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大学・研究所にある論文を検索できる 「トランスクリプトーム解析を用いた日本人クローン病疾患感受性遺伝子の同定」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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トランスクリプトーム解析を用いた日本人クローン病疾患感受性遺伝子の同定

市川 遼 東北大学

2020.03.25

概要

【背景と目的】クローン病 (Crohn’s disease; CD) や潰瘍性大腸炎からなる炎症性腸疾患 (inflammatory bowel disease; IBD) はその発症に遺伝要因と環境因子が関与する多因子疾患である。ゲノムワイド関連解析 (genome wide association study; GWAS) により200以上の領域に疾患感受性があることが確認されているが、その多型と疾患発症のメカニズムが未解明のままである。近年、expression quantitative trait locus (eQTL)解析が数多く行われ、これを活用すれば相関を示す遺伝子多型が、どの遺伝子の発現にどの程度影響しているか予測することが可能となった。本研究では日本人CD患者の病態に関連があると考えられる腸管粘膜固有層単核球 (lamina propria mononuclear cells; LPMCs) のCD4陽性Effector Memory T細胞 (Tem) を採取し、eQTL解析を行い、さらに既存のeQTLデータも活用し、日本人CD発症にかかわる疾患感受性遺伝子の同定を行う。

【対象と方法】先行研究のジェノタイピングデータ (日本人CD患者713例、健常人コントロール2063例) を用いて、新たに線形混合モデル (linear mixed model) によるGWASを行った。日本人IBD患者20例のジャポニカアレイによるジェノタイピングと、腸管切除標本中のLPMCsに存在するTemのRNAシーケンスを行いeQTL解析を行った。さらにGenotype Tissue Expression (GTEx) より全血、Epstein-Barr virus (EBV) 不死化リンパ球、 S状結腸、横行結腸、回腸末端の組織におけるeQTLデータをリファレンスとし、GWASの結果を使用してトランスクリプトームワイド関連解析 (transcriptome-wide association study; TWAS) を行った。

【結果】IBD患者LPMC由来TemのRNAシーケンスによって、32,363遺伝子の発現が確認された。eQTL解析により候補 (p < 1e-04) となる相関が22,632ペア、2,463遺伝子が確認された。この中には、GWASで相関が候補レベル以上を示した多型として6番染色体の19 SNPs が含まれており、腸管のTemにおけるtenascin-XA (TNXA) 遺伝子の発現と有意な相関を示した (PGWAS = 6.34e-09, PeQTL = 3.49e-05) 。TWASではHLA領域の複数の遺伝子発現とCDとの関係を確認したほか、全血でTNFSF15 (FDR = 1.35e-13) 、APOBEC3A (FDR = 6.79e-02) の2遺伝子、 EBV不死化リンパ球でERV3-1 (FDR = 2.20e-02) およびRAP1A (FDR = 9.45e-02) 、横行結腸でNPIPB9 (FDR = 7.66e-02) およびIGLV3-29 (FDR = 9.70e-02) 、S状結腸でZNF713 (FDR = 3.03e-02) 、WDR31 (FDR = 8.07e-02)
が有意に相関を示した。

【結論】日本人IBD患者のLPMC由来TemのeQTLデータが構築された。これに既存のeQTLデータベースとGWASを組み合わせた統合解析により、日本人クローン病の発症にかかわる遺伝子として全血中のTNFSF15の発現がもっとも日本人CDの発症と関連することが示された。

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