書き出し
Posterior Pelvic Tilt From Supine to Standing in Patients With Symptomatic Developmental Dysplasia of the Hip
概要
〔目的(Purpose)〕
発育性股関節形成不全(以下DDH)患者では、大腿骨の被覆不足により変形性関節症へ進行する。それを予防するため、大腿骨頭の外側被覆と前方被覆を改善させる目的で寛骨臼骨切術が行われる。DDH患者は前方の被覆不足を改善させるために立位で骨盤を代償性に前傾すると考えられているが報告は少ない。また寛骨臼骨切術後の骨盤傾斜変化についての報告はなく、術後の骨盤傾斜変化は不明である。本研究は、片側の症候性DDH患者の臥位と立位の姿勢による骨盤傾斜の相違を調査し、寛骨臼骨切術によって臥位と立位の骨盤傾斜が変化するか検討した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
寛骨臼骨切術施行した25例25股を対象とし,2D-3Dregistralionを使用し術前CTから術前、術後2年時の臥位、立位のX線画像から骨盤傾斜を測定した。また、術前後の臥位、立位の骨盤傾斜を測定し臥位、立位、各々の骨盤傾斜の差を検討した。
結果:術前、臥位から立位の骨盤傾斜は8.2°後傾していた。術後は、臥位は術前と比較し2.1°後傾していたが、 立位、臥位から立位の変化量は有意差を認めなかった。
〔総括(Conclusion)〕
本研究ではDDH患者は臥位から立位で8°後傾しており、術後被覆が改善してもその動態は維持されていた。このことから骨盤傾斜変化は被覆不全による代償性の変化ではなく、患者固有の動態である可能性が示唆された。