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大学・研究所にある論文を検索できる 「Elucidation of genes involved in cadmium distribution in rice through genome-wide association study and their characterization.」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Elucidation of genes involved in cadmium distribution in rice through genome-wide association study and their characterization.

肖, 華 東京大学 DOI:10.15083/0002006867

2023.03.24

概要

























本論文はイネ種子へのカドミウム蓄積に影響を及ぼす遺伝子のゲノムワイド
関連解析を通じた同定とその特徴について研究を行ったもので、序論に続く2
つの章、およびまとめから成る。
序論では食料安全におけるカドミウムの汚染の過去の事例や現状、イネにお
けるカドミウムの蓄積や輸送の研究の現状について概説されている。また、本
研究で使われたゲノムワイド関連解析の原理や適用例について述べている。
第一章では多系統のイネ種子のカドミウム濃度を用いたゲノムワイド関連解
析よって、カドミウム蓄積との関連が推定されていた OsMCR1 についての研究を
行っている。OsMCR1 は MATE と呼ばれる一群の輸送体遺伝子ファミリーに属して
おり、MATE には無機イオンの輸送活性が報告されているものも含まれていたこ
とから、カドミウム輸送への関与が考えられた。
本章ではまず、OsMCR1 がイネ種子のカドミウム蓄積を制御する遺伝子かどうか
を分子遺伝学的に確認している。CRISPR/Cas9 を用いて OsMCR1 に変異を持つ独
立な変異株 4 系統を作出、カドミウムを含む土壌で栽培し、それらの系統の種
子におけるカドミウム濃度を測定したところ、いずれの系統でも野生型株より
カドミウム濃度が低下していることを示した。この結果をもとに、OsMCR1 がイ
ネ種子のカドミウム蓄積を制御する遺伝子であることを結論づけている。
一方でイネ個体の穂軸節やその下部の節のカドミウム濃度には変異型株と野
生型株で違いが見られなかったことから、OsMCR1 がイネ体内のカドミウム分布
に影響を与えている可能性を示唆している。幼植物を、カドミウムを含む培地
で栽培したところ、変異型株では根や若い葉の葉鞘でカドミウム濃度が低下し
ていたと報告している。さらに OsMCR1 のカドミウム輸送活性を調べるために
酵母で発現させ、カドミウムを含む培地で培養した後の酵母のカドミウム濃度
を測定している。その結果、OsMCR1 の発現によってカドミウム濃度が高まった
ことから輸送活性があると結論づけている。また、OsMCR1 をシロイヌナズナに
おいて過剰発現させると培地中のカドミウムに対する感受性が高まり、野生型
株に比べてより低濃度のカドミウムで生育抑制が観察されることを報告してい

る。さらに OsMCR1 の細胞内局在を推定するために GFP との融合タンパク質を
イネのプロトプラストで発現させたところ、細胞膜と細胞内小器官に蛍光が観
察されたことを報告しており、OsMCR1 の主な細胞内局在は細胞膜であると推定
している。
これらの結果から、OsMCR1 は主に細胞膜に局在する新規のカドミウム輸送体
であり、種子を含めたイネ体内のカドミウム分布に影響を及ぼすことを結論づ
けている。
第二章では同様にゲノムワイド関連解析によって種子へのカドミウム蓄積
への関与が推定された OsHIPP20 の解析を行なっている。CRISPR /Cas9 を用い
て OsHIPP20 に変異を持つ独立な変異株を2株取得し、カドミウムを含む土壌
で栽培し種子のカドミウム濃度を測定したところ、濃度低下が見られたことを
報告している。さらに Tos17 挿入変異株でも同様の現象が見られたこと、幼植
物でもカドミウム濃度に差が見られること、GFP との融合タンパク質が核に存
在することなどを報告しており、OsHIPP20 がイネのカドミウム輸送を制御する
新規遺伝子であることを結論づけている。
まとめでは、本論文によりイネのカドミウム蓄積を制御する新たな二つの遺
伝子が同定されたこと、また、これら遺伝子を用いた今後の応用の可能性につ
いて言及されている。
これらの研究成果は、学術上応用上寄与するところが少なくない。よって、審
査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。

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