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大学・研究所にある論文を検索できる 「水星磁気圏の3次元大域的完全電磁粒子シミュレーション」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

水星磁気圏の3次元大域的完全電磁粒子シミュレーション

蔡, 東生 Ekawati, Sri 京都大学

2023.03

概要

水星磁気圏の 3次元大域的完全

電磁粒子シミュレーション
Global 3D EM full particle simulation for Mercury Magnetosphere
研究代表者:察東生(筑波大学システム情報工学研究科 C S専攻)
dongscai@gmail.com
研究分担者: Sri Ekawati (筑波大学システム情報工学研究科 C S専攻)
ekawati@cavelab.cs.tsukuba.ac.jp
, データ解析
, 可視化
担当:
シミュレーション
研究目的 (Research Objective):
水星は太陽に一番近い軌道を回り、月と火星の中間のサイズしかない
にもかかわらず地球と同様、惑星固有の磁場を持っている惑星。その灼熱の環
境、周回軌道投入に必要な燃料の多大さから直接観測がほとんどできなかった
のが水星である.


BepiColombo(ベピコロンボ)」とは、日本とヨーロッパ

(European SpaceAgency(ESA):欧朴I
宇宙機関)が共同で計画中の水星探査ミッシ

ョンである。平成 30年 1
0月 1
9 日(金) 22時 45分 28秒(現地時間) (
1
0月 20
日(土) 1
0時 45分 28秒(日本標準時))に、フランス領ギアナのギアナ宇宙セ
ンターから打ち上げられた。国際水星探査計画「ベヒ°コロンボ」 (BepiColombo)

、 ESAと ]AXAの共同で、観測目的に合わせた 2つの周回探査機を水星周回軌
道に送り込んで水星を観測する計画で,水星の磁場・磁気圏の観測を行う水星磁
気圏探査機「みお」 (
M
M
O
) と、水星の表面・内部の観測を行う水星表面探査機
(
M
P
O
) から構成されている。 2025年 1
2月に予定される水星到着までの総航行

距離は(太陽中心座標系で)約 88億 kmである。 BepiColomboは、水星の公転周
期と自転周期が 3:2 となることを示し、水星にゆかりの深いイタリアの応用数
学者ジュセッペ・コロンボ博士(ベピは愛称)に因んでこの名前がつけられた。固
有磁場と地球よりはるかに小さい磁気圏を持つ地球型惑星は地球と水星のみで
あり、初の水星の詳細探査は、「惑星の磁場・磁気圏の普遍性と特異性」の知見
に大きな飛躍をもたらすと期待できる。われわれの経験では、グローバルシミュ
レーションを行う上での最大の困難は、ポストプロセス,即ち,データ処理,可
視化である。そのため、実際よりかなり小さいシミュレーションモデルで計算を
行い、大規模シミュレーションを行った場合の知見を得ることが本研究の第一
目的である。
計 算 手 法 (Computational Aspects )::

-109-

本研究では大域的三次元完全電磁シミュレーションコードを用いる。
計算領域, I
M
F磁場の時間変化を図 1にしめす。太陽方向の境界から、 I
M
F磁場
をもった太陽風を流し、 GSM座標中心にダイポール磁場をおき、地球の磁気圏を
形成する。電磁場境界条件は、 Lindmanの吸収境界条件、即ち、一次近似を用い
る。この近似では、 45度以上で入射する電磁波は吸収され、 45度以下の電磁
波は反射される。粒子に関しては、境界を離れる粒子は、一旦取り出され、再度、
境界領域からランダムに、 Knudsen流として再注入される。再注入される、粒子
速度情報等は Vlasov方程式を解いて決定しておらず、ランダムである。そのた
め、境界での擾乱が生じ、この擾乱が不安定化した場合、シミュレーションを停
止する。
また、本シミュレーションでは粒子の運動論的振る舞いはモデル化せ
ず,電子とイオンの 2流体モデルとしてシミュレーションを行う。数値加熱を
防ぐ為、グリッドサイズと同程度のデバイ長を与える熱運量を粒子に与えるが、
本数値実験では、グリッドサイズ= 0
.1~2Re であり、 2 流体モデルとして扱う。
そのため、 s
p
a
c
echargeeffect、ビーム不安定性、粒子の加速機構等が物理的
に扱われていると考える。運動論によるバルーニング不安定等は考慮に入れな




z
Northward

B

X

”l
l
n
i
t
i
a
ls
i
m
u
l
a
t
i
o
nr
e
s
u
l
t
s

73Re

図 1 :シミュレーションの設定と IMF の時間変化
水星磁気圏の作成
水星の磁気圏にはいくつかの特徴があり、大きさに関連しては、 magnetopauseま
での距離が小さい、 i
o
ni
n
e
r
t
i
aratioが大きいという特徴があり、これらを踏
まえて、磁気圏を作成する。

