看護専門学校教員の職業キャリア成熟尺度の開発

りとして有用であり，意義ある尺度と考える．

１）岡田昌毅：第 2 章 キャリアの理論．働く人

５．本研究の限界と今後の課題

の心理学，岡田昌毅編，pp42-72，ナカニシヤ

出版，京都，2014.

本尺度の累積寄与率が 48.5％であり，尺度原案

となった職業キャリア成熟の概念を約半数しか説

２）坂柳恒夫：成人キャリア成熟尺度（ACMS）

明できていない状況を示している．看護師のキャ

の信頼性と妥当性の検討．愛知教育大学研究報

リア発達への支援について，水野

24）

は，キャリ

告，（48）教育科学編：115-122，1999．

ア発達の影響要因として，学習機会，患者・家族

３）狩野京子，李志嬉，中島望ほか：看護職者の

との関わり，上司・同僚，役割の付与などを挙げ，

「職業キャリア成熟測定尺度」に関する構成概

看護師のキャリア発達にとって，上司からの助言

念妥当性の検討．岡山県立大学保健福祉学部紀

や承認，組織からの役割付与や学習機会の提供の

要，19（1）：19-29，2012．

有用性を述べていた．本研究においても，尺度原

４）草柳かほる：看護専門学校教員のキャリア形

案では教員養成講習に関する意味づけや学習機会

成に関する文献検討．東京女子医科大学看護学

へのニーズに関する看護教員の学習意欲やキャリ

会誌，6（1）：15-21，2011．

アへのチャレンジ等の質問項目があったが，項目

５）草柳かほる：看護専門学校に働く看護教員の

分析や因子分析の過程で脱落してしまった．これ

キャリアに影響する要因―外的・内的キャリア

には質問の表現や設定に課題が残るものである．

と就業継続意思との関連性―．東京女子医科大

また今回は，看護専門学校の看護教員を対象と

学看護学会誌，9（1）：39-47，2014．

して研究に取り組んだ．今後は，看護系大学教員

６）渋谷美保子，伊勢呂博恵，田中いずみほか：

の職業キャリアの発達に焦点をあて，キャリア発

看護教員の職業キャリア成熟に関する要因の検

達の検討を行うことで，包含性を志向し充実をは

討．日本医学看護学教育学会誌，増刊号：40，

かることができると考える．

2015．

７）比嘉勇人：精神看護学における「精」「神」

− 124 −

看護ケアサイエンス学会誌 第2 0 巻2 号

論考―心理性（メンタリティ）と神気性（私的

17）原井美佳：看護師長アイデンティティに関連

スピリチュアリティ）―，富山大看誌，16（2），

する要因の検討，日本看護管理学会誌，11（2）

97-106．2017.

59-66，2008．

８）田中いずみ：看護専門学校教員における職業

18）入江真理，永井由美子，山川正信：助産師の

キャリア成熟の構造，富山大学看護学会誌 16

職業的アイデンティティの確立に関する研究―

（2）：151-171，2017.

首尾一貫感覚及び自己効力感からみた一考

９）比嘉勇人：文章完成法による spirituality 評

察 ―，大阪教育大学紀要，人文社会科学・自

定 尺 度 の 開 発． 人 間 看 護 学 研 究，3：63-69，

然科学，66：51-59，2018.

19）ミルトン・メイヤロフ著 / 田村真，向野宜之

2006．

10）比嘉勇人：Spirituality 評定尺度の開発とその

訳：ケアの本質 生きることの意味（第 6 刷）．

信頼性・妥当性の検討．日本看護科学学会誌，

22（3）：29-38，2002．

ゆみる出版，東京，1997．

20）布佐真理子，羽山由美子，操華子：看護教育

11）荒木淳子，中原淳，坂本篤郎：仕事に対する

におけるケアリング概念の検討 メイヤロフの

態度と職場環境が個人のキャリア確立に与える

「ケアの本質」をてがかりに，聖路加看護大学

効果―職場の支援的環境と仕事内容の明示

化―，日本教育工学会論文誌 34（4）

：319-329，

紀要，23：16-21，1997.

21）市村美帆：心理測定尺度の概要，質問紙調査

と心理測定尺度，宮本聡介，宇井美代子編，

2011．

12）松尾睦：経験からの学習―プロフェッショナ

ルへの出発―，同文館出版，東京，2006.

pp61-74，サイエンス社，東京，2020.

22）菅原健介：心理尺度の作成方法 心理測定尺

度集Ⅲ，堀洋道監，pp397-408，サイエンス社，

13）松尾睦：職場が生きる人が育つ 経験学習入

門，ダイヤモンド社，東京，2014.

東京，2017.

14）奥林康司，平野光俊：キャリア開発と人事戦

23）串崎真志：こころの支えとはなにか : 心理学

略．中央経済杜，東京，2004.

的 支 え 試 論， 大 阪 大 学 教 育 学 年 報，2：197-

15）岩川直樹：第 5 章 2 節教師におけるメンタリ

ング，日本の教師文化，稲垣忠彦，久冨善彦編，

207，1997.

24）水野暢子：看護中間管理者のキャリア発達過

東京大学出版会，東京，1994

程とそれに関連する要因，日本看護研究学会雑

16）岡本祐子：中年のアイデンティティ危機を

キャリア発達に生かす―個としての自分・かか

わりの中での自分―，明治生命フィナンシュア

ランス研究所調査報 10（4）：15-24, 2002

− 125 −

誌，36（1）：81-92，2013.

看護教員の職業キャリア成熟尺度の開発

Development of an occupational career maturity scale for

nursing school faculties

Izumi TANAKA1), Hayato HIGA2), Keiko YAMADA2), Yoshimichi HATAKEYAMA3)

1）Toyama Prefectural University Faculty of Nursing

2）Psychiatric Nursing Graduate School of Medicine and Pharmaceutical

Science, Toyama University

3）National Hospital Organizaition Hokuriku Hospital

Abstract

Objective: To create an occupational career maturity scale for nursing school faculties and to investigate the

reliability and validity of this scale.

Methods: A draft occupational career maturity scale for nursing faculties composed of 6 factors and 47 items

was created based on data obtained from semi-structured interviews. A survey using this draft scale was then

conducted of 1,478 full-time faculties working at 204 nursing schools that agreed to participate in the study.

The scale was investigated using item analysis, exploratory factor analysis, Cronbach’s alpha, and criterionrelated validity with existing scales.

Results: Survey forms were recovered from 715 faculties and 710 forms contained valid responses. A 3-factor

and 13-item scale was adopted. The three factors were named “support in the workplace,” “competence

as an instructor,” and “interaction with students.” Cronbach’s alpha was .79, which confirmed the internal

consistency. The criterion-related validity was confirmed based on correlations with “Occupational Career” in

the Adult Career Maturity Scale (ACMS) and the Spirituality Rating Scale A (SRS-A). Qualitative analysis of

the content of answers to the Spirituality Rating Scale B (SRS-B) also revealed differences between the high

and low scoring groups for the present scale.

Conclusions: The reliability and validity of the occupational career maturity scale for nursing faculties were

confirmed.

Keywords

nursing school faculties, occupational career maturity, scale development

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