リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Learning difficulties in Japanese schoolchildren with localization-related epilepsy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Learning difficulties in Japanese schoolchildren with localization-related epilepsy

宮崎 光明 富山大学

2020.03.24

概要

〔目的〕
てんかんは、小児期によく見られる脳障害であり、てんかん発作を特徴とする。てんかんの小児は様々な程度の認知障害を示すことがあり、海外の多くの研究においててんかんの小児は学習障害( LD) と知的障害のリスクが高く、学習支援が必要であると報告されている。

日本とヨーロッパの言語体系を見てみると、ヨーロッパの言語は音素のみを表すア ルファベットで構成されているが、日本語は2つの異なる文字体系、つまり、フォニ ック(「カナ」)文字と表意文字「漢字」を使用している。そのため、日本語を用い るてんかんの小児の学習困難に対処するには、日本語での学習能力を明確にすること が重要である。そこで本研究では、低年齢で発症することが多く、学習への影響が大 きいと想定される局在関連性てんかんで、日本語を母国語とする小児の LD の特性を調査した。

〔方法並びに成績〕
1. 研究参加者
研究参加者は、2017 年 4 月から 2017 年 9 月に富山大学附属病院を受診した日本語を母国語とする患者から選択された。選択基準は、国際抗てんかん連盟による局在関連性てんかんと診断され、6〜15 歳(小学校 1 年生から中学校 3 年生) であり、頭部 MRI 等での器質的障害や他の神経疾患はないこととした。性別、年齢、初発発作と最後発作時の年齢、脳波( EEG) 所見、抗てんかん薬、行動上の問題、知的障害の有無に関する情報を患者記録から収集した。

2. 学習困難を測定する検査
患者記録に知的障害の記載がない、または Wechsler Intelligence Scale( WISC- IV) で 70 以上の FSIQ をもつ小児に対して、学習困難の有無、および程度を測定するために読み速度の検査、書きの正確性の検査、包括的領域別読み能力検査( CARD)、視覚関連基礎スキルの広範囲のアセスメント( WAVES) を実施した。なお、こられの検査はすべて日本人に標準化されている。

この研究は、富山大学倫理委員会(承認番号 29-33) によって承認され、すべての研究参加者の保護者から同意を得た。

3. 結果
3- 1. 参加者の臨床像
平均年齢 9.7 歳(SD 2.61)の 30 人の小児(男子 13 人、女子 17 人)が本研究に参加した。14 人の小児に知的障害があった。知的障害のない 16 人の小児(男子 7 人、女子 9 人)のうち、3 人は臨床症状および EEG 所見により中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん(ローランドてんかん)と診断され、3 人が 2 種類の抗てんかん薬を投与されていた。5 人には注意欠陥・多動性障害があり、自閉症スペクトラム障害の小児はいなかった。

3- 2. 知的障害のない小児の検査結果
知的障害のない 16 人の小児の検査結果において、7 人は 2 つ以上の読み速度の課題で標準以下(≤70)であった。書きの正確性の課題では、2 人が 2 つ以上の標準未満(<77.5)得点であった。CARD の語彙または音韻認識の課題では、3 人が標準以下(≤74)であり、WAVES の 2 つ以上の課題で 6 人が標準以下(≤75)であった。学習困難なしと判定されたのは 8 人の小児だけで、その他の小児は、学習困難ありと判定された。また、CARD の点数が標準以下であった 4 人全員、および WAVES の点数が標準以下であった 6 人中 5 人は、読み速度の課題の 2 つ以上が標準以下の得点であった。

3- 3. 学習困難のあるグループとないグループの要因
30 名の小児を学習困難のあるグループとないグループに分けて比較したところ、性別、てんかんの期間、抗てんかん薬の種類の数に有意差はなかったが、年齢(P = 0.030)、てんかん発症年齢(P = 0.033)、脳波異常が両側と片側(P = 0.028)、右限局と左限局または両側(P = 0.014)に有意差が認められた。

3- 4. 知的障害のない小児の学習困難に関連する要因
知的障害のない 15 人(FSIQ が外れ値だった 1 名を除外した)の学習困難に関連する検査結果に対する脳波異常の局在については、右側にのみ脳波異常のある小児は、左側または両側に脳波異常のある小児に比して、FSIQ(P = 0.030)、ワーキングメモリー(P = 0.024)、単語速読読みテスト(P = 0.030)、漢字単語の記述(P = 0.021)、および CARD の語彙テスト(P = 0.024)においてより高い点数を獲得していた。

〔総括〕
本研究では、局在関連性てんかんの 30 人中 14 人(47%)に、知的障害があることが明らかになった。また、知的障害を伴わないてんかんの小児でも、16 人中 8 人(50%)が学習困難をもっており、日本語を母国語とする局在関連性てんかんの小児の半数以上が知的障害もしくは学習困難により学習支援を必要としていた。

てんかんの臨床的特徴に関しては、てんかんが若年で発症した場合に学習困難になりやすく、また両側性または左側に限局した脳波異常が学習困難と関連しており、これらの小児に対しては、学習困難および知的障害といった学習支援の必要性に関する評価を早期からする必要があることが示唆された。また、本研究で使用した読みの速度の評価は、学習困難を発見するために簡便で高感度のスクリーニング法であると考えられた。

この論文で使われている画像

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る