R
M
P=
l
.3
2
.1R
M

o
n inertia length

RM=60-91 i

: Distance form GSM center to magnetopause
R
M
P

-110-

R
M:Mercury radii

=4 .6でシミュレーションを行った。
今年度は, Alfven Mach Number
‘,‘、

:

00

研究成果(Accomplishments

1
, (昨年度より継続)粒子シミュレーションによる

S
m
a1
1 M
e
r
c
u
r
y

M
a
g
n
e
t
o
s
p
h
e
r
eでカスプ解析
今回水星の磁気圏パラメターにあわせて、 565X375X375 のグリッドサイズで小
さな水星磁気圏を作成した。水星の半径 50 グリッドサイズのものを作成した。
太陽磁場は(1) 北向から、 (2)Dusk-Dawn ヽ (3) 南向き (Phase 1, Phase 2) に変化す
る。図 1 にシミュレーションのコンフィギュレーション、 IMF の時間変化を示
す。本シミュレーションでは、水星の双極磁場をゆっくり発生させ、太陽風を左
からいれて、磁気圏を生成する。次に、図 2 に IMF 北向きの太陽風をいれた参
照水星磁気圏を示す。

2
, (昨年度より継続)水星磁気圏カスプ領域解析
,
水星磁気圏シミュレーションのため現在我々の使っている、大域的完
全電磁粒子コードの物理的妥当性を検査、立証するため、 IMF 北向きにおけ

CUSP 領域解析を行った。
Cai ら( 2015 )の詳細な解析により、図 3a に示したカスプ領域の主な
特徴(強い磁場振幅と弱いプラズマ密度)を復元することができた。つまり、こ
の領域は磁場の空間プロファイルと低高度から高高度までの密度の空間プロフ
ァイルによって比較的よく定義することができる。 CLUSTER 衛星による統計
的観測(Lavraud et al., 2004a, 2005) に基づいて、典型的な SEC あるいは反磁
性カスプ領域が定義される。北向きの IMF の場合、 SEC 領域は極域、上方、下
方、赤道の 4 つのエッジを持ち(Fig 3、
) Cai ら(2015)の数値シミュレーショ
ンで解析されている。
特徴の一つは磁気シース領域から SEC 領域へ向かう際に、プラズマの
流れが超アルフベニック領域から亜アルフベニック領域へと変化する遷移層

ATL )によって特徴付けられる。筆者らの知る限り、この ATL は Lavraud ら

2005)によって初めて実験的に観測され、 Cai ら 2015 )による北向き IMF

かつ子午面のみの 3 次元 PIC シミュレーションで証明された。

-111-

(
a
)

(
b
)
B
T
o
t
a
l

15.
00
4.
58
1
.
4
0
0.
43
0
.
1
3
0.
04

1
0
0

1
2
0

1
4
0

1
6
0

1
8
0

200

( )
. IMF は北向
図 2 :小さな参照水星磁気圏左と拡大したカスプ領域(右)

(
b
)
1
0


'
3
6a
:,
a
,



N

l
..

D
e
n
s
i
t
y

d
e
c
t
e
a
s
e
XRe

F
i
g
u
r
e5

図 3: カスプ磁場の境界

-112-

,
'


(
a
)

(
b)



20

J
I
V
W
)

4
i
u
o
N


[

p



l

︱ ︱

oq990
9999L





Northw•o-d IMF
,(CAI<60

s
XNom,• I, Re

図 4: IMF 北における、カスプ領域における Alfven Transition Layer のシミ
ュレーション結果(左)と、 Cluster 衛星による観測結果

(
(
b
)の図は

Lavraud e
ta
l
. (
2
0
0
5
) より)

Lavraud ら(2005)や Cai ら(2015) の先行研究に従い、 ATL の正確な位
置を証明する一つの方法は、地球位置を通る (x-z) 子午線平面内に Log(MA) のマ
ップをプロットすることで構成される。北向きの IMF の結果は図 4 に示されて
おり、シミュレーション結果(パネル 4a )と実験測定(パネル 4b )の間の良い
一致を証明している。
前年は、イオンフラックスのカスプ侵入を議論したが、本年は電子フラ
ックスのカスプ侵入を議論する。

電子の場合は状況が大きく異なる。予想通り、電子のフラック
スストリームラインは、カスプを通過する際に電子の質量が軽いため、
より小さなスパイラル構造を示す(図 5a)。その主な特徴は (a) 電子流
線の渦巻きの大きさは非常に小さく、これに対応してイオンフラック

