リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Anti-AQP4 autoantibodies promote ATP release from astrocytes and induce mechanical pain in rats」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Anti-AQP4 autoantibodies promote ATP release from astrocytes and induce mechanical pain in rats

石倉, 照之 大阪大学

2021.12.31

概要

〔目的(Purpose)〕
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica :NMO)はアストロサイト表面に発現するアクアポリン4 (AQP4)に対する病原性自己抗体が産生され、視神経炎や長大な脊髄炎を呈する神経免疫疾患である。多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の一病型と考えられてきた時期もあるが、病原性自己抗体の同定により疾患概念として独立した。様々な神経症候を呈するが、神経障害性疼痛はその一つである。一般的な鎮痛薬やオピオイドなどでもコントロール困難なことも多く、臨床的に大きな問題となっている。しかしNMOの神経障害性疼痛のメカニズムに関する基礎研究は皆無に近い状況である。われわれの研究室ではNMO患者髄液でダメージ関連分子パターン(damage
associated molecular patterns:DAMPs)が上昇している事を既に示している。DAMPsは細胞死によって放出される 免疫活性能の高い分子群である。この研究では末梢神経障害性疼痛の動物モデルではAΤΡが重要であると既に知られていること、ATPがDAMPsの一分子であることからNMO疼痛においてAΤΡに着目し、その疼痛メカニズムを解明し新規治療開発を目指すことを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
我々はまずNMO患者髄液細胞曲来のリコンビナントAQP4抗体(AQP4 Ab)をルイスラットの第10胸椎レベル脊髄に直接注射して動物モデルを作成した。免疫組織染色で脊髄にAQP4、アストロサイトのマーカーであるグリア線維性酸性 蛋白質(glial fibrillary acidic protein:GFAP)共に脱落したNMO病巣を確認した。この動物の機械疼痛をVon Frey試験で経時的に評価したところ、抗体投与後3日目にコントロール抗体投与群と比較してNMO群で有意に疼痛逃避反応の閾値が低下し、機械疼痛を呈していることを確認した。次にAQP4 AbによりAQP4強制発現ヒト胎児腎細胞 293 (Human Embryonic Kidney cells 293:HEK293)とラットプライリーアストロサイトからAΤΡが放出されることを 確認した。さらにAΤΡ阻害薬であるΤΝΡ-AΤΡを脊髄投与したところ抗体投与後3日目の疼痛症状が軽減した。さらなるメカニズム解明のために脊髄のトランスクリプトーム解析を行ったところ主成分分析でコントロール群とNMO群の群間の分離ができ、複数のATP受容体の発現の変化を認めた。末梢神経障害性疼痛のモデルで既に重要と報告されているAΤΡ受容体であるP2X4RもNMO群で発現亢進していた。エンリッチメント解析でToll様受容体のpathway、 IL-5のpathway、補体カスケードなどヒトNMOで既に重要と報告のあるpathwayが動いている事を確認した。さらに発現上昇している50の遺伝子群に対してSTRING解析を行ったところIL1Bがhub geneとなっていた。IL-1βは末梢神経障害性疼痛で既に疼痛を引き起こすサイトカインとして知られていること、DAMPSが単球系細胞にキャッチされた後に分泌されるサイトカインであることからNMO疼痛との関連が考えられた。さらに患者髄液ATPをルシフェラーゼアッセイで測定しNMO患者の急性期、寛解期ともにMSの急性期、寛解期、他の神経疾患と比べて有意に高値であることも確認した。

〔総括(Conclusion)〕
AΤΡは細胞死によって放出されるDAMPsの一種であり、NMOにおいてDAMPsは自然免疫系の活性化を促すことが知られている。自然免疫の異常は自己免疫疾患や感染症など様々な疾患に関与しているが、NMOのような中枢性脱髄疾患の疼痛との関連を報告した研究はこれまでに無い。今回NMO疼痛にAΤΡが関連する可能性を示すことができた。今後NMO疼痛とATPカスケードの研究がさらに進めば、多くの自然免疫系の分子をターゲットにした新たな治療開発につながると考えている。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る