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大学・研究所にある論文を検索できる 「Promoting Effect of Basic Fibroblast Growth Factor in Synovial Mesenchymal Stem Cell-Based Cartilage Regeneration」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Promoting Effect of Basic Fibroblast Growth Factor in Synovial Mesenchymal Stem Cell-Based Cartilage Regeneration

岡村, 元佑 大阪大学

2021.04.30

概要

〔目 的(Purpose)〕
関節軟骨(硝子軟骨)は細胞外基質を豊富に有する一方、血流に乏しく自発的な修復が起こりにくい組織である。既存の治療法として骨穿孔術・自家骨軟骨柱移植・自家軟骨細胞移植が挙げられるが、力学的に硝子軟骨に劣る線維軟骨組織で修復されることや採取部位変性の可能性、適応可能な欠損サイズ・形状の限界などの課題が挙げられる。それらを克服するため当科では滑膜由来間葉系幹細胞((synovial mesenchymal stem cell; SMSC)より、SMSCを含み細胞外基質を豊富に有するmatrixを開発し臨床試験を行った。臨床スコアの改善を認めた一方で、最表層の軟骨分化は不十分である点が課題として挙げられたため、治療効果向上のため移植細胞の前処置による軟骨分化促進を目指した。増幅培養時にMSCの軟骨分化能を高める前処置として成長因子・シグナル蛋白の添加、低酸素状態、表面抗原による細胞選別などが挙げられるが、それらの有効性を生体内(In vivo)で示した報告はない。成長因子の一つであるbasic fibroblast growth factor (bFGF)は褥瘡・皮膚潰瘍治療剤として臨床で使用されている薬剤だが、fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3)を介して未分化能を維持するといわれており、bFGFで前処置したMSCは高い細胞増殖能・多分化能を示すと報告がある。本研究の目的はbFGFによる前処置がSMSCの軟骨分化能を高め、In vivoでの軟骨組織再生を促進するかを検証することである。

〔方法(Methods)〕
関節鏡手術時の余剰組織として採取した滑膜(5ドナー、平均17.4歳)よりSMSCを単離し、細胞増幅する際にbFGF添加(5ng/mL)の有無で+群と-群に分けて第3継代まで増幅培養し、FGFR3蛋白発現・細胞増殖効率・表面抗原マーカー発現を評価した。その後2×105個のSMSCを遠心分離で凝集させたpelletを両群で作成し、4週間の軟骨分化誘導(bFGF添加無し)後に組織学的評価・軟骨分化関連遺伝子発現評価(collagen type II alpha 1; COL2A1, collagen type X alpha 1; COL10A1, sex-determining region Y-box 9; SOX9, aggrecan; ACAN)・細胞外基質の定量評価〔sulfated glycosaminoglycan(sGAG)含有量、collagen type II(COL2)免疫染色陽性領域評価〕を両群で行った。
In vivoではscid mouseの大腿骨滑車部に骨軟骨欠損(直径・深さ1.0mm)を作成し、pellet移植群(+群、-群)及び欠損のみ群の3群を設定し、術後8週でhuman vimentin染色による移植細胞のトレーシング、組織学的評価及びスコアリングを行った。

〔成績(Results)〕
全ドナーのSMSCでFGFR3の蛋白発現を確認し、+群は-群に比して細胞増殖促進効果を認めた一方でmesenchymal surface markers(CD44, CD73, CD90, CD105)やmesenchymal negative markers(CD11b, CD271)、chondrocyte surface marker(CD151)の発現に変化はなかった。軟骨分化誘導後の結果では+群は-群に比して全ドナーにおいて有意に大きいpelletに分化した。また+群は-群に比しCOL2A1遺伝子の相対発現量が有意に増加し、細胞外基質を染めるSafranin-O(Saf-O)染色で濃染され、COL2免疫染色陽性領域は有意に広範囲であり、有意に高いsGAG含有を示した。In vivoの組織学的評価では+群-群ともpellet移植部にhuman vimentin染色陽性細胞を認めヒト細胞の残存が確認された。また-群では軟骨分化を示唆する組織像(Saf-O染色による基質の濃染・ラクナ構造)は認められなかった一方、+群では認められ、bFGFによる軟骨分化促進効果とともに+群で移植したSMSCの軟骨組織への直接分化が認められた。またO’Driscoll scoring systemにおいても軟骨修復スコアはpellet移植群が欠損のみ群に対し有意に改善し、+群は-群より有意に改善した。

〔総 括(Conclusion)〕
bFGF添加でヒトSMSCの増殖・軟骨分化が促進された。またSCIDマウスの骨軟骨欠損モデルにおいて、bFGFで前処置したヒトSMSCでは軟骨への直接分化が確認され軟骨修復が促進された。今後はbFGFがSMSCの増殖・軟骨分化を促進するメカニズムの解明や、ヒトへの臨床応用を視野に入れた大動物モデルでのbFGFの有効性の検証が必要と考える。

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