン

(Pfizer Inc,New York,NY,USA)⿇酔下に動脈擦過を施した。動脈擦過は、両側
⼤腿動脈より中枢に向かって 2Fr Fogarty カテーテル(E-060-2F; Edwards Lifesciences
LLC,Irvine,CA,USA)を挿⼊し、0.75 ml の空気を inflation して合計 20 回カテー
テルを徒⼿的に前後操作して⾏った。カテーテル抜去後は遠位部動脈を結紮し、⽪膚
を縫合して飼育ケージに戻し動脈擦過後より 2%コレステロール⾷を開始しした。⼀
⽅で、Control 群では動脈擦過を⾏わず、通常⾷(0.09%コレステロール含有)を与え
た。

4.3.衝撃波治療

AI-SW モデルおよびペアとして飼育した AI モデルに同時にイソフルラン⿇
酔をかけ、両モデルの下腹部に剃⽑を施した。AI-SW モデルにおいて動脈擦過施⾏の
4週後より週1回×4回にわたり衝撃波照射を⾏った(図 5)。衝撃波装置は
DUOLITH SD1(Storz Medical,Tägerwilen,Switzerland)を⽤い、限局型のハンド
ピース(焦点距離 10 mm 程度)を下腹部にあて、1 回あたり 1800 発(3Hz)の照射
を⾏った。出⼒は、過去の⽂献

10)

で最も⾎管新⽣が誘導されやすいとされる total

energy reflux density 0.25 mJ/mm2 (positive energy flux density 0.1 mJ/mm2 に相当)
とした。
9

4.4.⽣理学的評価

動脈擦過後8週(低出⼒衝撃波照射開始から4週後)の 24 週齢で膀胱瘻を造
設し、3 ⽇後に⽣理学的評価として覚醒下膀胱内圧測定・排尿観察と膀胱⾎流測定を
⾏い、安楽死させた後に総腸⾻動脈の組織学的評価を⾏った。

4.4.1.

膀胱瘻造設

24 週齢に、イソフルランによる全⾝⿇酔下に膀胱瘻を造設した。下腹部正中
に 8 mm ほどの⼩切開をおいて膀胱を露出し、PE-50 Polyethylene Tubing(Beckton,
Dickinson and Company,Franklin Lakes,NJ,USA)を膀胱頂部より挿⼊して固定し
た。P-E 50 の遠位側は⽪下を介して後頚部⽪下に固定し、下腹部は縫合して飼育ケー
ジに戻して 3 ⽇間待機した。

4.4.2.覚醒下膀胱内圧測定・排尿観察

膀胱瘻作成 3 ⽇後にラットを実験室に移動し、代謝ケージ内で 30 分の順化時
間をおいた後に膀胱内圧測定・排尿観察を⾏った(図 6)。膀胱瘻カテーテルは三⽅活
栓を介して圧トランスデューサー(DX-100,⽇本光電,東京)とシリンジポンプ(TE331,テルモ,東京)に接続した。圧トランスデューサーはアンプ(AP-601G,⽇本光
電)を介してアナログ・デジタル変換器(PowerLab 8/35,ADInstruments,Colorado
10

Springs,CO,USA)に接続し、膀胱内圧測定と尿量測定を同時に⾏った。シリンジ
ポンプから 0.1 ml/min の速度で⽣理⾷塩⽔を緩徐に膀胱内へ持続注⼊し、膀胱内圧
と排尿パターンが⼗分に安定してから 90 分間のモニタリングを⾏った。パラメータ
ーとして観察期間内の平均排尿間隔(分)、平均 1 回排尿量(g)、残尿量(ml)を測
定した。

4.4.3.膀胱⾎流測定

排尿観察に続いて膀胱⾎流測定を⾏った。⿇酔下に膀胱を露出し、⽣理⾷塩
⽔を 0.1 ml/min の速度で緩徐に注⼊しながら 0,0.5,1.0 ml の 3 点で⾎流測定を⾏
った(図 7)。⾎流はレーザー⾎流測定器 OMEGAZONE(Omegawave,東京)を⽤
い、背側臓器の⾎流に影響しないよう膀胱背⾯に綿シートをおき、⾃然光を遮断した
環境で⾏った。⾎流は膀胱前壁を測定し、接線⽅向となる側壁や、カテーテル固定部
は避けた。また測定器メーカーの推奨に従い、⾎流測定値を動脈圧で除した値で⽐較
を⾏った。動脈圧は左内頚動脈より PE-50 を挿⼊し、膀胱に⽣理⾷塩⽔を 0,0.5,
1.0 ml 注⼊した 3 点でそれぞれ測定した。

