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書き出し

行いがちな過剰窒素施肥:葉や茎は元気になっても収量が増えなければ意味がない

谷 昌幸 帯広畜産大学

2020.07.13

概要

行いがちな過剰窒素施肥:葉や茎は元気になっても
収量が増えなければ意味がない
著者
雑誌名


ページ
発行年
URL

谷 昌幸
ニューカントリー
67
7
56-57
2020-07
http://id.nii.ac.jp/1588/00004652/

とを説明した。必要に応じ

土壌診 断で使われているこ

水抽出性窒素が、 北海道の

い窒素も含めて評価する熱

ら無機化される可能性が高

可給態窒素について、土か

前回は土の中に含まれる

動を維持できない。

質がなければ生物は生命活

素で、多種多様なタンパク

はタンパク質を構成する元

号で説明したように、窒素

分である。2020年4 月

育には絶対に欠かせない養

中で最も重要で、作物の生

と実践されていない。

当たり前だが、これが意外

要である。言 われてみれば

品質が保証されることが重

窒素施 肥は過 剰気味

現実 に は 多 く の 圃 場 で

十勝と上川の普通畑にお
ける窒素施肥の過不 足の実
態を調べると、 初年3月号

で説明したりン酸施肥と同

作物の生育は吸収できる

給される無機態窒素(可 給

用できる窒素は、土から供
。 例 えば、 十 勝 の
(図 1)

している現状が見えてくる

くの生産者が過剰な施肥を

様に、いずれの地域でも多

はもちろん重要だが、つい
窒素の量によって大きく変
態窒素)と、化学肥料や有

作物が土から吸収して利

減ら す のは 難 し い

後 で増 やす のは簡 単

て窒素を適切に施肥するの
過剰な窒素施肥を行ってい

化 す る。 窒 素 が 不 足す る

は刊 バ当 た り 6 キロdフ
であ

るのが現状である。今回は

土から供給される無機態

る。土の熱水抽出性窒素が

火山性士で馬鈴しょを栽培

素であるクロロフ ィルが少
窒素は土の有機物量、微生
土1004当たり 314ミリ

する場 合、窒素の施肥標準

なくなるので、葉色が緑か
物による無機化を支配する
d7
であれば施肥標準 通りの

窒素(施肥窒素)である。

ら黄へと変化する。一方、
土の中の酸素濃度、 温度、

窒素施肥、それ以上であれ

機質肥料により施肥された

窒素が過剰だと、葉や茎が

水分含量など、さまざまな
ば窒素施肥を日 バ当たり4

と、葉や茎の生育が滞ると

必要以上に生育する過繁茂
環境要因によって変化する

に減らしたり、少
dフ
15キロ

ともに、光合成に必要な色

となり、せっかく光合成で

ため、どれだけの窒素がい
に増やしたりする施肥対応

なければ窒素施肥を7J4

題について解説する。

つくり出したエネルギーを
ントロール)することは難

つ供給されるかを制御(コ

過剰な窒素施肥の実態と課

どん どん 与 え れ ば

葉 や 茎 は 生 い茂 る が
窒素は作物の必須元素の

てしまうとともに、クロロ

無駄な呼吸によって消費し

をどんどん与えることで葉

てたいだけであれば、窒素

植物をとにかく大きく育

が濃緑となる。

フ ィルが多くなるので葉色

る。ただし、少なめに施肥

意 味で は 制 御が 可能 であ

志で変えられるので、ある

いつ施用するかを人間の意

いては、どれくらいの量を

しい。一方、施肥窒素につ

奨されている窒素施肥量に

に施肥標準 や施肥対応で推

を し て い る(図 1)
。さ ら

の生産者が過剰な窒素施肥

割以上、上川では8割以上

しかし実際は、十勝で 6

が推奨されている。

や茎が生い茂って大きくな

して不 足するようなら増や

に培土して、慣行的に防除

る。 し か し、 作 物 の 場 合

(図 3)
。 茎 長 は 標準 区 の

や除 草 を 行 っ た だ け で あ

対し、どれくらい過剰かを

調べるため、 同年に帯広畜

叩弓げに対して倍量区で白

る。圃場 の土壌を調べたと

すことは比較的簡単だが、

産大学の実験圃場 で「トヨ
井J
M と長く、葉色の濃さを

ころ、有効態リン酸は土 1

は、食べる部分(可食部)

