Anti-nociceptive and anxiolytic effects of systemic flupirtine and its direct inhibitory actions on in vivo neuronal mechanical sensory responses in the adult rat anterior cingulate cortex
概要
〔目的(Purpose)〕
疼痛管理において、作用機序の異なる鎮痛方法を組み合わせるmultimodal analgesiaが推奨されている。フルピルチンは非麻薬性であり、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)にも含まれない鎮痛薬として、ヨーロッパを中心に使用されている。しかしながら、世界的な注目は低くその鎮痛効果の作用機序は十分に検討されていない。また、最近では不安などの疼痛に関連する情動と感覚反応としての疼痛の相互関係が注目されている。本研究では、疼痛と情動をつかさどる前帯状回におけるフルピルチンの作用とそのメカニズムについて検討した。
〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
ラットにおいて、von Frey test、Elevated plus maze test を行った。フルピルチン投与によりそれぞれ逃避行動閾値の有意な増加と不安様行動の有意な減少を認め、フルピルチンの抗侵害作用に加え抗不安効果を明らかにした。次に、麻酔下に細胞外記録を行い前帯状回の自発的神経活動と刺激に応じた神経活動の増加を記録した。そして、フルピルチンを全身投与または前帯状回への局所投与を行ったところ、前帯状回における自発性•刺激誘発性の神経活動が有意に抑制された。この抑制作用メカニズム解明のため、脳スライスを使用したwhole-cell patch-clamp recordingを行った。結果、治療濃度のフルピルチンは前帯状回の錐体細胞において抑制性シナプス後電流のdecay timeを有意に延長した。
〔総括(Conclusion)〕
フルピルチンは、GABA受容体を介したシナプス電流を増強させることで前帯状回における自発性•刺激誘発性の神経活動を抑制する。また、フルピルチンの前帯状回における作用により、疼痛反応や疼痛に関速する情動が緩和されることが示唆される。