4.4.4.総腸⾻動脈組織学的評価

⾎流測定終了後にラットを安楽死させ、両側総腸⾻動脈を採取した。採取し
た動脈は 4%パラホルムアルデヒドに固定し、翌⽇にパラフィン包埋を施し、4℃で保
11

存した。総腸⾻動脈は分岐部より 5 mm のレベルで 5 µm で環状にスライスし、
Hematoxylin-Eosin(HE)染⾊と Massonʼs Trichrome(MT)染⾊にて染⾊した。HE
染⾊はマイヤーヘマトキシリン(武藤化学,東京)とエオシン Y(武藤化学)を⽤い
ておこなった。MT 染⾊は、染⾊ Kit(Scy Tek Laboratories,Logan,UT,USA)を
⽤いて⾏った。顕微鏡はオールインワン蛍光顕微鏡 BZ-9000(Keyence,⼤阪)を⽤
いて対物レンズ×10 にて観察を⾏った。HE 染⾊において、左右総腸⾻動脈の対⾓線
上 4 ⽅向の動脈壁の厚み(µm)を測定し、平均値の群間⽐較を⾏った。

4.5.分⼦⽣物学的評価

⾮⽣理実験モデル⽤ラットを各群 7 匹ずつ準備し、24 週齢で安楽死させて膀
胱を採取した(後期評価モデル・図 4)。更に、治療早期の遺伝⼦誘導をみるため、低
出⼒衝撃波照射 24 時間後と、週齢(AI 施⾏後 4 週=20 週齢)を合わせた各群 5 匹
ずつ作成し、膀胱を採取した(早期評価モデル)
。膀胱は縦に分割し、蛋⽩抽出⽤組織
は液体窒素で急速凍結した後に-80℃で冷凍保存し、RNA 抽出⽤組織は RNA save
(Biological Industries,Beit Haemek,Israel)に 1 ⽇浸透させた後に-80℃で冷凍保
存した。

4.5.1.Total RNA 抽出

解凍した膀胱組織 50-100 mg を TissueLyser Ⅱ(QIAGEN,Hilden,Germany)
12

にいれ、ホモジェナイザーで 20Hz×10 分間破砕した。RNeasy Mini Kit(QIAGEN)
を⽤い、プロトコルに従い Total RNA を抽出した。抽出した RNA は NanoDrop
spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific Inc.,Waltham,MA,USA)で測定し、
波⻑ 260/280 ⽐は 1.9 から 2.1 を採⽤した。

4.5.2.マイクロアレイ解析

後期評価モデルより抽出した total RNA のうち、AI-SW 群・AI 群の各 4 匹ず
つの検体を Macrogen 社(Seoul,Korea)に送付しマイクロアレイ解析の委託検査を
⾏った。Macrogen 社の Quality check ののち、Affymetrix Clariom™ S Assay,rat
(Thermo Fisher Scientific)による解析を実施し、得られたデータは Affymetrix
Transcriptome Analysis Console software で⾏った。得られたデータのうち、fold
change > 1.5 または < -1.5 かつ P-value < 0.05 を有意とした。

4.5.3.Real-time PCR

抽出した total RNA の 1000 ng を⽤い、iScript™ cDNA Synthesis Kit(BIORAD Laboratories Inc.,Hercules,CA,USA)を⽤いて増幅した。SYBR Premix Ex
Taq™ II (タカラバイオ,滋賀) を⽤い、Thermal Cycler Dice Real Time System Ⅱ
(タカラバイオ) で定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(real-time polymerase
chain reaction: real-time PCR)を 40 サイクルで⾏った。内在性コントロールとして
13

β-actin を⽤い、ΔΔCt 法を⽤いて算出した。以下に⽤いたプライマーの塩基配列を
⽰す。 ...

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