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書き出し

Studies on the epithelial injury-related molecules inducing the urinary system disorders in animals [an abstract of entire text]

難波, 貴志 北海道大学

2023.03.23

概要

Title

Author(s)

Citation

Issue Date

Doc URL

Studies on the epithelial injury-related molecules inducing the urinary system disorders in animals [an abstract of entire
text]

難波, 貴志

北海道大学. 博士(獣医学) 甲第15512号

2023-03-23

http://hdl.handle.net/2115/91412

Type

theses (doctoral - abstract of entire text)

Note

この博士論文全文の閲覧方法については、以下のサイトをご参照ください。

Note(URL)

File Information

https://www.lib.hokudai.ac.jp/dissertations/copy-guides/

Takashi_Namba_summary.pdf

Instructions for use

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

学位論文の要約

学位論文題目
Studies on the epithelial injury-related molecules inducing
the urinary system disorders in animals
(動物の泌尿器異常を導く上皮障害関連分子の研究)

獣医学院

博士(獣医学)

氏名

難波貴志

【緒言】
哺乳類の腎臓は不要な老廃物を尿として除去し、体液バランスを一定に調整する、生命維
持に必須の臓器である。その機能が破綻した慢性腎臓病(CKD)は主な死因の一つであ
り、近年、ヒトではその死者数が全世界で 1.2 億人にのぼり、日本においても 8 人に 1 人
が罹患する。伴侶動物でも腎疾患は死亡原因の上位を占め、英国においてイヌで 4.2%、
ネコで 12.1%が腎疾患に起因して死亡する。つまり、ヒトと動物、両者にとって CKD の
早期診断および治療法の確立は解決すべき共通課題である。
腎臓の病態はその要因から腎前性、腎性、腎後性に区分され、高血圧や虚血、免疫異常、
尿路障害等が各病態を導く。腎臓から尿道に至る尿路では、各管状臓器構造を内張する上皮
が尿とその実質組織を画し、尿―上皮バリア(UEB)を形成する。腎臓において、足細胞は
血液濾過バリアを形成し、尿細管や集合管上皮は原尿と血液の境界となってミネラル等の
分泌・再吸収を担う。また、尿路上皮は尿を蓄積し、尿から粘膜下組織を保護する。一方、
これまでの研究において、泌尿器の病態形成機序の一つとして、UEB の崩壊とそれに付随
する上皮病態関連分子の発現異常が報告されている。足細胞の傷害に伴う糸球体病変の形
成、虚血や尿路閉塞に起因する尿細管の上皮間葉転換と線維化、慢性腎炎に続発する尿路上
皮の破綻とその直下での三次リンパ組織の形成が挙げられる。
その中でも、IL-36α および 17 型コラーゲン A1(COL17A1)の発現は、それぞれ障害
された腎上皮細胞と尿路上皮細胞で増加する。これら泌尿器に発現する上皮病態関連分子
は、治療標的や尿中の病態診断マーカーの候補として重要である。そこで本研究では、疾患
モデルマウスと臨床検体を用いて、両分子を介した腎臓および尿路の病態形成機構につい
て精査し、泌尿器疾患領域における獣医療および医療の発展に貢献することを目的とした。
【第一章】
腎上皮細胞障害関連分子として IL-36 受容体(IL-36R)およびそのリガンド群(IL-36 群)
に着目した。
IL-36 群は IL-1 ファミリーに属し、
3 つの作動分子
(IL-36α, IL-36β, IL-36γ)
と 2 つの拮抗分子(IL-36Ra, IL-38)から成る。慢性腎炎モデルマウスにおいて、その遠位
尿細管で IL-36αは過剰発現する一方、他の IL-36 群およびその受容体の腎臓内局在は不明
である。そこで本章では、腎炎モデルおよび健常マウスの解析から、IL-36 群とその受容体
の発現局在を探索し、その腎病態形成機構の解明を目的とした。
自然発症の腎炎群に MRL/MpJ-Faslpr/lpr(MRL/lpr)
、対照群にその野生型(MRL/MpJ)
を用い、3 および 6-7 ヶ月齢の雌雄から腎臓を採取した。自己免疫異常(脾重量体重比、抗
dsDNA 抗体濃度)および腎病理指標(糸球体病変、尿細管間質の細胞浸潤)を定量した。
定量的 PCR で IL-36 群の腎臓内遺伝子発現を、免疫染色で蛋白局在を評価し、発現変化を
認めた IL-36 群については、その発現量を組織学的に定量した。また、in situ ハイブリダ
イゼーションにより、マウスとネコ IL-36R の腎内 mRNA 局在を解析した。
雌雄腎炎群の IL-36α遺伝子発現量は、対照群と比べて有意に高値だった。その他の IL-

