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書き出し

外部刺激応答性を有する複素環蛍光分子の開発とその機能評価

萩原, 隆介 HAGIHARA, Ryusuke ハギハラ, リュウスケ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

外部刺激応答性を有する複素環蛍光分子の開発とそ
の機能評価
萩原, 隆介

https://hdl.handle.net/2324/6787553
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(創薬科学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

(様式5)




:萩原

隆介

論文題名

:外部刺激応答性を有する複素環蛍光分子の開発とその機能評価



:甲

















本研究では、push-pull 型複素環分子の合成及びその機能評価を行った。
1)

2 つのナフチリジン環を有する BNA 誘導体の合成と、外部刺激に応答する発光性機能分子と

しての評価
アミンに対して 2 つの 1,8-ナフチリジン環を有する push-pull 型 BNA 3 誘導体 BNA-H、-Me、
-Ph を合成し、溶液、固体の蛍光特性及び熱、蒸気、機械的刺激による多形間の相転移を解明した。
特に BNA-Ph は複数種類の結晶多形を有することを明らかとし、外部刺激応答においては、MeOH
蒸気の吸脱着によるベイポクロミズム(β ⇔ β’)、加熱相転移(β’⇒α、amorphous⇒α)、
機械的刺激応答(SCL⇒α、α, β’⇒amorphous)を明らかにした。
2)

BNA 誘導体のナノ微粒子を形成による凝集発光増強(AIEE)評価と蛍光共鳴エネルギー移動

(FRET):
BNA7 誘導体 BNA-H、-Me、-Et、-Ph、-Bzl、-BuBr、-BuTEMPO について、AIEE、CIEE、
FRET を含む凝集挙動を明らかにした。水を 60 vol%含む MeOH 溶媒(fw = 60%混合溶液)では,
CIEE 挙動が観察された。一方、fw = 90%混合溶液では、TEMPO を有する化合物を除く全ての 3
級アミンの BNA 誘導体でナノ微粒子形成による AIEE 挙動が観察された。BNA-BuTEMPO の場
合、得られたナノ微粒子は 220 nm の単分散形態を保ち、回転相関時間が 1.3 ns と MRI 造影剤と
して可能性が示唆された。
3)

BNA 誘導体の溶液中における光反応挙動:
BNA6 誘導体 BNA-Me、-Et、-Bzl、-BzlOMe、-BzlNO2、-Ph において溶液中での光照射を追跡

し、光反応物の同定、単離、物性比較、光反応量子収率の算出を行った。BNA-Me はアルコール溶
媒中で脱メチル化が起き、生成収率はアルコール溶媒の求核性と相関が見られた。MeOH 中での光
反応量子収率は Φα-β = 0.03%だった。BNA-Et についても同様にアルコール溶媒中で脱アルキル反
応が起きたが、DMSO 溶媒ではナフチリジン環の転移反応が定量的に起きた(Φα-β = 1.5%)。
BNA-Bzl は各溶媒中でナフチリジン環の転移反応が見られ、その光反応量子収率は MeOH 中で Φα-β
= 1.0%、DMSO 中で Φα-β = 2.4%だった。更に転移速度は置換基により異なった。BNA-Ph は低極
性溶媒である n-hexane 中の光照射で脱ナフチリジン環と分子内環化が起きた。先行研究によりビ
スキノリン誘導体は様々な置換基、溶媒において分子内光環化反応によるカルバゾール体が生成さ
れた一方、環化反応点を窒素で置換した本ビスナフチリジン誘導体は溶媒や置換基に依存した反応
挙動が見られた。
4)

モノナフチリジン環を有する Nap 誘導体の溶液中における光応答性評価と光反応生成物の機

能性評価
Nap 誘導体は、これまでに報告されている中で最も単純な反応系である「ヨウ素+光」で分子内
C-N 環化反応によりベンゾイミダゾール骨格、ピリドイミダゾール骨格を形成した。光反応は電子
求引性基を有する誘導体ほど早く、また分子内環化した BIN 誘導体においても電子求引性基を有す

る誘導体ほど大きな蛍光量子収率を示した。BIN 誘導体について光照射による光増感作用を検討し
たところ、MeOH 溶液中で電子求引性基を有する誘導体ほど ESR シグナルの強度が増大し、光増
感剤としての可能性を示した。また植物病原菌に対する抗菌活性試験を行ったところ、PIN が様々
な病原菌に対し菌糸伸長阻害活性を示し、特に Gaeumannomyces graminis 、Microdochium nivale
は 25 ppm の濃度まで完全に菌糸の伸長を抑制した。このことから新たな殺菌剤候補化合物の可能
性を示した。
5) コンフォメーション及びパッキング支配に応答したキノリン誘導体 TFMAQ-PhOMe の機能性
評価
キノリン誘導体である TFMAQ-PhOMe の機械的刺激応答を検討した。機械的刺激による相転移
の場合、全ての結晶は最終的に 4 つの異性体( syn-syn、syn-anti、anti-syn、anti-anti)の中で熱
力学的に最も安定な異性体である 2α(syn-anti 異性体)に転移した。grinding した 2α(ground 2α)
は室温で数時間放置すると、自発的に 3( anti-syn 異性体)へと変化した。機械的刺激に誘起され
た 2α への相転移は一時的なものであり(速度論的制御過程)、結果として得られる ground 2α は準
安定状態であると言える。一方、加熱によって加速される自発的な自己相転移は、熱力学的に制御
されたプロセスであり、生成する 3 は熱力学的に最も安定な多形に相当すると考えられた。
上記 1~5 項目の検討から、push-pull 型複素環分子の外部刺激応答の機能を明らかにし、1,8-ナ
フチリジン環を有する本開発化合物群における発光マテリアル、センサー、イメージング、DDS、
MRI 造影剤、殺菌剤等への様々な応用性の可能性を示した。
【発表論文】
(1) Hagihara, R.; Harada, N.; Karasawa, S.; Koga, N. Crystalline Transformations of
Dinaphthyridinylamine Derivatives with Alteration of Solid-State Emission in Response to
External Stimuli. CrystEngComm 2015, 17 (46), 8825–8834.
(2) Hagihara, R.; Umeno, T.; Ueki, S.; Yoshihara, D.; Fuchi, Y.; Usui, K.; Sakuma, M.; Yamada,
K.; Karasawa, S. Push–Pull Bisnaphthyridylamine Supramolecular Nanoparticles:
Polarity-Induced Aggregation and Crystallization-Induced Emission Enhancement and
Fluorescence Resonance Energy Transfer. Chem. – A Eur. J. 2021, 27 (9), 3039–3046.
(3) Hagihara, R.; Usui, K.; Karasawa, S. Two-Step Transformation of p-Anisolylaminoquinoline
Derivatives Induced by Conformation- and Packing-Dominated Processes. Dye. Pigment.
2017, 143, 401–408.

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