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大学・研究所にある論文を検索できる 「SLPI is a critical mediator that controls PTH-induced bone formation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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SLPI is a critical mediator that controls PTH-induced bone formation

森本, 彬人 大阪大学

2021.06.30

概要

〔目的(Purpose)〕
 成保の骨組織は、骨吸収と骨形成による骨の再構築(リモデリング)を生涯にわたって繰り返すことで、恒常性を維持する。近年、破骨細胞と骨芽細胞の時空間的位置関係が細胞間相互作用に寄与し、骨吸収と骨形成のバランスを制御するという知見が集積しつつある。骨代謝に関わる主要なホルモンである副甲状腺ホルモン(PTH)は、生体骨組織内で破骨細胞と骨芽細胞の細胞間相互作用を促進し、骨吸収と骨形成の両方を制御することが知られている。本研究では、PTHが骨形成と骨吸収をどのように協調的に制御するのか、その分子メカニズムを解明することを目的とした。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
 骨芽細胞をECFPで標織したトランスジェニックマウス(Col2. 3-ECFP)に、PTH製剤を1日1回週5日皮下投与した。3週後、マウスより骨を採取し、骨髄腔を開放した上でコラゲナーゼ処理を行い、細胞懸濁液からLin-CD45-ECFP4細胞集団を単離した。この細胞集団はOsteocalcinやOsterixの遣伝子発現レベルが髙く、骨芽細胞に特異的な集団であることを確認した。次に、次世代シーケンサー(RNA-Seq)を用いて、これらの細胞集団の網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、PTH投与群と非投与群の問で1288遣伝子に有意な発現変動が認められた。これらの中には、創傷治癒やタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)に関わる多くの遣伝子が含まれており、その中でもセリンプロテアーゼ阻害作用をもつ低分子タンパク質SLPIの発現が最も顕著に増加していることが明らかになった。
 次に、SLPIノックアウトマウスを使用して、SLPIがPTHの骨量増加作用に与える影響を検討した。大腿骨遠位端海綿骨量をマイクロ CTで計測した結果、SLPI欠損マウスでは野生型マウスと比較してPTHの骨量増加作用が有意に減少することが分かった。一方で、PTH非投与時の海綿骨量はSLPI欠損マウスと野生型マウスの間で差が認められなかった。PTH の投与下で、SLPIノックアウトマウスは野生型マウスと比較して、血清骨形成マーカーP1NPの値が有意に低い一方で、骨吸収マーカーCTXの値は有意に高かった。以上の結果より、PTHは骨芽細胞のSLPI遺倍子発現上昇を介して、骨形成と骨吸収の両方に影響を与え、骨量を増加させることが示唆された。
 骨芽細胞におけるSLPIの役割を明らかにするために、レトロウイルスベクターを用いてSLPIを過剩発現する MC3T3-E1骨芽細胞株を作成した。これらの細胞株は、分化誘導時に骨芽細胞分化に重要な転写因子(Runx2、Sp7)や分化マーカー (ALP、Collal、Bglap)の遺伝子発現が高かった。さらに、アリザリンレッド染色にて髙い石灰化能を有しており、SLPIは骨芽細胞が菊現する骨形成促進因子であることが分かった。一方で、リコンビナントSLHタンパク質 は、in vitroで破骨細胞の分化および骨吸収活性に影響を与えず、骨吸収に射する直接的な影饗については否定的であった。
 SLPIが破骨細胞と骨芽細胞の細胞間相互作用に与える影響を検討するために、SLPIを過剰発現した骨芽細胞株と破骨細胞の共培養を行った。その結果、SLPIを過剰発現した骨芽細胞では、コントロールの骨芽細胞株と比較して、有意に破骨細胞との細胞接着時間が大きいことが明らかとなった。
 最後に、SLPIが生体内で骨芽細胞と破骨細胞の細胞間相互作用に与える影饗を検討するために、二光子励起顕微鏡を用いてSLHノックアウトマウスの生体骨組織内における骨芽細胞と破骨細胞の動態を観察した。その結果、PTH投与下でSLPIノックアウトマウスでは野生型マウスと比較して、破骨細胞と骨芽細胞の混ざり合いの程度や、細胞間接触の頻度が有意に低いことが明らかとなった。

〔総括(Conclusion)〕
 本研究により、創傷治癒や抗炎症作用、癌の転移促進作用を持つ分子として知られていたSLPIが、PTHの骨同化作用にも関わることが明らかとなり、PTHの骨形成促進作用の新たな分子メカニズムが同定された。

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