36 群遺伝子発現量に系統、雌雄や月齢間で有意差はなかった。免疫染色から、IL-36Ra は
平滑筋、IL-36γは交感神経で恒常的に発現した一方、腎炎の進行に伴い、IL-36αの発現は
障害された遠位尿細管や CD44+活性化型の糸球体包外壁の上皮細胞に誘導された。さらに
腎炎マウスでは、IL-36Ra は腎上皮細胞で、IL-36βと IL-38 は形質細胞で発現した。本分
子群において、特に IL-36αおよび IL-38 の腎臓内発現定量値が腎炎スコアと正に相関し
た。また、IL-36R は腎臓内で遍在性に局在する一方、腎炎進行に伴い障害された腎上皮細
胞で発現誘導され、その下流にあたる NF-κB や MAPK 経路関連分子群の腎臓内遺伝子発
現が増加した。加えて、ネコ腎組織を用いた解析では、IL-36R の mRNA が遠位尿細管や糸
球体包外壁の上皮細胞に検出され、これはマウス IL-36αおよび IL-36R の局在と一致した。
以上、腎内 IL-36 群は脈管神経系で機能する恒常発現型と、障害を受けた上皮細胞や浸潤
細胞に発現する誘導型に大別され、その局在から前者は腎恒常性調節に、後者は、特に IL36αを中心に UEB 崩壊を伴う炎症性病態形成に関与すると考えられた。また、IL-36R の
局在から、そのシグナルを介した腎病態形成機構は動物種に共通する可能性が示唆された。
【第二章】
IL-36R シグナルを介した腎病態形成機構のさらなる解析のため、IL-36R を欠損した腎炎モ
デル MRL/lpr マウス(IL-36R-KO)を用いて、その腎表現型を野生型マウスと比較した。
雌雄 6 ヶ月齢の両群マウスを用いて、第一章と同様の解析に加え、腎臓の線維化を評価
した。また、免疫染色により、核内 IL-36αと共局在する分子を探索した。
両群間において、自己免疫異常および腎機能指標、IL-36 群の腎内発現量は同等だった。
一方、腎病理解析では、雌雄 IL-36R-KO の糸球体病理の重篤度および雌の尿細管間質の線
維化は、野生型と比べ軽度だった。また IL-36R の有無に関わらず、IL-36αは腎上皮細胞
の細胞質と核に局在し、その一部は核内のアセチル化リジンやヒストンアセチル化酵素
GCN5 と共局在を示した。
以上、IL-36R の欠損は腎炎病態を軽度に抑制した。IL-36 群、特に腎上皮細胞における
IL-36αの過剰発現は、その細胞内局在から、IL-36R 依存的および非依存的な経路を介して、
糸球体および尿細管における UEB 崩壊に寄与すると考えられた。
【第三章】
第一、第二章では、IL-36 群に着目して腎上皮障害に伴う腎病態形成機構を明らかにした。
一方、腎臓の下流にあたる腎盤や尿管等において、それを内張する尿路上皮の障害もまた腎
病態を惹起する。そこで、本章では尿路上皮細胞障害関連分子として COL17A1 に着目し
た。これは表皮や角膜上皮のヘミデスモソーム構成分子だが、腎盤の尿路上皮細胞も慢性腎
炎に伴い COL17A1 を異所性に発現し、腎盤における三次リンパ組織の発達や腎炎の進行
に関与する。結石や腫瘍等に伴う閉塞性尿路疾患は尿路上皮の崩壊、粘膜の炎症や腎障害を
惹起するため、本章では閉塞性尿路疾患モデルマウス、さらにはネコとヒトの症例由来組織