6キロ
dフ
以上の生産者も十勝

シロ」の小規模栽培試験を

不すSPAD値は標準 区で

004当たりロミリ
グラ
で基準

ザの過剰が最も多く、
6キロ

で2割、上川では3割であ
行 っ た。 窒 素 以 外 の リ ン

内(叩 1初 )、 塩 基飽 和 度

調べると、 同バ当たり21

る(図 2)
。 6キロ
dフ
以上の

酸、カリ、 苦土は施肥標準

お、倍量区で鈎だった。つ
まり窒素を倍量施用するこ

も侃 % で 基 準 内 (ω 1

多めに施肥して後から減ら

過剰ということは、十勝で
通りとし、窒素を施肥標準

とにより茎は伸び 、葉は生

すのは難しい。

あれば施肥標準 の2倍に当

の叩 バ当たり6J4 施用し
い茂り、かつ葉色は濃いな

保されることや、その味や

たるロJ4 以上の窒素を施
た標準 区、2倍の口Jdフ


が十分に生育して収量が確

肥していることになる。ち
なみに調査を行った170
ど、 一見すると生育が 良

m)。 あ え て言 う な ら ば、
余計なものは入れず、不 足

用した倍量区を比べてみ

するものは入れるという肥

H

地点で最も窒素施肥量が多
さそう に見える。

である。

多く 与えるのは勘違 い


元 気 が な い か ら 」と

培管理を徹底しているだけ

しかし、実際に収穫した
塊茎の収量を比べると、標

H



を採取し、その大きさや重

開花期 に地上部の葉と茎

かった圃場 は叩 バ当たり幻

J4 だった。
馬鈴 し ょ に 倍 の 施 肥
さを比べると、倍量区は標

準 区 は 叩 バ当 た り 4 ・7
トン
、倍量区は4 ・6トン
で、

窒 素を多め に施肥す る
を作物自身の生育のために

準 区より明らかに地上部が

と、どの作物も基本 的には

意味する。さらに葉や茎が

窒素施肥による差がないと

良く反応して葉や茎が大き
くなり、葉色も濃くなるた

大きくなれば、その分だけ

生い茂り、その新鮮重は標

かに少ないという結果だっ

め、 一見すると元気な作物

呼吸をしてエネルギーを多

窒素施肥量が馬鈴しょの

た(図 3)
。 馬 鈴 し ょ の場

に見える。播種や移植をし

量に消費してしまうことに

いうよりは、倍量区でわず

のは塊茎で、 決して葉や茎
ではない。窒素を多く施肥

た後も早く大きく育って畝

7 トン
の収量はそれなりに良

菜にとって、大き過ぎる地
上 部 は本 当 に 必 要 だ ろ う

し、 塊 茎 を 収 穫 す る 馬 鈴
しょや、根を収穫するてん

がないからと窒素を多く与

してため込む。作物の元気

使ってしまっていることを

して地上部の葉や茎を大き

い結果である。何か特別な
ことをしたわけではなく、



播種し、播種後に硫酸カル
シウムを表面施用し、普通

酸、カリ、 苦土を施肥して

なることは、せっかく光合
成でつくり出した炭水化物

地上部の葉や茎が大きく

に消費して見掛けが元気に
なるだけなのである。 図

えると、エネルギーを余計

自分のために使い、余った
エネルギーをでん粉や糖と

ギーに変換し、その一部を

施肥標準 通りに窒素、リン

ちなみに叩 バ当たり4 ・

ければ何の意味もない。

合、一言うまでもなく食べる

く育てても、塊茎が増えな

なる。作物は光合成によっ
て光エネルギーを熱エネル

準 区 の約 1 ・2 倍、だっ た

塊茎 収 量 は 変 わ ら ず

56

標準区

ー 2020.

7
※パ ー の横の数字は標準区を100としたときの相対値を示す

98
倍量区

6
4

2
2

3

4



塊茎収量(t/lOa)

聞をふさいでいくので、雑
草も生えにくくなる。しか

生育や収量に及ぼす影響を

40

ニュ ー カントリ
2020. 7


過剰窒素施肥量(kg/lOa)
過剰窒素施肥量(kg/lOa)

<2 2 6 6-10 >10


<2 2-6 6-10 >10



ニュ ー カントリ

57

� 20

忽 20

地上茎新鮮重(t/lOa)

昌幸


40



たに まさゆき
1995年筑波大学大学院農学研究科
修了。 博士(農学)。 同年帯広畜
産大学畜産学部助手、 2003年同大
助教授、 15年から現職。 1968年大
阪市生まれ。


上川地域(80地点)
80
割60
十勝地域(90地点)

過剰

2018年度に帯広畜産大学実験圃場で実施した窒素増
肥試験における地上部新鮮重と塊茎収量

葉や茎は元気になっても収量が増えなければ意味がない
窒素施肥量
窒素施肥量

適正
不足
過剰
適正
不足



図3

帯広畜産大学
グロ ー パルアグロメディシン
研究センタ ー 教授
80
割60

% 20

。 ...

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