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大学・研究所にある論文を検索できる 「日本人炎症性腸疾患患者のメモリーT細胞受容体レパトア解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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日本人炎症性腸疾患患者のメモリーT細胞受容体レパトア解析

中野 健 東北大学

2020.03.25

概要

〈背景〉炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease;IBD)は一部の病原体抗原や食事性抗原が関与していることが考えられ、その免疫反応に重要な役割を果たすものの一つとして、メモリーT 細胞がある。T 細胞受容体(T-Cell Receptor;TCR)は多様な抗原と反応できるように TCR レパトアを構成するため、腸管での何らかの抗原による免疫応答の痕跡が腸管粘膜固有層内の T 細胞の TCR レパトアに認められる可能性がある。一方で IBD は全身性の免疫反応の関与もまた予想されるため、局所だけではなくいわゆる末梢血中の T 細胞のレパトアも重要である可能性がある。

〈目的〉IBD 患者の腸管粘膜固有層および末梢血中のメモリーT細胞のTCRレパトアの変化から IBD の病態を明らかにする。

〈研究方法〉IBD12 例(Ulcerative Colitis;UC 5 例、Crohn’s Disease;CD7 例)の手術標本から炎症部位の腸管粘膜固有層単核球(Lamina Propria Mononuclear Cells; LPMC)を、あわせて末梢血から単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cell;PBMC)を分離した。コントロールとして健常人10人のPBMCを採取した。RNA を逆転写後 Adaptor-ligation PCR(AL-PCR)法を用いすべての TCR遺伝子を増幅、PCR 産物を MiSeq を用いて網羅的解析を行い、検体ごとの TCRα、βの各クローンのリード数および多様性の解析を行った。

〈結果〉IBD 患者における LPMC 中の TCR 多様性は同一患者由来の PBMCと比較するとα・β共に高い傾向を認めた(p=0.054、p=0.051)。PBMC において、IBD 患者の TCR は健常人と比較して TCR-α・β共に有意に多様性が低下していた(p=0.00084、p=0.0013)。IBD のうち CD6 例とUC5 例について LPMC/PBMC で多様性に疾患による違いについて検討したところ、LPMC は TCR-α・βいずれにおいても多様性に疾患による変化はなかったが、PBMC は有意に CD で UC よりもα・β共に多様性が低下していた(p=0.045、p=0.049)。一部に CD/UC に特異的に増加・減少している可能性のある TCR クローンを認めたが、欧米人 IBD で報告されている TCR クローンは認めなかった。同一患者における LPMC と PBMC では共通するクローンが多い傾向にあった。

〈結語〉IBD 患者では健常人に比較して PBMC における TCR クローンの多様性が低下していた。IBD 患者では LPMC と PBMC で同等の多様性であった。CD と UC で特に LPMC においては多様性に大きな違いはないものの、PBMC において CD における多様性の低下が示唆された。より簡便に採取できる PBMC の TCR レパトア解析を継続することで、IBD に特異的なクローンが特定されていく可能性が示唆された。

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