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大学・研究所にある論文を検索できる 「Colchicine protects against cartilage degeneration by inhibiting MMP13 expression via PLC-γ1 phosphorylation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Colchicine protects against cartilage degeneration by inhibiting MMP13 expression via PLC-γ1 phosphorylation

竹内, 健太郎 岐阜大学

2022.01.19

概要

変形性関節症は軟骨破壊を特徴とする変性関節疾患であり,疾患の発症および進行には炎症性サイトカインや過剰な機械的刺激が関わっていると考えられている。現在のところ臨床応用が可能な疾患修飾性変形性関節症治療薬は存在しない。軟骨破壊には様々なプロテイナーゼが関与しているが,正常な成人組織ではほとんど検出されない MMP13(Matrix metalloproteinase 13)が変形性関節症患者の関節や関節軟骨で過剰発現していることがわかっている。したがって,MMP13 の発現を低下させる低分子化合物は変形性関節症の治療薬になる可能性がある。

本研究の目的は,MMP13 発現を抑制する疾患修飾性変形性関節症治療薬の候補となる低分子化合物を同定することである。

【対象と方法】
1)1 次スクリーニング:3399 種類の低分子化合物を含んだ drug library を用いて,MMP13 発現依存性に GFP を発現する軟骨細胞株にサイトカイン(IL-1b と TNF-a)と低分子化合物を加えて蛍光強度を測定し,サイトカインによって上昇する蛍光強度を阻害する低分子化合物をスクリーニングした。
2)2 次スクリーニング:1 次スクリーニングでヒットした低分子化合物とサイトカインを軟骨細胞に加え,RT-qPCR によってサイトカイン誘発性 MMP13mRNA 発現を抑制する低分子化合物をスクリーニングした。
3)In vivo での軟骨変性抑制効果の確認:1 次,2 次スクリーニングで同定した低分子化合物を外傷性変形性関節症モデルマウスに 12 週間経口投与し,膝関節の変化を病理学的に評価した。
4)MMP13 発現を抑制するシグナル経路の解析:サイトカインと候補低分子化合物に関連するシグナルパスウェイを同定するために,isobaric tags for relative and absolute quantification (iTRAQ)ベースのプロテオーム解析を使用した Ingenuity pathway analysis (IPA)を行った。
5)候補となる低分子化合物の作用機序の解明:同定したパスウェイの関連分子の MMP13 発現抑制効果に関して,以下の解析を行った。
a)plasmid,siRNA,インヒビターを用いた gain of function および loss of function 解析
b)ウェスタンブロット,蛍光免疫染色,免疫沈降によるパスウェイ関連分子の活性化機構
c)蛍光免疫染色による変形性関節症組織における候補低分子化合物の標的タンパク質の検出

【結果】
1)1 次スクリーニングで,蛍光強度阻害率が 60%以上の低分子化合物を 125 種類同定した。125 種類の低分子化合物のうち 12 種類を選択し,2 次スクリーニングに供した。
2)2 次スクリーニングで,12 種類のうち 4 種類の低分子化合物がサイトカイン誘発性 MMMP13 発現を有意に阻害した。その 4 種類の低分子化合物から,the Food and Drug Administration (FDA)で人体への投与が承認されているコルヒチンを選択し,以後,コルヒチンについて実験を進めた。
3) コルヒチンを経口投与した外傷性変形性関節症モデルマウスは,対照群のモデルマウスと比較して,有意に低い OARSI スコア(Osteoarthritis Research Society International が推奨するスコア;点数が高いほど軟骨変性が著しい)と有意に低い滑膜炎スコアを示した。
4) IPA ではサイトカインによって変化し,コルヒチンによってその変化が抑制されるシグナル経路が 8 つ同定された。その中で MMP13 発現に関与する Rho シグナルに関連する 3 つの分子に着目した。
5)Rho ファミリー分子である RAC1 のインヒビターは,サイトカイン誘発性 MMP13 発現を抑制した。 RAC1 は SRC,PLC-γ1 と相互作用することがわかっている。siRNA を用いて SRC,PLC-γ1 をノックダウンすると,サイトカイン誘発性 MMP13 発現は抑制された。PLC-γ1 は小胞体から Ca2+を放出するが,小胞体からの Ca2+を抑制する薬剤はサイトカイン誘発性 MMP13 発現を抑制した。サイトカインを軟骨細胞に加えると SRC,PLC-γ1 はリン酸化された。そこにコルヒチンを加えると SRC のリン酸化は抑制されなかったが,PLC-γ1 のリン酸化は抑制された。蛍光免疫染色と免疫沈降によって,リン酸化 PLC-γ1 と tubulin が共局在していることを確認した。

【考察】
サイトカインは RAC1,SRC を活性化し PLC-γ1 をリン酸化することで小胞体から Ca2+が放出され, MMP13 発現が亢進することが示唆された。コルヒチンは微小管構成蛋白質の tubulin と相互作用し, PLC-γ1 のリン酸化を抑制することで MMP13 発現を抑制することが示された。コルヒチンは,PLC-γ 1 を介する MMP13 の発現を抑制する,変形性関節症治療薬の候補であることが確認できた。また,PLC- γ1 は変形性関節症に関連した軟骨破壊を防ぐための有用な標的であることが示唆された。

【結論】
MMP13 の発現を阻害するコルヒチンは,変形性関節症の疾患修飾性治療薬の候補である。

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