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明治大学理工学部75年史 1995~2019年度

明治大学

2020.02.01

概要

明治大学理工学部75年史 1995∼2019年度
雑誌名

ページ
発行年
URL

明治大学理工学部75年史 1995∼2019年度
75
1-197
2020-02-01
http://hdl.handle.net/10291/21164

学科・専攻のこと

第二校舎4号館・5号館・D館

電気電子生命学科・電気工学専攻
~電気電子工学専攻・生命理工学専攻~
井家上 哲史、鎌田 弘之、松本 直樹、小野 治
1 学科の変遷(学科名称の変更・組織改編)
⑴ 電気工学科から電気電子工学科
 本学科の出発点である電気工学科は、1949年に工学部が発足した際に設置された最も歴史あ
る学科の一つである。1977年には電気工学科(1949年から1977年)と電子通信工学科(1977年
から2007年)の二つの学科に分離した。電気工学の学術的広がりもあり、95年より学科の将来
像を含め科名変更の検討が開始された。1999年 4 月、電気工学科は電気電子工学科に名称を変
更したが、
「電子」を冠する学科が 2 つとなった等要因から、電気系 2 学科構成を検討するきっ
かけとなった。図 1 は、1995~2017年度の学生数推移を示している。

図 1 .電気電子生命学科 学生数推移

⑵ 電気電子工学科、電子通信工学科を改組し電気電子生命学科に
 電気電子工学科および電子通信工学科は、システム制御、コンピュータ応用、エレクトロニ
クス、新素材、エネルギー、情報通信などの多種多様の分野に多くの優秀な学生を送り出して
きた。その結果、多くの電機メーカー等の企業から求人を得るなど大学の出口としての電気系
学科の教育研究が産業界で十分評価されてきた。他方、大学の入口として電気系学科は取り扱
う分野が広く、受験生に必ずしも理解されていない側面がある。理系離れや18歳人口の減少な

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どにより電気系学科で勉強したいという強い意欲のある学生が減少傾向にあり、また、特定の
専門分野を志望する受験生が減少していることも科学技術に関する調査で指摘されてきた。図
1 に示されるように、
2005年頃から電子通信工学科の学生数減少が表面化し、無視できなくなっ
てきていた。
 このような背景から2007年4月電気電子工学科および電子通信工学科は、生命科学の新機軸
を加え、電気電子生命学科として改組された。漠然とした考えで入学する学生に対して、電気
電子工学を学ぶことの先見の明を示し、科学技術成果の社会への還元の意味で社会のためにな
る分野を一層強化した。そのキーワードが生命である。これは、わが国の科学技術の戦略的重
点化項目として、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4分野が挙
げられていたことに呼応するかたちでスタートした。図 2 に、1995~2018年度の志願者数推移
を示している。生命分野を含む改組により、女子志願者が増加していることもわかる。
 電気電子生命学科では、電気・電子工学技術と生命科学の複合領域に関する技術全般を広く
取り扱い、電気電子工学の立場から生命について学ぶ。ここで生命とは動物・植物よりはむし
ろ人間情報に関し広い意味での生命情報を指し、主たる教育研究目標として実現することを目
指す。新学科は運用上二つの領域で構成される。一つはバイオナノ領域であり、電子物性工学
やナノテクノロジーの立場から、ナノスケールデバイスを利用した DNA 検査機器、創薬支援
機器、診療医療のための素材の開発などを新たに目指す。またもう一つの方向は、バイオシス
テム領域では、脳を含めた生命体が持っているネットワーク、情報処理、生命現象からヒント
を得た計算アルゴリズムの開発、センサー、行動規範、人間型ロボット、DNA コンピュータ、
生体認証システム等である。
⑶ 二専攻導入(電気電子工学専攻・生命理工学専攻)
 エネルギー、環境、医療、高齢化社会、福祉、産業の問題は山積しており、このなかで電気
電子工学や関連の学問への期待は大きい。2007年度に開設された電気電子生命学科は、従来の
電気電子工学のみならず、生命科学との融合分野を取り入れ、将来性のある教育・研究分野を

