リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「非アルコール性脂肪肝に及ぼす主要栄養素の影響に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

非アルコール性脂肪肝に及ぼす主要栄養素の影響に関する研究

姜, 喆 ZHE, JIANG キョウ, テツ 九州大学

2021.03.24

概要

主要栄養素とは、食事の中で高い割合を占める炭水化物、脂肪及びタンパク質のことである。主要栄養素の摂食比と種類は非アルコール性脂肪肝(NAFL)の発症に影響を与えることが実験動物及びヒトで報告されているが、厳密な摂取条件下で行われていなかった。本論文では、ラットを用いて、肝臓トリアシルグリセロール(TAG)の蓄積に対する主要栄養素の作用をより厳密に検討した。さらに、ヒト血清中の脂肪酸の変化とNAFLの関係も検討した。

 高炭水化物食(HCD)と高脂肪食(HFD)において、肝臓TAGの蓄積を促進することが報告されたが、HCDとHFDの肝臓TAG蓄積作用を比較する研究では、エネルギー摂取が異なる場合が多く、肝臓TAG蓄積を誘導する原因は高エネルギー摂取か高栄養素(HCD,HFD)摂取か判別できない。また、脂肪の質量あたりのエネルギーは炭水化物よりも高いため、従来の等エネルギー摂食動物実験では、HCDよりもHFDで他の栄養素(タンパク質、食物繊維、ビタミン及びミネラル)の摂食量が低くなる。他の栄養素との影響を除いて、炭水化物と脂肪の摂食比が肝臓脂肪の蓄積に与える影響を検討するため、本研究では摂食量を調整することにより、等エネルギー、および炭水化物と脂肪以外の栄養素を等量に摂食させる条件を考案した。HCDおよびHFDを摂食させた結果、HCDの摂食はHFDより肝臓TAGが低蓄積であった。また、HFDの摂食は、超低密度リポタンパク質(VLDL)として、血液へのTAG分泌を抑制し、NAFLを誘導することが示唆された。

 低タンパク質食が脂肪肝を誘発することは、従来より研究されている。低タンパク質食摂取では、食餌組成において炭水化物または脂肪の比率が増加するため、肝臓TAGの蓄積に対するタンパク質のみの影響を判別することが困難である。本研究は、上記のHCDおよびHFD摂食実験と同様に、低タンパク質·高炭水化物(LP-HCD)及び低タンパク質·高脂肪(LP-HFD)摂取実験を行った。LP-HCD及びLP-HFD食は同じ程度の肝臓TAGを蓄積させた。従って、低タンパク質食は、炭水化物及び脂肪の摂取とは関係なく肝臓TAGを蓄積させ、従来報告されるように低血清TAG濃度を示し、肝臓VLDLの分泌を阻害すると考えられる。

 さらに、卵白タンパク質(EWP)とその加水分解物(EWH)のNAFLに対する影響をカゼインと比較して検討した。VLDL分泌の抑制がNAFLの重要な原因であることが示されたため、肝臓VLDL分泌を阻害するオロト酸(OA)をラットに摂食させ、NAFLを誘導した。カゼイン摂食と比較して、EWPの摂取により、OA摂取の肝臓TAGが61%減少し、EWHの場合は92%減少した。EWHの摂取はOAに抑制された肝臓VLDLの分泌を制御するミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質の発現を上昇させた。また、VLDLに組み込まれるリン脂質の多価不飽和脂肪酸は、VLDLの分泌に必須であると報告されている。EWHはVLDLにリン脂質を供給する肝臓ミクロソームのリン脂質合成を促進し、リン脂質中の多価不飽和脂肪酸の比率を増加させた。以上のことにより、卵白タンパク質の加水分解物は肝臓からのVLDLの分泌を改善することを示した。

 リン脂質の合成とその脂肪酸組成がVLDLの分泌に関係しているため、20〜68歳の日本人215人を対象に横断研究を行い、NAFLDと血清リン脂質脂肪酸組成との関連性を調べた。超音波エコーによりNAFLと診断された被験者71名において、肝臓リン脂質中の脂肪酸の長鎖不飽化を示す血清リン脂質中のアラキドン酸(ARA)とジホモ-γ-リノレン酸(DGLA)の比はNAFLが罹患していない被験者に比較して有意に低かった。従って、NAFLDに罹患すると、脂肪酸の長鎖不飽化が遅延することが明らかとなった。

 結論として,等エネルギーおよび炭水化物と脂肪以外の栄養素を等量に摂取する条件で、高炭水化物は高脂肪食よりも肝臓TAGの蓄積させない。低タンパク質·高炭水化物の条件で、肝臓脂肪の蓄積を引き起こす主な要因は高炭水化物ではなく、低タンパク質であることが明らかになった。タンパク質の種類において、卵白タンパク質はNAFLを予防すること、さらに、ヒトにおいて血清リン脂質中のARAとDGLAの比から、NAFLDに罹患すると、脂肪酸の長鎖不飽化が遅延することが明らかとなった。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る