を用いて本疾患における COL17A1 の病態意義を検証した。
尿路結石症に罹患したネコとヒトの尿管を用い、免疫染色または in situ ハイブリダイゼ
ーションにより COL17A1 発現細胞を検出し、その局在等を各々の健常尿管と比較した。
その尿路病態における機能精査のため、2 ヶ月齢雄の C57BL/6N マウスに深麻酔下で片側
尿管結紮(UUO)を施した。術後 1、4、7 日目で、腎病理組織評価に加え、免疫染色で
腎盤と尿管に発現する COL17A1 の定量やその関連分子との共局在解析を行い、偽手術群
と比較した。また、3 ヶ月齢の雌雄 Col17a1 欠損マウスにも UUO を施し、1 日目で同様
の組織解析を行った。マウス由来の免疫細胞培養系を準備し、マウス尿や COL17A1 で刺
激後の遺伝子発現変化をマイクロアレイと定量 PCR で解析した。
COL17A1 が閉塞性尿路疾患を呈したヒトやネコの尿管尿路上皮細胞で異所性に発現す
ることを見出した。閉塞性尿路疾患モデルマウスにおいても、腎盤および尿管の尿路上皮
細胞で COL17A1 発現が検出された。さらに、尿路上皮細胞関連分子群との共局在解析に
より、COL17A1 は尿路上皮細胞の細胞接着、分化や増殖に関与することが明らかとな
り、COL17A1 発現の定量値は尿細管間質の病理指標と正に相関した。本モデルマウスの
腎盤を組織学的に精査したところ、特に尿管から連続する平滑筋層が消失する部位におい
て、尿路上皮細胞の脱落と COL17A1 の発現誘導が顕著だった。さらに、UEB 崩壊によっ
てその下層の腎盤実質に尿が浸潤した。また、免疫細胞培養系を尿で刺激すると、ケモカ
イン群、特に Cxcl2 遺伝子の発現が増加し、COL17A1 で刺激した CD11b+細胞において
もその発現は上昇した。加えて、UEB 崩壊部位では CXCL2+CD11b+細胞が観察された一
方、Col17a1-KO マウスではその浸潤が軽度だった。
以上、尿路閉塞病態において、UEB の崩壊に伴う COL17A1 は尿路上皮細胞の増殖等の
病態応答に関与する一方、炎症細胞の局所誘導にも関与すると考えられた。さらに、
COL17A1 は生物種横断的な新規の腎泌尿器病態関連分子であり、その尿中検出は尿路や
腎臓の障害指標となり得る。
【結論】
各泌尿器疾患モデルマウスを用いた解析により、本研究は 1)腎炎の進行に伴い障害された
腎上皮細胞では、IL-36α優位な発現変化が糸球体および尿細管間質病変の形成に関与する
こと、2)閉塞性尿路疾患では、COL17A1 が尿路上皮細胞で異所性に発現し、尿路上皮の
再構築と局所の炎症に関与することを示した。これら泌尿器における上皮障害関連分子は
UEB 崩壊を導く一方、新たな治療標的および尿中診断マーカーになり得る。近年、ヒトを
含む複数の生物種に共通する疾患に着目し、生物種横断的にその病態解明や治療法・診断法
を考察する学問は “汎動物学” と称される。マウス、ネコ、
ヒトにおける IL-36R と COL17A1
の泌尿器内発現動態には共通性がみられるため、本結果を汎動物学的視点から考察するこ
とは、獣医療さらにはヒト医療への応用に向けて意義深い。以上、本研究は動物ならびにヒ
トの泌尿器疾患に対する診断および治療戦略の発展に向けて、新たな知見を提供した。 ...

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