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大学・研究所にある論文を検索できる 「アデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子導入により蝸牛に過剰発現したニューロトロフィン3が持つ騒音性蝸牛シナプトパチーに対する保護効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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アデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子導入により蝸牛に過剰発現したニューロトロフィン3が持つ騒音性蝸牛シナプトパチーに対する保護効果の検討

橋本 研 東北大学

2020.03.25

概要

【背景】
一過性の聴力閾値上昇を生じるような騒音への曝露は、蝸牛有毛細胞を損傷することなく有毛細胞と聴神経線維のシナプス結合を破壊する可能性があり、これは騒音下での語音弁別能の低下や耳鳴の原因となり得る。

【目的】
ウイルスベクターを用いた遺伝子導入による蝸牛内でのニューロトロフィン 3(neurotrophin 3; NT3)の過剰発現が騒音曝露後の一過性聴力閾値上昇に伴う蝸牛シナプスの損傷(シナプトパチー)を修復し得るか検証した。

【方法】
6 週齢の CBA/CaJ マウスの後半規管に NT3 もしくは緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein; GFP)の遺伝子を含むアデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus; AAV)を注入し、3 週後に騒音に曝露した。騒音曝露は確実にシナプトパチーを生じるよう周波数域、音圧レベル、時間を設定した。溶媒のみを注入し騒音に曝露させた群とウイルスを投与したが騒音に曝露させなかった群を、蝸牛に何も注入せず騒音曝露のみを行う群と蝸牛への注入も騒音曝露も行わない群とともに対照群とした。騒音曝露から 2 週後に聴性脳幹反応と歪成分耳音響放射により聴力閾値を測定し、その直後に蝸牛を摘出し、主に有毛細胞とシナプスの形態と個数について組織学的解析を行った。これらとは別に、NT3 発現の定量的解析のため、AAV-NT3 を注入し騒音に曝露しなかった蝸牛を取り出し qRT-PCR で NT3 RNA を比較定量した。

【結果】
GFP は蝸牛全域の内有毛細胞と主に頂回転の外有毛細胞に発現し、後半規管への AAV 投与によりこれらの細胞に遺伝子が導入されると示された。GFP の蛍光の強度は基底側から蝸牛頂側に向かうに伴い増強しており、遺伝子の発現レベルにも同様の傾向があると推測された。qRT-PCR では、AAV-NT3 を注入して 1 日後から 21 日後の間は 4 倍から 10 倍、40 日後は 1.7 倍に NT3 の発現が増加すると示された。騒音曝露に先行して蝸牛に投与された AAV-NT3 は用量依存性にシナプトパチーを軽減し、ほぼ完全にシナプスが保護された領域もあった。騒音に曝露させなかった群では、NT3 の過剰発現は聴力閾値に影響を及ぼさず、蝸牛の組織学的変化も生じなかったが、GFP の過剰発現は永久性聴力閾値上昇と蝸牛頂側優位の広汎な内有毛細胞死を生じさせた。この有毛細胞死の分布は、推測されている AAV の経後半規管投与による有毛細胞での遺伝子発現レベルの勾配と一致する。騒音に曝露させた群では、NT3 の過剰発現は永久性聴力閾値上昇を生じさせた。

【結語】
蝸牛での NT3 の過剰発現は騒音によって生じるシナプス損傷を軽減するが、強制的な過剰発現が有毛細胞自体を傷害する可能性がある。

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