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大学・研究所にある論文を検索できる 「Investigation of FRET System and Fluorine-Containing Nucleic Acids by Artificial Nucleobases」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

Investigation of FRET System and Fluorine-Containing Nucleic Acids by Artificial Nucleobases

Hirashima, Shingo 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24442

2023.03.23

概要

学位論文の要約
題目
Investigation of FRET System and Fluorine-Containing Nucleic Acids by Artificial Nucleobases
(人工核酸塩基を活用した FRET システムと含フッ素核酸の研究)

氏名

平島 眞吾

1. 序論
核酸塩基は遺伝情報に関わる DNA の機能の中心を担う構成要素である。蛍光による可
視化や機能性核酸の創出を目的として、化学修飾を施した人工核酸塩基の研究が進めら
れてきた。蛍光塩基の応用として FRET が挙げられる。FRET とはドナー・アクセプタ
ー間の距離と配向に依存したエネルギー移動であり、ナノメートルスケールの定規とし
て生体分子の構造解析に用いられてきた。蛍光塩基からなる FRET ペアは一般的な
FRET 系よりもオリジナルの構造からの改変が小さい。そこで、蛍光塩基を用いた新た
な FRET ペアの開発とヌクレオソームにおける評価に取り組んだ。フッ素原子は天然化
合物における存在量は少ないが、高い電気陰性度や脂溶性の誘起といった物性を有する。
その物性の特異性にもかかわらず小さな原子サイズであることから創薬化学などにお
いて有用性が示されている。2-フルオロアデニン(2FA)、及びその誘導体は薬剤などとし
て研究が進められてきた。しかし、それが導入された DNA の基本的な性質は調べられ
ていないため、様々な核酸の高次構造に 2FA を導入して物性を評価した。

2.

Construction of a FRET System in a Double-Stranded DNA Using Fluorescent Thymidine
and Cytidine Analogs

一般的な FRET 系において蛍光分子はリンカーを介して導入されるため、蛍光分子の自
由回転により配向因子は平均値をとる。一方で、蛍光塩基は水素結合とスタッキング相
互作用により配向が固定されるため、FRET 効率は距離と配向の両方に依存する。これ
までにチミンアナログを使用した FRET ペアは存在しなかったため、我々が開発した高
輝度な蛍光チミンアナログを活用した FRET ペアを構築した。定常状態の蛍光スペクト
ルと蛍光寿命をもとに FRET 効率の実験値を算出したところ、配向依存性を示す周期的
な増減が観察された。本系はドナーとアクセプターの両方が蛍光を示すため、ドナーの
消光とアクセプターの蛍光の増加との独立な方法で FRET 効率を評価することができ

る。FRET 効率の理論値を計算すると、実験値と理論値は同様の挙動を示した。

3. Evaluation by Experimentation and Simulation of a FRET Pair Comprising

Fluorescent Nucleobase Analogs in Nucleosomes
グアニン-シトシンアナログからなる FRET ペアをヌクレオソームに導入して FRET を観察
した先行研究があるが、その FRET ペアはドナーとアクセプターの蛍光スペクトルに重な
りがあり、実験データの分析に煩雑な処理を要し精度が低かった。前章で構築した FRET ペ
アはその問題点を解決しているため、ヌクレオソーム中での FRET に関してより深く考察
できると考えた。アクセプターの位置が異なる 3 種類の長鎖 DNA を化学合成し、これを用
いてヌクレオソーム再構成を行った。定常状態の蛍光スペクトルを測定し、前章で述べた独
立な二つの手法によりアクセプターの位置に応じた異なる FRET 効率が算出された。熱的
な振動や構造のばらつきを評価するために、溶媒分子を含む全原子分子動力学(MD)計算か
ら理論値を得た。理論値と実験値との比較では、アクセプターの位置に対する FRET 効率の
値には相関がみられたが、実験値が理論値に比べて一様に低かった。理由として DNA がヒ
ストン八量体から部分的に解離し、実際の距離が結晶構造よりも長いことが挙げられる。タ
ンパク質と結合していない DNA により高い切断活性を持つ酵素でヌクレオソームを処理
した結果、約 100 塩基対の位置にバンドが見られ、DNA の部分的な解離が示唆された。

4. Characterization of 2-Fluoro-2’-deoxyadenosine in Duplex, G-quadruplex and i-

Motif
2-フルオロアデノシン(2FA)はこれまで薬剤分子の骨格や低エネルギー電子の検出、 19FNMR のプローブとして研究されてきたが、アデニンの N-2 位のフルオロ化が DNA の構造
に与える影響は調べられてこなかった。そこで、2FA を通常の二本鎖 DNA やグアニン四重
鎖、i-モチーフに導入して物性を評価した。二本鎖 DNA の融解温度測定から、2FA-T 塩基
対は A-T 塩基対と同様の熱的安定性を有することが明らかとなった。2-クロロアデノシン
による二本鎖 DNA の不安定化を考慮すると、フッ素原子の小ささが安定性の維持に寄与し
たと考えられる。興味深いことに、2FA-C ミスマッチを含む DNA は A-C ミスマッチを含む
DNA よりも高い熱的安定性を示した。概算された熱力学パラメータ(ΔH, ΔS)によると、2FAC の安定性はエントロピー(ΔS)の利得によることが示唆された。芳香族化合物のフッ素化は
化合物の脂溶性を向上させることが知られており、アデニンの N-2 位のフルオロ化による
DNA の副溝における脱水和がエントロピー的に安定化をもたらしたと考えられる。非標準
型の核酸の高次構造であるグアニン四重鎖と i-モチーフについても、フッ素原子が溶媒に
露出するような位置に 2FA が導入された際に特徴的な安定性やトポロジーが観察された。 ...

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