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Gain-of-Function of FGFR3 Accelerates Bone Repair Following Ischemic Osteonecrosis in Juvenile Mice

加藤, 大策 名古屋大学

2023.03.23

概要

主論文の要旨

Gain-of-Function of FGFR3 Accelerates Bone Repair
Following Ischemic Osteonecrosis in Juvenile Mice
FGFR3シグナルは、若年マウスの虚血性骨壊死後の骨修復を促進する

名古屋大学大学院医学系研究科
運動・形態外科学講座

総合医学専攻

整形外科学分野

(指導:今釜 史郎
加藤 大策

教授)

【緒言】
Legg-Calvé-Perthes 病(LCPD)などの若年性虚血性大腿骨頭壊死症(JIO)は、骨端への
血液供給の喪失によって起こる。JIO では、骨吸収の過程が骨形成の過程を上回り、
骨端の変形と最終的な圧潰に至る。JIO の臨床的な問題点として、学童期では治癒に
数年かかることが挙げられる。JIO の治療には、治療期間の短縮と骨端形状の維持と
いう 2 つの大きな目標があるが、現在のところ、この疾患に対する理想的な治療法は
存在しない。以前、我々は線維芽細胞増殖因子受容体 3(FGFR3)シグナルが他の骨修
復環境に及ぼす影響を調べ、FGFR3 のヘテロ接合性機能獲得変異を持つ幼若トランス
ジェニックマウス(Fgfr3 マウス)において脛骨長延長術後の骨治癒および軟骨内骨化
の促進を証明した。
【目的】
FGFR3 シグナルの活性化は、JIO 後の骨修復過程の期間を短縮し、骨端の変形を最
小限に抑えるという仮説を立てた。現在、骨壊死における FGFR3 シグナルの役割はほ
とんど分かっていないため、本研究では、Fgfr3 マウスモデルを用いて、外科手術によ
り誘発された骨壊死に伴う骨修復における FGFR3 の役割を検討することを目的とし
た。
【対象】
骨格が未熟な Fgfr3 マウスと野生型マウス(雄、5 週齢)に虚血性骨壊死作成手術を
施行し、虚血性骨壊死モデルマウスを作製した。
【結果】
虚血性骨壊死後の FGFR3 シグナルの影響を調べるため、まず術後 2、4、6 週目の大
腿骨骨端部をマイクロ CT で形態学的に解析した。6 週目には、Fgfr3 マウスよりも野
生型マウスの方が骨端の変形が顕著であった(Fig.1A)。冠状画像において、野生型マ
ウスでは大腿骨遠位骨端が圧潰していることが認められた。骨端の圧潰の指標である
骨端の高さ対幅比は、両マウスとも術後 4 週目から低下し、6 週目には Fgfr3 マウス
で野生型マウスより有意に高かった(Fig.1B)。Fgfr3 マウスでは虚血性骨壊死後、骨端
の新生が促進された。次に、組織形態計測法を用いて動的な骨形成を評価した。術後
4 週目の Fgfr3 骨では、アリザリンラベルとカルセインラベルが目に見えて増強した
のに対し、野生型手術側と両マウスの sham 手術側では弱かった(Fig.2A)。定量的評価
により、Fgfr3 マウスでは BFR/BS および MAR が野生型マウスに比べ有意に高く、虚
血性骨壊死後の新規骨生成が促進されたことを示している(Fig.2B)。 虚血性骨壊死後
の破骨細胞の活性を評価するために、TRAP 染色を行った。Fgfr3 マウスでは虚血性骨
壊死誘発後の初期に TRAP 陽性細胞が野生型よりも増加し(Fig.3A)、その増加は術後
2 週間で定量的に確認された(Fig.3B)。虚血性骨壊死の治癒過程では、細胞死が骨吸収
とその後の骨形成を誘発する。Fgfr3 マウスの骨細胞における TUNEL 陽性細胞数は、

