Novel immunotherapy for peritoneal dissemination of murine colon cancer with macrophage inflammatory protein-1β mediated by a tumor-specific vector, HVJ cationic liposomes
概要
〔目的(Purpose)〕
消化器癌の腹膜播種は既存の医薬品による化学療法では予後が不良であり、新たな創薬が求められている。本研究では遺伝子治療領域における創薬によって、消化器癌の腹膜播種において新たな治療薬の可能性を探索した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
HVJ-cationic liposomeの腹腔内投与により腫瘍特異的に遺伝子を導入できる可能性があることを大腸がん腹膜播種のマウスモデルにおいて示した。また免疫細胞を誘導するケモカインであるMIP-10を免疫細胞に誘導することにより、免疫細胞の集積を示し、さらにマウスモデルの非臨床試験により、当該遺伝子治療薬により生存率の優位性を示すことができた。
〔総括(Conclusion)〕
消化器癌の腹膜播種において既存の抗がん剤の適応外使用による臨床試験が実施されているが、未だ有効な治療法は存在しないのが現状である。本基礎研究は消化器癌の腹膜播種において新たな治療薬の可能性を示した。遺伝子治療薬や免疫療法は世界的にも期待されている。遺伝子治療薬は特に日本において薬機法改正により再生医療等製品として新たに定義付けされ、条件・期限付き承認制度の創設により実用化が促進され、がんの領域においても大きく期待されている。今回のような基礎研究の積み重ねにより、遺伝子治療薬のFOM(Proof of Mechanism)が確立されれば、次のfirst in human trialに繋がることが期待される。