(
スの流線は細長く見える。 (c) 図 5b の拡大立体視イオンに対すると同
)
様の視野角では、イオンとは対照的に、電子フラックスの強度がカス
( 5a の白い四角の中の螺旋の赤い部分)
プ上端付近で非常に強いこと図
(d) 図 5c の (x, y) 赤道平面上に投影した立体視(により、
明暗領域をより明確に分離できることがわかる。パネル(a) から (c) への
(
)
2 つの異
漸進的な回転、高エネルギー電子束流線の赤い部分が主に
なる領域から放出されていることがわかる。 1 つは明け方の側面領域の
A
)
非常に高い高度に対応し ( 「」で示す、サブソーラー点まで広がって
がわかる。

-113-

おり、もう一つは夕方の側面領域内の低い高度に対応し ( 「」で示す
B
)

( ま
) で伸びている。
反対側夜
電子については、イオンについて定義したと同様の(x-z )平面
内に投影した 3D プロット(図 5d)を行うことで解析を完了できる(y
は図に直角)。その上で、 L1, LB, L2 線の位置と SEC を報告した。図 5d
から、 (a) カスプ領域内( L1-LB 線間)に電子が蓄積・析出すること、 (b)
電子束のスパイラルサイズはカスプ入口でのイオンよりも小さいこと、

(c)子午線平面での診断だけではわからない 3 次元効果の重要性が確認
された。イオンとは対照的に、電子束の局所的な高強度は、より深く侵
入してもまだ残っており(図 5d では隠れているが、 3D プロットを回
転させると見える)、高エネルギーの電子が非常に低い高度で証明され


(
a
)

A St
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i
nes

Solarwind

-114-

図 5 :IMF 北における、カスプ領域における電子フラックス流線の 3D 表示。

(a) 全電子フラックスの 2 次元等値面を 2 つの異なる平面( x-y (赤道)平面と
x-z (子午線)平面)で表現し、カスプ領域を透視している。各流線に沿って色
が変化し、電子フラックスの局所的な強度を示している。太陽風は X 軸に沿っ
て流れている(青い矢印)。 (b): (a) の白い四角の中のカスプ領域を拡大したもの。

(a) と(b) の白い点線は、漏斗状のカスプの境界を表している。 3 次元電子フラッ
クスの流線は、フラックス強度が最大となるカスプに収束している(流線に沿っ

c
b
(d) カスプ領
て赤色) ;()パネル()の白い長方形内のカスプ領域の拡大図。
域の拡大図(夕方側から)。

3
, 磁気圏における位相
本年度は Geodesic Level Set 法により図 5 のように、磁気圏のトポロジー可視

)
2 次元不安定多様体
化を行った。 CP1(Bs 型)と CP3(A 型からのグローバルな
と安定多様体を、それぞれ図 6 に示す。 CP1 、CP3 から発せられる多様体はそ
れぞれ、一端が北磁尾、南磁尾に分岐し、他端が地球の南極、北極に収束する円
柱状の多様体W 町Xcp1) とWs(Xcp3)を持つグローバル 2 次元多様体である(終
点)。グローバル多様体は、データ境界(ターミネーター:境界の出入り口)に
ぶつかった時点で、進まなくなる。 W 町Xcp1) と Ws(Xcp3)のマニフォールドの
弧長はそれぞれ 60.00 Re と 60.05 Re である .

図 6. 大域的な磁場のトポロジーは CP1 と 3 によって決定される。パネル(a) と

(b) はそれぞれ、 CP3 からの 2 次元不安定多様体を x-z と y-z 平面に投影した青
メッシュ、 (e) は B_total で表面の色をフラッドにした斜視図である。パネル(c)
と(d) はそれぞれ、 CP1 からの 2 次元安定多様体を x-z と y-z 平面に投影した赤
色のメッシュで、 (f) は表面の色を B_total で色分けした斜視図である。

-115-

公 表 状 況 (Publications )::
(口頭)

Cai, D., Magnetosphere as Complex Dynamical System Based on Vortexes, AOGS,
Singapore, 2022
Cai, D. and Bertrand Lembege, Impact of the IMF Rotation from North to dawn-dusk and
south direction on the cusp features and on the Alfven Transition Layer: Global 3D PIC
simulation, Chicago, AGU, 2022.
Cai, D. and Bertrand Lembege, How the cusp features and the Alfven Transition Layer
are affected by the IMF Rotation from North to dawn-dusk direction ?, Vienna, EGU,
2022
(論文)

B. Lembège and D. Cai, Evidence of the Alfvén Transition Layer and Particle
Precipitation in the Cusp Region: 3D Global PIC Simulation of the Solar Wind–Earth
Magnetosphere Interaction,

ApJ,

2022, DOI 10.3847/1538-4357/ac7e52

S. Ekawati, D. ...

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