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Outcome Related to Level of Targeted Temperature Management in Postcardiac Arrest Syndrome of Low, Moderate, and High Severities: A Nationwide Multicenter Prospective Registry

錦見, 満曉 名古屋大学

2023.03.23

概要

主論文の要旨

Outcome Related to Level of Targeted Temperature
Management in Postcardiac Arrest Syndrome of Low,
Moderate, and High Severities: A Nationwide
Multicenter Prospective Registry
心肺停止後症候群の重症度に応じた体温管理療法の設定温度が
予後に与える影響: 全国多施設前向きレジストリ解析

名古屋大学大学院医学系研究科
生体管理医学講座

総合医学専攻

救急・集中治療医学分野

(指導:松田 直之
錦見 満曉

教授)

【緒言】
心肺停止後の心拍再開において、健康状態で退院できるか、あるいは昏睡状態や植
物状態として継続診療が必要となるかについて、心肺蘇生の段階で予測しにくい特徴
が あ る 。 現 在 、 救 急 ・ 集 中 治 療 領 域 で 施 行 さ れ る 体 温 管 理 療 法 (target temperature
management: 以下 TTM)は、心肺停止後の脳障害に対して有効性が確認されている治
療である。しかし、国際ガイドラインにおける TTM は、体温 32〜36 度と幅広く目標
体温が設定されており、さらに推奨体温中の設定体温の選択は医師の裁量に任されて
いる。これまでに我々は、心肺停止後の脳障害の重症度スコアを当大学病院などの臨
床研究データを解析することで、rCAST score(revised version of the post-cardiac arrest
syndrome for therapeutic hypothermia score)として開発した。この rCAST score は、心肺
停止患者が心拍再開となった直後から体温管理療法施行までの間で測定可能な 5 つの
評価項目(初期波形、目撃の有無と心拍再開までに要した時間、pH、乳酸値、Glasgow
Coma Scale の motor scale が≥ 2 の有無)(図 1)により構成され、心肺停止後の脳障害の
重症度を評価するために開発されたスコアである。本研究は、心肺蘇生後の TTM の
治療効果は蘇生後脳障害の重症度によって異なる可能性があることに着眼し、心肺停
止後症候群の重症度分類を rCAST score を用いて分類し、重症度に応じた TTM の設定
温度と生命予後との関連を調査することを目的とした。
【対象および方法】
本研究は、一般社団法人日本救急医学会が主導した全国前向き多施設共同レジスト
リーである「院外心肺停止レジストリー」を用いた解析研究である。レジストリーに
登録された症例より、TTM を施行していない症例、18 歳未満の小児、外傷性の心肺停
止、32 度以下の体温管理療法を施行した症例、人工心肺を用いて蘇生された症例、デ
ータ欠損により rCAST score を計算できない症例が除外された。TTM を施行した症例
全体を、rCAST score によって低リスク群(rCAST score < 6.0 点)、中リスク群(rCAST
score 6.0 点~14.5 点)、高リスク群(rCAST score > 15.0 点)の 3 群に分類し、TTM の中
でも体温 32〜34 度の低い体温管理(軽度低体温療法)とした症例群と 35〜36 度の高い
体温管理(平温療法)とした症例群の予後を比較した。主要評価項目は 30 日後の神経
学的予後、副次評価項目は 30 日後の生命予後とし、多変量ロジスティック回帰分析、
プロペンシティスコアマッチング法を用いて評価した。30 日後の神経学的予後は、
CPC(Cerebral Performance Categories)≤ 2 を予後良好と評価した。
【結果】
レジストリーに登録された心肺停止後症候群 10,760 例中、体温管理療法を施行した
症例は 1,817 例であった。18 歳未満の小児症例は 47 例、外傷性の心肺停止症例は 19
例、32 度以下の体温管理療法を施行した症例は 6 例、人工心肺を用いて蘇生された症
例は 474 例、欠損値があり rCAST score を計算できない症例は 160 例であり、これら
が本研究データから除外された。解析対象となった残りの 1,111 例のうち、rCAST で

軽症群と分類されたのは 188 例、中等症と分類されたのは 500 例、重症と分類された
のは 423 例であった。
多変量ロジスティック回帰分析を用いた神経学的予後良好の解析における軽度低体
温 療 法 の オ ッ ズ 比 は 、 軽 症 、 中 等 症 、 重 症 の そ れ ぞ れ で 、 0.38(95%CI 0.12-1.21)、
1.70(1.03-2.83)、0.80(0.34-1.88)であり、また、神経学的予後良好に対する rCAST と
TTM 施行中の設定温度の交互作用は統計学的有意であった(p = 0.03)。rCAST の点数
を連続量ととらえ、rCAST の点数を横軸、軽度低体温療法の治療効果と平温療法の治
療効果の差を縦軸としてスプライン曲線で評価すると、30 日後の神経学的予後に関し
ては上に凸の曲線が描出され、rCAST の中等症群において軽度低体温療法が平温療法
よりも効果的だった。30 日後の生命予後に関しても、同様の凸曲線が描出され、中等
症群から重症群において軽度低体温療法が平温療法よりも効果があると評価さ れた
(図 2)。さらに、rCAST の中等症群に対してプロペンシティスコアマッチング法で低
体温療法の効果を検討した結果、目標体温 33~34 度の軽度低体温療法は 35~36 度の平
温療法と比較して統計学的有意に 30 日後の神経学的予後および生命予後を改善した
(30 日後の神経学的予後に対するオッズ比; 1.70 [95% CI 1.08-2.67]、p = 0.02、30 日後
の生命予後に対するオッズ比; 1.94 [95% CI 1.13-3.34]、p = 0.02)。
【考察】
本研究は日本救急医学会の全国多施設前向きレジストリデータを用いて、心肺停止
後症候群の患者に対して選択される体温 33~34 度の軽度低体温療法の効果を検討した
ものである。体温 33~34 度を目標とした軽度低体温療法の効果は、rCAST score によ
り推定される蘇生後脳障害の程度によって異なり、rCAST score で中等症と分類され
た群において最大に有効となる可能性が示唆された。
心肺停止蘇生後患者を重症度で分けた場合、不可逆的な脳障害が既に生じている最
重症例では、低体温療法を施行しても脳障害が改善する効果は低い可能性がある。一
方で、軽症の心肺停止蘇生後患者に関しては脳障害自体が軽症である可能性があり、
軽度低体温療法を施行の有無に関わらず生命予後が良好となり、同様に低体温療法の
効果が低い可能性がある。本研究結果は、rCAST score における蘇生後脳症の患者にお
ける軽度低体温療法の積極的適応を中等症として推奨する結果であり、脳症の予測が
軽症すぎず、重症すぎず、中等症である場合に低体温療法の効果が最大に期待できる
可能性を示唆した。
【結語】
rCAST score の中等症と分類された群において、軽度低体温療法は平温療法と比較
して優位に心肺停止後症候群の患者の神経学的予後及び生命予後を改善した結果であ
り、rCAST score 中等症と分類された患者群が軽度低体温療法の最適な候補となる可
能性がある。rCAST score 中等症では平温療法ではなく、体温 33~34 度を目標とした
低体温療法を施行した方がよいと結論する。

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