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大学・研究所にある論文を検索できる 「Nuclear localization of LDL receptor-related protein 1B in mammary gland carcinogenesis」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Nuclear localization of LDL receptor-related protein 1B in mammary gland carcinogenesis

浅野, 好美 岐阜大学

2020.03.25

概要

【緒言】
乳癌は網羅的遺伝子解析及び免疫組織化学染色により臨床的に 4 つのサブタイプ(Luminal A-like, Luminal B-like,HER2,triple negative)に分類されている。その中で,Luminal A 乳癌は内分泌療法に感受性が高く一般的に予後良好と言われているが,中には内分泌療法に対して新たな抵抗性を示す場合や,時間の経過とともに獲得耐性を認める場合もある。従って,これらの耐性克服に関係する分子の同定は重要である。LRP1B(Low-density lipoprotein receptor-related protein 1B)は LDL 受容体ファミリーに属する分子であるが,発癌や腫瘍増殖との関連については一定の見解が得られていない。この分子は膜貫通型タンパク質であり,γ-セクレターゼによって膜貫通ドメインで切断され細胞内ドメインが核に移行することで遺伝子転写を制御できる RIP(regulated intramembrane proteolysis)を受けることが報告されている。本研究では,浸潤性乳管癌における LRP1B 細胞内ドメインの核移行の臨床的・生物学的意義を調べるために以下の研究を行った。

【対象と方法】
1. LRP1B の発現解析
2011 年-2014 年岐阜大学腫瘍外科および関連病院で切除された浸潤性乳癌手術標本 92 例を用いて LRP1B 細胞内ドメインに対する抗体を使用し,免疫組織化学染色法を行った。判定は陰性群(LRP1B 免疫反応性が癌細胞の 10%未満),細胞膜・細胞質陽性群(LRP1B 細胞膜・細胞質の免疫反応性陽性,癌細胞核の反応性が 10%以下),核陽性群(癌細胞核の LRP1B 免疫反応性 10%より多い)の 3 群とし,LRP1Bの発現及び核移行と予後との関連を検討した。

2. LRP1B の機能解析
LRP1B 細胞内ドメイン強制発現のために Tet-on システム(pTRE3G-ZsGreen-cLRP1B ベクター)を樹立した。本ベクターを乳癌細胞株 MCF7 及び T47D にトランスフェクションし, LRP1B 細胞内ドメイン強制発現時の MCF7 及び T47D における表現型(細胞増殖能,浸潤能)を評価した。さらに,17β- estradiol タブレット(60 日間 0.72mg 放出を)移入した BALB/c のヌードマウスに,LRP1B 細胞内ドメインを発現させた MCF7 を異種移植し腫瘍増殖能を検討した。

3. LRP1B 下流遺伝子群の検索
LRP1B の下流遺伝子群を検索するため,本システムを使用した MCF7 細胞を cDNA Microarray にてスクリーニングし,候補遺伝子を real time PCR で確認,さらに siRNA で knockdown した場合の浸潤能も評価した。

【結果】
免疫組織化学染色において核陽性群 16.3% (15/92 例),細胞質・膜陽性群 65.2% (60/92 例),陰性群 18.5% (17/92 例)であり,無病生存期間 DFS(disease-free survival)は,核陽性群において他 2 群に対し有意に予後不良であった(対陰性群 P = 0.0338,対細胞質・膜陽性群 P = 0.000003)。特に Luminal A type では DFS,全生存率 OS(overall survival)ともに核陽性群は陰性群に対し予後不良であり,(P = 0.000283,P = 0.00115),核陽性群では明らかにリンパ節転移陽性を多く認めた(P = 0.0059)。また,核陽性群では細胞浸潤能は有意に上昇していた。Microarray 解析では,long non-coding RNA である NEAT1(nuclear paraspeckle assembly transcript1)の発現上昇と NEAT 関連分子の MALAT1(metastasis associated lung adenocarcinoma transcript 1)発現上昇も認め,real time PCR で発現の上昇を確認した。一方,両者を siRNA で knockdown すると,浸潤能は明らかに低下した。17β-estradiol タブレット移入 BALB/c ヌードマウスにおいて移植腫瘍は有意な腫瘍増大を示した(P = 0.0036)。

【考察】
本研究から,LRP1B 細胞内ドメインの核移行は乳腺の発癌及び浸潤性乳管癌の予後と密接に関係していることが確認された。特に Luminal A type においては予後不良の傾向やリンパ節転移の増加が顕著であった。すなわち LRP1B 細胞内ドメイン核移行により,NEAT1,MALAT1 の転写が亢進し有意な発現増加を来し,癌細胞の浸潤能を上昇させ臨床的に予後不良につながると考えられた。従って,LRP1B 細胞内ドメインの核移行による NEAT1 経路を介したシグナルを阻害することは,乳腺の転移・再発・進行の抑制につながる可能性があり,今後の臨床応用に発展しうると考えられる。

【結論】
LDL 受容体ファミリーである LRP1B の細胞内ドメインの核移行は,浸潤性乳管癌において発癌,腫瘍進行・転移に関わる重要な分子であると考えられる。

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