-1-

2 週目には変化がなかったが、4 週目および 6 週目には野生型マウスの数に比べて有
意に減少した(Fig.4A、B)。これらのことから、2 つのマウス群における壊死誘発の程
度は同程度であるが、Fgfr3 マウスでは虚血性骨壊死からの早期回復により、骨修復の
開始が早かったことが示された。次に、野生型マウスと Fgfr3 マウスの虚血性骨壊死
からの回復時期について検討した。本研究では、組織学的評価により、虚血性骨壊死
後の新生骨髄は、Fgfr3 マウスでは野生型マウスよりも速やかに修復されることが示
された(Fig.5A、B)。さらに、虚血性骨壊死後の骨組織における VEGF の発現を免疫組
織化学で評価した。Fgfr3 マウスでは、術後 2 週間および 4 週において、VEGF の発現
量が野生型マウスに比べて有意に高かった(Fig.5C、D)。骨端部の mRNA 発現量につ
いて、RT-PCR によって評価した。術後 2 週および 4 週において、Vegf, Bmp2, Rankl,
Opg の mRNA 発現量は Fgfr3 マウスで野生型マウスより有意に高かった(Fig.5E)。一
方、Rankl/Opg の比率は両群のマウス間で変化がなかった。これらの結果から、Fgfr3
の機能獲得により、形態レベルでは骨芽細胞新生と破骨細胞新生の両方が起こるが、
分子レベルでは骨芽細胞新生の方が破骨細胞新生より優位であることが示された。
【考察】
本研究では、FGFR3 機能獲得型変異を有する動物では、骨修復が促進されることが
示された。また、Fgfr3 マウスの骨端部では、虚血性骨壊死後に Vegf と Bmp の発現量
が有意に増加しており、血管新生と骨形成の双方が促進されていることが示唆された。
また、FGFR3 の機能獲得変異を有する同様のマウスモデルを用いて、軟骨細胞特異的
に FGFR3 シグナルを活性化すると Vegf の発現が増加し、血管侵入と骨形成が促進さ
れることが別の研究グループにより示されている。関節軟骨細胞は in vivo および in
vitro で虚血誘発後に VEGF および BMP を発現することが示されていることから、
FGFR3 シグナルは骨格未成熟時の骨形成だけでなく血管新生の促進を介して骨修復
に相乗的役割を果たすと推察される。
軟骨細胞において、FGFR3 シグナルは Col2a1 プロモーターの制御下で本質的かつ
特異的に増強されるため、骨吸収と骨形成が促進される理由は興味深い。私たちの以
前の研究では、幼若期の同じタイプの変異マウスに顎骨形成術を用いた四肢の伸長を
行ったところ、軟骨内骨形成を介して骨吸収と骨形成の両方が促進された。骨壊死の
場合、軟骨細胞は虚血状態でも生存できるため、関節軟骨は組織修復プロセスにおい
て重要な役割を果たす。JIO の動物モデルと LCPD の患者の両方で、関節軟骨が肥厚
することが示されている。低酸素ストレスは、正常な組織発生時だけでなく、血液供
給が途絶えた病的な状態においても、軟骨形成の可能性を高めることが報告されてい
るが、本研究において、Fgfr3 マウスでは術後 2 週で、Sox9 遺伝子の mRNA レベルが
有意に上昇していた。軟骨内骨化時に軟骨細胞が直接骨細胞に転化することが明らか
にされ、軟骨細胞由来の骨細胞が骨端骨梁に観察されている。また、同じ研究グルー
プは、β-catenin の構成的な活性化により、軟骨から骨への分化が促進されることを報
告 し て い る 。 軟 骨 細 胞 に お け る FGFR3 シ グ ナ ル の 活 性 化 は 、 β-catenin の 発 現 を

-2-

upregulate することが示されており、軟骨における FGFR3 シグナルの構成的活性化は、
虚血性骨壊死後の骨端部修復に寄与している可能性がある。
本研究にはいくつかの限界がある。第一に、FGFR3 シグナル伝達経路に関与するリ
ガンドを解析できなかったことである。第二に、我々は術後 2、4、6 週目に組織学的
および形態学的解析を行ったが、より長い観察期間により、虚血性骨壊死後の骨修復
動態がより明らかになる可能性がある。最後に、大腿骨近位部はより一般的に JIO の
影響を受けるが、我々は大腿骨遠位部の骨壊死のモデルマウスを採用したことがあげ
られる。
【結論】
FGFR3 シグナルの活性化は、骨格が未熟なマウスの虚血性骨壊死に伴う骨修復過程
を促進させた。この研究は、治療期間を短縮し、骨端形態を維持するための FGFR3 シ
グナルの活性化を、JIO の治療のための新しい潜在的戦略として提示するものであり、
臨床的に意義があるものである。

-3-

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