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大学・研究所にある論文を検索できる 「Diagnostic value of 18F-FDG-PET to predict the tumour immune status defined by tumoural PD-L1 and CD8+tumour-infiltrating lymphocytes in oral squamous cell carcinoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Diagnostic value of 18F-FDG-PET to predict the tumour immune status defined by tumoural PD-L1 and CD8+tumour-infiltrating lymphocytes in oral squamous cell carcinoma

東郷, 真理亜 トウゴウ, マリア Togo, Maria 群馬大学

2020.03.24

概要

【背景】
Programmed cell death-1 (PD-1)およびそのリガンドであるprogrammed cell death-ligand 1 (PD-L1)を標的とした免疫チェックポイント阻害剤 (immune checkpoint inhibitors: ICIs)は口腔扁平上皮癌においても有望な治療ツールとして注目されており、癌組織におけるPD-L1発現は、その薬効予測バイオマーカーの候補である。しかし、癌部 PD-L1発現の評価には侵襲的な組織採取が必要であり、より低侵襲な癌部 PD−L1発現を評価する手法の開発が臨床的に求められている。癌部 PD-L1は hypoxia-inducible factor 1A (HIF-1A)/glucose transporter type 1 (GLUT1)や CD8+tumour-infiltrating lymphocytes (CD8+腫瘍間質浸潤リンパ球: CD8+TILs)により誘導され、上皮マーカーが喪失し浸潤能が亢進する上皮間葉転換 (epithelial–mesenchymal transition: EMT)という現象により抑制されるとの報告がある。また、肺癌では術前の 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(18F-FDG-PET)における FDG集積が PD-L1発現と相関すると報告されている。一方で、癌細胞における PD-L1低発現および間質における CD8+TILsが乏しい腫瘍は「cold tumour」と呼ばれ、PD-L1発現が高く/間質 CD8+TILs高発現な「hot tumour」と比較した場合、局所免疫応答が低く ICIs抵抗性を示すことが癌免疫治療の領域において臨床上大きな問題である。この腫瘍局所免疫状態を反映し、ICIsに対する感受性を反映する「cold tumour」「hot tumour」という概念は治療感受性予測因子として注目されているが、口腔扁平上皮癌における 18F-FDG集積と PD-L1発現の関連に関する検討や cold tumourの重要性については未だ報告されていない。本研究の目的は口腔扁平上皮癌おける PD-L1陽性腫瘍細胞/間質CD8+TILsに基づく腫瘍免疫状態と 18F- FDG集積ならびにその集積に関連する HIF-1A/GLUT1/EMT発現との関係を解明することである。

【方法】
群馬大学医学部附属病院で手術された口腔扁平上皮癌59症例を対象として PD-L1, HIF-1A, GLUT1, CD8, 上皮マーカー E-cadherinおよび増殖能マーカーKi-67を免疫組織化学染色法で評価し、腫瘍リンパ球浸潤 (TILs)は hematoxylin and eosin (HE)染色で評価した。PD-L1, HIF-1A, GLUT1およびE-cadherin発現の程度は判定量的スコアを用いて評価し、PD-L1 (score1-6), HIF-1A (score1-5), GLUT1 (score1-5)はそれぞれscore3以上を高発現とし、E-cadherin (score0-3)はscore2以上を高発現とした。CD8, TILsおよび Ki-67発現の程度は陽性率 (%)を用いて評価し、それぞれの中央値である20%,30%,20%をcut-off値と設定した。本研究において、癌部 PD-L1低発現かつ間質 CD8+TILs低発現をcold tumourと定義した。口腔扁平上皮癌における PD-L1陽性腫瘍細胞/間質 CD8+TILsに基づく腫瘍免疫状態と臨床病理学的因子、予後との関係を解析した。また、癌部 18F-FDG集積と腫瘍免疫状態ならびに癌部 PD-L1制御因子であるHIF-1A/GLUT1/EMT誘導 (E-cadherin低発現)との関係も評価した。

【結果】
(1) 癌部PD-L1低発現群は高発現症例と比較して、浸潤様式を示す Y-K分類、HIF-1A/GLUT1高発現、18F-FDG高集積、間質CD8+TILs低発現、E-cadherin低発現と有意に関連し予後不良であった。
(2) Cold tumourの症例は、Y-K分類、GLUT1高発現、18F-FDG高集積、E-cadherin低発現と有意に関連し予後不良であった。
(3) 18F-FDG高集積群は、癌部PD-L1発現が低く、間質CD8+TILsが低いcold tumorと有意に関連した。また、18F- FDG高集積群において PD−L1制御因子である HIF-1Aおよび GLUT1は有意に高発現であり、E-cadherinは低発現であった。
(4) 多変量解析により、癌部18F-FDG高集積は cold tumourの独立予測因子であった。

【考察】
本研究では口腔扁平上皮癌の 18F-FDG高集積は cold tumor (PD-L1低発現/間質CD8+TILs低発現)ならびに HIF- 1A/GLUT1/EMT (E-cadherin低発現)経路の活性化と有意に関連を認めた。これまで他の癌腫では低酸素により活性化された HIF-1A/GLUT1シグナルが PD-L1発現を誘導することが報告されていたが、本研究結果とは一致しない。一方で、HIF-1A/GLUT1シグナル活性化が PD-L1発現を抑制する EMT (E-cadherin低発現)を誘導すること、 GLUT1腫瘍組織代謝の変化 (乳酸蓄積)を介して間質 CD8+TILsも抑制すること、など本研究結果を支持する報告もなされている。これらの知見から、口腔扁平上皮癌では他癌腫で活性化している HIF-1A/GLUT1/PD-L1経路よりも HIF-1A/GLUT1/EMT経路が有意に活性化し、その結果としてEMT誘導により PD-L1発現抑制/間質 CD8+TILs低発現、cold tumorが引き起こされたのではと考えている。

【結論】
本研究により術前 18F-FDG高集積は免疫チェックポイント阻害剤の治療抵抗性に関与する腫瘍免疫状態として注目されている cold tumor (癌部 PD-L1低発現/間質 CD8+TILs低発現)の独立予測因子であることが明らかとなった。8F-FDG PET検査は腫瘍の局所免疫状態を非侵襲的に推定するための有望な診断ツールになる可能性がある。

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