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大学・研究所にある論文を検索できる 「An adiponectin paralog protein, CTRP6 decreased the proliferation and invasion activity of oral squamous cell carcinoma cells:possible interaction with laminin receptor pathway」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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An adiponectin paralog protein, CTRP6 decreased the proliferation and invasion activity of oral squamous cell carcinoma cells:possible interaction with laminin receptor pathway

波野, 公香 岐阜大学

2021.03.25

概要

【緒言】
 口腔扁平上皮癌は口腔癌の大部分を占めており,進行性の増殖・浸潤およびリンパ行性転移を伴うことが多いことから5年生存率は 40~60%と,予後不良である。このため,口腔扁平上皮癌患者の予後を改善するために新しい治療アプローチが望まれている。
 アディポネクチンは脂肪組織によって分泌されるホルモンであり,生理学的には抗炎症剤としての役割を果たしているが,近年種々の癌に対して腫瘍抑制因子として機能することが明らかになりつつある。また,そのアディポネクチンのパラログの一つである C1q/tumor necrosis factor–related protein-6(CTRP6)にも腫瘍抑制機能に関する報告がされているが,口腔癌において CTRP6 がどのように機能するのかということは明らかになっていない。本研究では,CTRP6 の口腔扁平上皮癌における生物学的意義を調べるために以下の研究を行った。

【対象と方法】
 ① Bac to Bac Baculovirus 発現系を用いて His タグ付き CTRP6 を生成し, 口腔扁平上皮癌細胞 SAS細胞とヒト赤芽球白血病細胞 K562 細胞を用いて CTRP6-His が結合する分子の発現を蛍光免疫染色および cell analyzer にて評価した。SAS 細胞と K562 細胞において同様の分子の発現を認めたため K562 細胞の expression library を用いて CTRP6-His と結合する分子の cDNA をクローニングした。
 ② ①の結果,37LRP(37laminin receptor precursor)cDNA がコードするタンパク質が単離されたため,37LRP-FLAG cDNA をトランスフェクトしたヒト胎児腎細胞 293FT 細胞の溶解物もしくはコントロール細胞の溶解物と CTRP6-His をインキュベートし,免疫共沈降アッセイを行ったのち western immunoblotting を行い CTRP6-His と 37LRP-FLAG の結合の有無を確認した。
また,高結合プレートを laminin 溶液でコーティングして 37LRP-FLAG cDNA をトランスフェクトした 293FT 細胞の溶解物と CTRP6-His をインキュベートして 37LRP-FLAG と laminin の結合量の変化を測定し,CTRP6-His が 37LRP と laminin の結合を阻害するか検討した。
 ③ 1×104 個の SAS 細胞を CTRP6-His 存在下または非存在下において培養し,72 時間後に生細胞数を比較検討した。また,1×105 個の SAS 細胞を浸潤チャンバーの上部区画に入れて CTRP6-His 存在下または非存在下においてインキュベートし,72 時間後にフィルター下面の細胞数を比較検討した。
 ④ 免疫不全マウスである SCID-Beige (CB17.Cg-PrkdcscidLystbg-J/CrlCrlj)マウスに SAS 細胞を異種移植し, CTRP-His を接種したうえで 3 週間後に投与群と非投与群の腫瘍増殖を比較検討した。

【結果】
 蛍光免疫アッセイにより,CTRP6-His が SAS 細胞の細胞膜表面に発現している分子に結合していることが明らかになり,発現クローニングによって CTRP6-His と結合する分子の同定を試みたところ異なるサイズの cDNA を有する 2 つのクローンが単離された。いずれも 37LRP/67LR cDNA であり,一方は ATG 開始コドンの 54bp 上部領域から,もう一方は 24bp 上部領域からコードした。そこで,CTRP6 が 37LRP と結合していることを確認し,さらに 37LRP に対して競合的に結合することで 37LRP とlamininとの結合を阻害することを明らかにした。
 CTRP6-His を SAS 細胞に添加することで,CTRP6-His は濃度依存性に増殖活性,浸潤活性を有意に抑制した。また,CTRP6-His は SCID-Beige(CB17.Cg-PrkdcscidLystbg-J/CrlCrlj)マウスにおいて,濃度依存性に SAS 細胞の腫瘍形成性を有意に抑制した。

【考察】
 37LRP との間に前駆関係が存在すると考えられている 67LR(67laminin receptor)は基底膜の主成分である laminin に対する非インテグリン細胞表面受容体である。また,67LR は様々な癌で過剰発現していることがわかっており,laminin との相互作用によって癌細胞の細胞接着・遊走・増殖に関与して侵襲性や転移性の可能性を上昇させていると考えられている。今回の研究において,CTRP6 は laminin-laminin receptor の結合を阻害し,さらに口腔扁平上皮癌細胞の増殖・浸潤を抑制することが明らかになったが,おそらく CTRP6 が laminin receptor と結合することで口腔扁平上皮癌細胞と laminin の結合を阻害し,口腔がんの進行を抑制すると考える。以上のことから,67LR と laminin の結合を阻害することは癌の進行を阻止するためのアプローチと考えられ,CTRP6 を用いることで口腔癌の治療に役立つ可能性がある。

【結論】
 内因性物質である CTRP6 は laminin receptor に対するアンタゴニストとして作用することで,口腔扁平上皮癌の進行を抑制する可能性が示唆された。

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