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On the epsilon factors of ℓ-adic sheaves on varieties

竹内, 大智 東京大学 DOI:10.15083/0002007144

2023.03.24

概要

審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 竹 内 大 智  

正標数の代数多様体上の ℓ 進層とそのエタールコホモロジーは、多様体の数
論的性質を調べるための基本的な道具である。例えば定数体が有限体の場合に
は、Grothendieck の跡公式により、L 関数が Frobenius 作用素の固有多項式と
して表される。スムーズな多様体上の ℓ 進層に対し、Beilinson と斎藤により、
その特異台と特性サイクルが定義され、多様体が射影的な場合には、ℓ 進層の
Euler 数を交点数として表す指数公式が証明されている。特性サイクルの構成
の基礎にあるのは、多様体から曲線への射の孤立特性点の変形に関する、消失
輪体の導手の不変性である。
イプシロン因子とは、L 関数の関数等式の定数項とそれに関係する局所的な
不変量であり、Euler 数の数論的な精密化である。竹内さんは上記の幾何的な
理論の数論的な応用を研究し、1. 上記の不変性の局所イプシロン因子への精
密化を証明した。その応用として、2. 特性サイクルの精密化としてのイプシ
ロンサイクルを構成し、L 関数の関数等式の定数項に関する指数公式を証明し
た。また、3. 多様体から曲線への射の孤立特異点での消失輪体の局所イプシ
ロン因子を、その特異点が定める対称双線形形式の不変量で表す公式も証明し
た。論文は 3 つの部分からなり、この 3 つがそれぞれの部分の内容と対応する。
それぞれの部分の詳しい内容は次の通りである。以下の 1. と 2. では、簡略化
のために、論文での一般的な結果を有限体上の場合に制限して記述する。
1. 有限体 Fq 上のスムーズなスキーム S をパラメータの空間とする、スムー
ズな多様体 X からアフィン直線 A1 への射の族と X 上の ℓ 進層 F でこの射に
関して孤立特異点しかもたないものを考える。特異点での消失輪体の空間は、
A1 の局所体のガロワ表現であり、A1 の座標の微分が定める 1 形式により S の
¯ × への
各閉点に対しイプシロン因子が定まる。この S の閉点全体の集合から Q

関数を適当な符号で補正したものが,Artin の相互法則をみたすという意味で
の連続性をもつことが第 1 部の主結果である.この結果は、第 2 部と第 3 部の
基礎となる。
証明は、一般の基礎スキーム上の消失輪体の理論と Deligne-Laumon による
導手の連続性を組み合わせるという特性サイクルの構成でも使われた方法に、
イプシロン因子は局所 Fourier 変換の行列式で表せるという Laumon の公式を

1

組み合わせるものである。
2. 特性サイクルは特異台の各既約成分に整数を係数としてつけたものであ
¯ × の 1 の巾根
るが、ここで定義されるイプシロンサイクルでは、係数として Q

¯ × ⊗ Q をとる。有限体上の ℓ 進層 F に対し、その特異台の
の群による商群 Q

¯ × ⊗ Q 係数の線形結合 E(F) を構成する。これは、特性サイクル
既約成分の Q

が曲線への孤立特性点での消失輪体に対する Milnor 公式で特徴づけられるの
と同様に,曲線への孤立特性点での消失輪体に対するイプシロン因子を交点数
で表す式で特徴づけられる。さらに特性サイクルと同様に、射影多様体の場合
の指数公式や、横断的な射によるひきもどしとの関手性をみたす。
イプシロンサイクルの構成では、各既約成分の係数を Milnor 公式の類似を
要請することで定める際にそれが曲線への射のとりかたによらないことを示す
ことが要点である。これを示すために、第 1 部の結果より定まるパラメータの
¯ × は、Katz-Lang による高次元の
空間 S のアーベル基本群の指標 π1ab (S) → Q

¯ × ⊗Q
類体論における有限性定理より、定数体 Fq の基本群の指標 π1ab (Fq ) → Q

を定めることを用いる。指数公式の証明は、Laumon による L 関数の関数等式
の定数項の積公式に帰着させる。
3. スムーズな多様体から曲線への射の孤立特異点に対し、Grothendieck 双
対性により対称双線形形式が定まる.標数が 2 でない場合には、この双線形形
式の判別式として定数体の 2 次指標が得られる。標数が 2 の場合には、孤立特
異点を長さ 3 の Witt ベクトルの環上へのもち上げてから双線形形式の判別式
を調べることにより、この場合にも定数体の 2 次指標が得られる。孤立特異点
でのイプシロン因子の符号がこの 2 次指標で定まるというのが定理である。標
数が 2 の場合に得られた定数体の 2 次指標は、曲線の有限被覆の特異点に対し
て定まる Arf 不変量の高次元化にあたるもので、興味深い新しい不変量である。
証明は第 1 部の連続性を使って通常 2 重点の場合に帰着させるものである。
以上のように博士論文では、イプシロン因子の連続性という基本的な性質を
証明することにより、そこからイプシロンサイクルの理論を構成し、孤立特異
点でのイプシロン因子の新しい公式を得るという数論幾何の重要な結果を導い
ている。よって、論文提出者 竹内大智 は、博士(数理科学)の学位を受ける
にふさわしい充分な資格があると認める。

2

参考文献

[1] Beilinson, A.: Constructible sheaves are holonomic, Selecta Math. (N.S.) 22 (2016),

no. 4, 1797-1819.

[2] Berg´e, A.-M., Martinet, J.: Formes quadratiques et extensions en caract´eristique 2,

Ann. Inst. Fourier (Grenoble) 35 (1985), no. 2, 57-77.

[3] Deligne, P.: Les constantes des ´equations fonctionnelles des fonctions L, Modular

functions of one variable, II (Proc. Internat. Summer School, Univ. Antwerp, Antwerp,

1972), pp. 501-597.

[4] Guignard, Q.: Geometric local epsilon factors, arXiv:1902.06523.

[5] Katz, N.-M., Lang, S.: Finiteness theorems in geometric classfield theory, Enseign.

Math. (2) 27 (1981), no. 3-4, 285-319 (1982).

[6] Laumon, G.: Transformation de Fourier, constantes d’´equations fonctionnelles et con´

jecture de Weil, Inst. Hautes Etudes

Sci. Publ. Math. No. 65 (1987), 131-210.

[7] Saito, T.: The characteristic cycle and the singular support of a constructible sheaf,

Inventiones Mathematicae, 207(2) (2017), 597-695.

[8] Yasuda, S.: Local ε0 -characters in torsion rings, J. Th´eor. Nombres Bordeaux 19

(2007), no. 3, 763-797.

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