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大学・研究所にある論文を検索できる 「Prosocial behavior toward estranged persons modulates the interaction between midline cortical structures and the reward system」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Prosocial behavior toward estranged persons modulates the interaction between midline cortical structures and the reward system

川道, 拓東 カワミチ, ヒロアキ Kawamichi, Hiroaki 群馬大学

2021.07.31

概要

他者の痛みを和らげる鎮痛は臨床現場の医療行為の中で最も基本的なものの一つである。鎮痛行動の動因には、他者の痛みを理解するための情緒的反応(共感)を重要とする共感-利他行為仮説が提唱されている(Batson, 1991)。一方で、このような情緒的反応が過度に強くなると、情緒的消耗感を感じることを通じて、燃え尽きたように仕事に対する意欲を失うBurn-outが発生する(Maslach et al., 1982)。近年、医師-患者関係の変化に伴い、医療現場でのBurn-out事例が増加している(Dybre et al., 2018)ことからも、鎮痛行動の動因を支える神経基盤を明らかにすることの重要性は高い。

 本研究では、共感-利他行為仮説の中でも、鎮痛行動の動因が、周囲の人に共感すること、すなわち、痛みを取り除かないことに起因する周囲からの自己への低評価を避けることであるとする共感-罰仮説(Archer, 1981)に着目し、その神経基盤を明らかにすることを目的とする。周囲からの自己への評価の変動は、楔前部で表象される(Kawamichi et al., 2018)ことから、他者への鎮痛行動の動因は、鎮痛行動により周囲からの自己への評価が高くなることを通じて、社会的報酬を表象する線条体(Izuma et al., 2008, Kawamichi et al., 2015)と楔前部との連関、すなわち、機能的結合性が増強すると予測する。

 本研究では、心的痛みと身体的痛みが同様の神経基盤で処理される(Eisenberger & Lieberman, 2004)ことに着目し、コンピュータ上でのボール回し中に他者が仲間外れになり、それを実験参加者が助けることで他者の心的痛みを緩和することが可能なcyberball課題(Kawamichi et al., 2013)を応用して実験的検討を実施した。本実験には、21人の健常男性(21.50±0.42歳)が参加した。周囲の人に共感を高めるには、鎮痛行動の対象者への共感が発生しにくい状況(例:対象者の印象が悪い)とする必要がある。そのため、他の実験参加者の印象を、事前にインタビュービデオを見ることにより操作して、悪印象、あるいは、中立印象となるようにした。Cyberball課題中は、悪印象、あるいは、中立印象の人いずれかが仲間外れになる状況を作り、実験参加者からのトスが増える(心的痛みを緩和する行動が起こる)か否かを確認し、同時に3TfMRI(Verio; Siemens)により脳活動を計測した。

 結果として、仲間外れになった人には通常(仲間外れでない)時と比較して、実験参加者からのトスが増え、心的鎮痛行動が発生していることを確認した。悪印象の人への心的鎮痛行動においては、中立印象の人へのそれと比較して、楔前部([-20, -62, 48], k=314)の活動が惹起され、社会的報酬を表象する線条体([24, 20, 4], k=10)と機能的結合性の増強を示した。楔前部が自己の評価の変動を行うことを踏まえると、悪印象の人への心的な鎮痛行動は、自己の良いイメージを得ることが動因となっていることを示唆する。

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