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大学・研究所にある論文を検索できる 「ピラー状金属間化合物を生成させた鉛フリーはんだ接合部の耐熱疲労性向上に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ピラー状金属間化合物を生成させた鉛フリーはんだ接合部の耐熱疲労性向上に関する研究

中田, 裕輔 ナカタ, ユウスケ 群馬大学

2021.09.30

概要

本研究では,パワーモジュール製品における絶縁基板とヒートシンクの接合に用いるはんだ接合部の熱疲労耐久性を向上させるため, ピラー状金属間化合物(Intermetallic compound (IMC))を生成させたはんだ接合部に関する研究を行った。はんだ接合部内に生成させるピラー状 IMC の生成メカニズムを明らかにして,ピラー状 IMC の生成が熱疲労耐久性に与える影響を調査した。さらに,ピラー状 IMC を生成させることで高い接合強度が得られる合金を選定し,既存 Sn-3.0Ag-0.5Cu(mass%)合金に対するはんだ接合部の熱疲労耐久性向上策を検討した。

第 1 章では,地球温暖化問題,大気汚染問題から自動車における排ガス規制やガソリンエンジン規制について概説し,自動車の電動化の必要性を説いた。自動車電動化のコア部品の一つであるインバータ向けパワーモジュールの役割から,製品の進化を支える接合技術に注目し,高熱疲労耐久性を実現するいくつかの接合材料から,はんだにピラー状 IMCを生成させることで今までにない熱疲労耐久性が得られる可能性を示した。

第 2 章では,ピラー状 IMC の生成に及ぼす接合時のはんだ溶融条件及び冷却条件の影響について調査し,ピラー状 IMC の生成メカニズムを考察した。Sn-3.0Ag-0.5Cu と Cu基板との接合部を対象として,ピラー状 IMC の形状及び構造を解析し,Cu6Sn5 であることを明らかにした。また,ピラー状 IMC の生成角度は接合界面に対して 0 度から 90 度まで広く分布するが 90 度付近が最大となることを明らかにした。はんだ中への Cu の溶解度はSn-Cu 系平衡状態図の液相線に沿って変化することから,接合温度によりピラー状 IMCの生成量が決まることを示した。さらに,ピラー状 IMC は溶融はんだの冷却時に,溶融はんだの固液共存相への相変化が始まることにより Cu6Sn5 が晶出し,液相の方向へ成長することにより,冷却方向に長いピラー状 IMC が生成することを明らかにした。

第 3 章では,ピラー状 IMC を生成させることにより熱疲労耐久性が向上することを確認し,そのメカニズムをミクロ組織観察及び FEM 解析からピラー状 IMC の機械的特性を明らかにして考察した。はんだ接合部に縦弾性係数の高いピラー状 IMC が強化材として機能することで,ピラー状 IMC はんだ接合部の縦弾性係数及びせん断強度は向上することを明らかにした。また,接合部の縦弾性係数はピラー状 IMC の生成方向に対して高くなる傾向があることから,機械的特性に異方性があることを示した。さらに,熱サイクル試験においてはんだ接合部に発生するき裂は,ピラー状 IMC への到達を境に多方向へ分散することで接合部のせん断方向への進展が抑制され,接合界面に対し平行方向へのき裂進展速度が小さくなることを明らかにした。

第 4 章では,ピラー状 IMC の生成に加えてはんだ合金による強化を加えることで更なる優れた熱疲労耐久性が期待できると考え,Sn-3.0Ag-0.5Cu 以外の 4 種のはんだ合金(Sn- 0.7Cu-0.05Ni,Sn-5Sb,Sn-3.0Ag-0.5Cu-2.0Bi,Sn-3.0Ag-0.5Cu-5.0In)を比較評価し,最適な合金材を選定した。接合部のミクロ組織観察より,全ての合金において 100 µm 以上の長さのピラー状 IMC が生成することを示した。各合金の接合強度は,Sn-3.0Ag-0.5Cu- 2.0Bi 以外の合金はピラー状 IMC を生成させることで向上し,Sn-3.0Ag-0.5Cu-5.0In が最も高強度な接合部を形成することを明らかにした。

第 5 章では,第 4 章で最も高い接合強度が得られた Sn-3.0Ag-0.5Cu-5.0In を用いて,接合部にピラー状 IMC を生成させ,はんだ接合部の熱疲労耐久性を調査した。ピラー状 IMCを生成させることで,熱サイクル試験時に接合部に発生する非弾性歪み範囲は小さくなり,耐久性が向上した。これは,ピラー状 IMC を生成させることにより機械的特性が向上したことによる効果と考えられる。パワーモジュールを想定した接合試験片の熱サイクル試験から,ピラー状 IMC を生成させることにより熱疲労寿命が約 2 倍に向上することを示した。熱疲労解析より算出した非弾性歪み範囲と熱サイクル試験から得られた寿命から非弾性歪み範囲-寿命線図を作成した。その結果,ピラー状 IMC を生成させた Sn-3.0Ag-0.5Cu- 5.0In は,Sn-3.0Ag-0.5Cu と比べ,パワーモジュールで想定される非弾性歪み範囲において総じて高寿命を示すことを明らかにした。

第 6 章では,本研究を総括した。

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