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大学・研究所にある論文を検索できる 「Plasmodium falciparum RIFIN is a novel ligand for inhibitory immune receptor LILRB2」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Plasmodium falciparum RIFIN is a novel ligand for inhibitory immune receptor LILRB2

迫口, 瑛史 大阪大学

2021.03.24

概要

〔目的(Purpose)〕
マラリアは蚊を媒介としたPlasmodium属の原虫を病原体とする感染症であり、特にPlasmodium falciparum感染は重症マラリアを引き起こすことが知られている。マラリア流行地ではP. falciparumに繰り返し感染後も十分な獲得免疫が成立しないことから、P. falciparumは宿主免疫から逃避する特有のメカニズムを持つことが考えられる。私たちの最近の研究により、それまで機能不明であったP. falciparum感染赤血球上に発現するRIFINという分子が免疫抑制化受容体であるLILRB1やLAIR1を介して免疫細胞活性を抑制することがわかった(Nature. 2017)。さらに、このLILRB1結合RIFINはLILRB1と結合する際に、LILRB1の生理的リガンドであるHLAクラスI分子と同様の結合様式をとることがわかった(Nature. 2020)。私たちはLILRB1やLAIR1以外の免疫抑制化受容体もP. falciparumの免疫逃避に利用されているのではないかと考え、解析を行った。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
P. falciparum感染赤血球と相互作用する免疫抑制化受容体を探索するために、様々なヒト免疫抑制化受容体と抗体のFc部分との融合タンパク質を作成し、実際のマラリア患者から得られたP. falciparum感染赤血球と融合タンパク質との結合をフローサイトメトリーにより解析した。その結果、先行研究で認められたLILRB1、LAIR1との結合だけではなく、LILRB1と同じLILRファミリー受容体の1つであるLILRB2とP. falciparum感染赤血球との結合が認められた。その結合の特異性を確認するためにLILRB2と結合するP.falciparum感染赤血球をソーティングすることで、最終的にP. falciparum感染赤血球上にはLILRB2特異的なリガンドが存在していることが明らかとなった。LILRB1とLILRB2の生理的リガンドはHLAクラスI分子であり、さらにLILRB1とLILRB2のリガンド結合部位の高い相同性から、P. falciparum感染赤血球上に存在するLILRB2のリガンドはRIFINではないかと考えた。RIFINはP. falciparum原虫の1つのゲノムあたり150種類以上がコードされている多重遺伝子ファミリータンパク質であり、その構造はN、C末端の保存された領域(conserved region)とその間の可変領域(variable region)とから成るが、先行研究の結果から受容体との結合領域はvariable regionではないかと考えられた。LILRB1結合RIFINのvariable regionのみをLAIR1結合RIFINのvariable regionに変更したところ、このキメラRIFINを発現したP. falciparum感染赤血球はLILRB1ではなくLAIR1と特異的に結合するようになり、この結果からRIFINの受容体結合領域はvariable regionであることが明らかとなった。この性質を基にLILRB2結合感染赤血球からクローニングしたRIFIN variable regionをLILRB1結合RIFINのvariable regionと入れ替えることによりRIFIN expression libraryを作成した。この中から作成したキメラRIFIN発現P. falciparum感染赤血球の1つが実際にLILRB2と結合し、さらにこのvariable regionを持つナイーブなRIFIN発現P. falciparum感染赤血球の解析を行ったところLILRB2と特異的に結合することがわかり、私たちはLILRB2結合RIFINを同定した。LILRB2の細胞外領域は4つの免疫グロブリン様ドメイン(D1-4)からなり、LILRB2は既知の全てのリガンドとDID2を介して結合することが知られている。LILRB2とLILRB2結合RIFINとの結合ドメインを明らかにするために、まずLILRB2の異なるドメインを認識するモノクローナル抗体を2つ作成した(抗D1D2抗体、抗D3抗体)。結合阻害実験で、LILRB2-FcとLILRB2結合RIFINとの結合は抗D3抗体存在下でのみ阻害された。さらに、LILRB2のそれぞれD1D2、D1D2D3と抗体のFc部分との 融合タンパク質を作成し、DID2-Fc、 D1D2D3-FcとLILRB2結合RIFINとの結合実験を行ったところ、D1D2D3-Fcのみが結合を認めた。このことから、LILRB2のD3がLILRB2結合RIFINとの結合に重要であることがわかった。

〔総括(Conclusion)〕
P. falciparum感染赤血球は様々な免疫抑制化受容体に結合するRIFINを獲得することにより、宿主からの効率的な免疫逃避を行なっている。

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