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大学・研究所にある論文を検索できる 「吸着工学・乾燥工学等に関する分子論的検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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吸着工学・乾燥工学等に関する分子論的検討

鈴木, 哲夫 京都大学

2023.03

概要

令和4年度

京都大学化学研究所 スーパーコンピュータシステム 利用報告書
吸着工学・乾燥工学等に関する分子論的検討

Theoretical Studies on Microscopic Problems in Separation Engineering and Drying
京都大学 大学院 工学研究科 化学工学専攻 分離工学分野

鈴木哲夫

研究成果概要
本研究では、京都大学化学研究所スーパーコンピュータシステムを利用し、吸着工学、乾
燥工学、食品工学などの種々のプロセスに関連する物理化学的な諸問題を取り上げ、分子軌
道法や分子動力学法などの計算機科学的手法を用いて検討を行うことを目的としている。今
年度はトレハロースの水和状態を分子動力学(MD)計算により検討した。以下その概要を報
告する。
二糖の1種であるトレハロースは、2 つの D-グルコースが 1,1-結合した非還元糖である。でん
ぷんの老化防止作用や保湿作用があることから、食品や化粧品などの添加剤として多用され
ている。また、タンパク質の凍結や凍結乾燥時の保護作用などについて、様々な研究報告が
なされている。本研究では、食品工学、生化学などで有用な基礎的知見を得ることを目的とし
て、MD 計算により水溶液凍結時の氷晶成長に伴うトレハロースの濃縮過程を調べた。
MD 計算のプログラムは Amber18 を用いた。1440 個の水分子からなる約 44Å×44Å×24Å の
大きさの氷(Ih 相)の結晶の分子モデルを作成した。その氷晶を MD 計算の基本セルの中央に
配置し、周囲にトレハロース分子 100 個、水分子 3800 個からなる濃度 33 wt%のトレハロース
水溶液を配置した。得られた基本セルの大きさは約 44Å×44Å×100Å となった。このモデルに 3
次元周期境界条件を適用し、1 bar、-30 ℃の NPT アンサンブル MD 計算を実行した。熱平衡
計算後の 500 ns 間において、氷晶の成長、およびそれに伴うトレハロースの凝集過程につい
て検討した。
基本セル内で氷晶が成長し、トレハロースが凍結濃縮される様子を可視化プログラム VMD
を用いて観察した。時間が進むにつれて、トレハロース水溶液中の水分子の一部が凍結し、
氷晶が成長することが確認できた。この氷晶の成長に伴い、500 ns においてはトレハロース水
溶液が 44 wt%まで濃縮されたことがわかった。
また、MD 計算より、いずれの濃度においても、複数のトレハロースが会合してクラスターを
形成することが示唆された。そこで、濃度 33 wt%(シミュレーション時間:10 ns)のときと、44
wt%(シミュレーション時間:500 ns)のときについて、トレハロースが形成するクラスターのサイ
ズを調べた。ここで、クラスターのサイズはトレハロース分子の会合数により評価した。なお、会
合数の算出においては、任意の 2 つのトレハロース分子について、互いの重心間距離が 9.0
Å 以下であれば、それらは会合していると判定した。
33 wt%では、クラスタを構成するトレハロース分子数は最大 10 分子程度で、数種のサイズ
のクラスタが同程度の割合で存在した。濃縮が 44 wt%まで進むと、それらのクラスタが凝集し
てより巨大なクラスタを形成し、56 分子で構成された紐状のクラスタが生じた。 ...

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