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大学・研究所にある論文を検索できる 「右脚ブロックの意義 : 疫学的および3次元スペックルトラッキング心エコー法による検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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右脚ブロックの意義 : 疫学的および3次元スペックルトラッキング心エコー法による検討

中澤, 直美 筑波大学

2021.08.03

概要

目的:
一般住民における右脚ブロックと心血管死亡との関連を明らかにし、心疾患患者の右脚ブロックの結果としての同期不全と心形態や心機能との関連を調査し、右脚ブロックの意義を検討すること

対象と方法:
研究 1:一般住民における右脚ブロックの予後規定因子としての意義を検討するために、茨城県が行うコホート研究 (茨城県健康研究)に含まれる 97,078 人を対象とし て、完全右脚ブロックと心血管死亡との関連を調査した。

研究 2:先天性心疾患や心筋症など様々な背景心疾患も持つ患者 103 例を対象に、3次元スペックルトラッキング心エコー法を用いて、右脚ブロックの程度を QRS 幅によって 3 群に分け、右室容積、右室機能、同期不全との関連を調査した。全患者を先天性心疾患と他の心疾患に分けてサブグループ解析を行い、また完全右脚ブロック患者を同期不全の有無で 2 群に分けてサブグループ解析を行った。

結果:
研究 1:一般住民のコホート研究において、完全右脚ブロックが独立して心血管死亡および不整脈関連死亡のリスク増加と関連した。さらに、サブグループ解析で 65 歳以上の男性と 65 歳未満の女性において、完全右脚ブロックが心血管死亡のリスク増加と関連した。

研究 2:3 次元スペックルトラッキング心エコー法を用いた研究において、完全右脚ブロック群は右室流入部と流出路における有意な収縮遅延を示し、右室拡大と右室収縮能低下を認めた。先天性心疾患と他の心疾患のサブグループ解析において、両群とも完全右脚ブロックは右室拡大と右室収縮能低下と関連していた。完全右脚ブロック内の群別解析において、右室同期不全のある患者は、ない患者よりも右室容積が大きく、右室収縮能が低かった。

考察:
これまでは、無症候者の右脚ブロックは良性と考えられてきたが、本疫学研究により完全右脚ブロックが心血管死亡のリスク増加と関連することが明らかになった。特 に、65 歳以上の高齢男性と 65 歳未満の若年女性で、心血管死亡のリスク増加と関連していた。男性と女性で結果が異なる理由については本研究からは明らかにすることはできないが、一般住民における右脚ブロックも、特に若年女性と高齢男性では注意を要し、心疾患の精査や注意深い経過観察をすべきであると考えられた。

研究 2 の 3 次元スペックルトラッキング心エコー法を用いた検討において、右脚ブロックは、右室拡大のマーカーであるが、サブグループ解析の結果より右脚ブロックの合併だけでなく右室の同期不全そのものが心容積の拡大や心機能悪化に影響している可能性が示唆された。3 次元スペックルトラッキング心エコー法は、右室全体の機械的収縮伝播を評価することができ、QRS パターンの評価よりも有益な情報を与えることができる。

結論:
完全右脚ブロックは一般住民であっても、心血管死亡と関連する非良性所見である。心疾患患者においては、右脚ブロックに伴う右室同期不全が右室の拡大・機能低下と関連した。この結果から、右脚ブロックに対する両心室ペーシング治療が心機能改善に寄与することが期待され、本研究はその基盤となる病態生理の情報をもたらした。

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