リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「A statistical study of galaxy spatial distribution and evolution」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

A statistical study of galaxy spatial distribution and evolution

河野, 海 名古屋大学

2022.06.02

概要

その誕生以来宇宙は膨張とともに冷却され、初期の密度揺らぎが重力相互作用により成長することで銀河や大規模構造(LSS)などの多彩な構造をもたらした。宇宙の冷却に伴い、バリオン(通常物質)と光子は脱結合する。銀河の空間分布には、この際の音響振動スケールの痕跡が特徴的に現れる。 (バリオン音響振動: BAO)。その後、一度中性化した宇宙は最初期に形成した天体によって再び電離された(宇宙再電離期: EoR)。本論文の対象天体である銀河は、星や星間物質、ダークマターによって構成される宇宙の主要なエネルギー源であるとともに、LSS の構成単位である。また、銀河中心に存在する超巨大ブラックホール(SMBH: M>10^6M_sun)への物質降着から銀河間における物質循環まで幅広い空間スケールにわたる物理現象を内包する天体であるため、銀河形成・進化モデルの構築には宇宙論・天文学双方からの総合的研究が必要である。

本論文では、銀河空間分布解析(第一部)及び、EoR から現在に至るまでの銀河進化モデルの構築(第二部)を行なった。

第一部では、銀河分布が持つ幾何学的情報を用いた BAO シグナルの解析を行なった。従来、BAO の検出には銀河の相関関数やパワースペクトルが用いられてきたが、BAO 起源の相関関数シグナル強度は銀河団のシグナルと比べ~1%程度と微弱であるため、有意な結果を得るためには大規模なかつサンプリング率の高いサーベイが不可欠であるという課題がある。本論文ではデータの幾何学的特徴を抽出する解析手法であるトポロジカルデータ解析(TDA)を用いた解析を行なった。TDA では、データが内包する穴の情報をパーシステントホモロジー群として代数的に取り扱い、パーシステントダイアグラム(PD)によって構造の位相情報およびスケールの評価を行う。

TDA の BAO シグナル検出の妥当性を検証するためバリオンを含む場合と含まない場合についての N 体シミュレーションに対する PD の比較を行い、バリオンを含むサンプルにのみ有意な三次元の穴構造が含まれていることを示した。さらに、複数の独立なシミュレーションを用いてコズミックバリアンスの評価を行い、PD の信頼区間への影響が 20%程度であること、 BAO検出の有意性は保たれることを示した。また、SDSS DR14 eBOSS サーベイから得られた銀河分布観測データに対しても PD を評価し BAO スケールに対応する構造が 3σの信頼区間で存在することを明らかにした。

第二部では、Karl G. Jansky Very Large Array(VLA)電波干渉計によって得られた COSMOS 領域における 3GHz サーベイデータを用いて赤方偏移 6 までの光度関数進化モデルを構築した。

3GHz 電波光度は星形成が活発な銀河での超新星残骸や、活動銀河核(AGN)からのエネルギー輸送によって加速された電子と磁場との相互作用を起源とするシンクロトロン放射が主たる寄与をする電磁波である。更に建設中の超大型センチ波・メートル波電波干渉計 SKA で計画されている銀河サーベイに対して、重力レンズ効果による光度関数進化モデルパラメータ推定への影響を評価した。その結果、星形成銀河、AGN の計数が十分に得られるサーベイデザインでは光度関数のパラメータ推定に対して有意な影響を与えることを示した。

更に、EoR における AGN 周辺の輝度分布モデル構築を輻射輸送計算によって行なった。このモデルに基づいて、SKA による中性水素起源の 21cm 線観測によって赤方偏移 10-15 における高赤方偏移 AGN 光度関数の進化モデルが制限可能であることを示した。さらに、多変数分布関数による電波光度以外の波長情報を統合することで現在から EoR に至るまでの銀河進化を記述した。

以上より、バリオン-光子脱結合から再電離期、そして続く銀河進化の時期について銀河の進化を推定・記述する統計的方法を体系的に構築した。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る