図 2 .電気電子生命学科 志願者数推移

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切り拓いてきた。しかし多数ある電気電子工学系科目と生命系科目を、学生が分野ごとに系統
立てて履修できておらず、本来必要とされる基礎学力を身につけないまま様々な分野の専門科
目を履修してしまう問題が生じた。また、生命系科目が相対的に少なく、生命科学との融合分
野である生命工学や医用工学を志向する学生のニーズに十分に答えられておらず、他大学理工
学部の生命系学科を志願する受験生を十分に取り込めていないようであった。
 これらの問題を解決するため、エネルギー、環境、情報、通信、制御、材料科学など電気電
子工学系の基幹技術に関する教育・研究の強化、および医用工学などの生命理工学系の融合領
域に関する教育・研究の強化を行い、この二軸を推進するために、2015年度より電気電子工学
専攻と生命理工学専攻の二専攻制を導入した。電気電子工学専攻は 3 クラス、生命理工学専攻
は1クラスで、それぞれの入学定員は、当初それぞれ、165名、55名であったが、現在は150名、
50名である。
 電気電子工学専攻では、従来の基礎および専門科目を整理・充実させ、確実な基礎学力と応
用力を養う。生命理工学専攻では、生命系科目を充実させ、厳選された電気電子工学系の基礎
および専門科目と、生命科学および工学の基礎科目を修得させ、両分野を融合させる柔軟性と
展開力を養わせる。さらに生命工学・生命科学や医用工学の関連分野を専門とする教員を増や
し、生命工学系分野を志向している受験生を取り込み、受験者数の純増を期待した。
 入試は専攻毎に行い、各専攻の特色を打ち出すようにしている。従来の受験者層に加えて、
電気電子工学系または生命理工学系を強く志願する受験生の獲得を目指している。2学科に分
割するのではなく、 1 学科の2専攻としたのは、両分野を幅広く学びたい受験生のニーズにも
応えるためでもある。就職先についても従来の電気電子情報系企業を維持したまま、医療、創
薬、生命工学分野へと裾野を広げられる。専攻間で共通性の高い基礎科目について両専攻の教
員で協力し、教員の負担が増加しないような運用を行っている。

2 学科の特徴(教育上の理念・目的)
 急速に変貌する社会において、エネルギー・環境・医療・高齢化社会・福祉・産業に関する
諸問題の解決に寄与するため、我が国の科学技術の先進性を維持・発展させる電気電子生命系
分野は、ますます重要となる。電気電子工学系の基幹技術を発展させる応用力と、電気電子工
学と生命理工学の融合分野の複合的な理解と展開に貢献する柔軟な思考を持つ人材を、建学の
精神にのっとり輩出していく。
 電気電子工学専攻は、現代の先端技術の中心にある電気・電子・情報・通信などの技術分野
を包括する専攻である。電気電子工学の基幹技術の上に幅広い応用力を持って高度な研究・開
発を行える実力ある電気電子工学研究者・技術者を養成する。
 生命理工学専攻では、電気電子工学および生命科学の基礎を学んだ上で、生命工学・医用工
学への応用力・展開力を養う。分子から個体レベルまでの生命科学の基礎を身につけ、高度に
発展した電気電子工学技術を活かして、医療、高齢化社会、福祉等の諸問題の解決に資する生
命理工学研究者・技術者を養成する。

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3 カリキュラムの編成および特色
 共通科目は専攻の区別なく開講している。1・2年次の多くの基礎科目は両専攻で共通になっ
ているが、生命理工学専攻では生命系科目を強化すべく1・2年次の生命科学系の科目が拡充
されている。3・4年次の専門科目は、それぞれの専攻の特色を明確化する。電気電子工学専
攻では、電気エネルギー、電気物性、情報制御、通信伝送分野の専門科目群を設ける。生命理
工学専攻では、生命工学、医用工学、生命科学分野の専門科目群を設置する。
 2学科から1学科への改組時には、生命系の科目を取り込むために電気系専門科目を整理し
た。その後、従前の電気電子生命学科のカリキュラムのスリム化を図り、81科目あった専門教
育科目を、電気電子工学専攻では65科目、生命理工学専攻では57科目(うち両専攻共通科目45
科目)とした。ただし、幅広い分野の学習を行いたい学生のために、設置された全科目は専攻
に関わらず履修可能となっている。

4 教員の変遷と研究分野の遷移  
⑴  教員の変遷
 1995年度の電気工学科所属教員は、西山栄枝専任教授、本多高専任教授、都築旋二専任教授、
松瀨貢規専任教授、山元洋専任教授、植草新一郎専任教授、工藤勝利専任教授、三木一郎専任
教授、小野治専任教授、森啓之専任助教授、天野正章専任助教授、久保田寿夫専任講師、伊藤
浩専任講師の13名であった。1999年度に田中賢一専任講師が加わり、2004年度に小椋厚志専任
助教授、柳生光彦専任講師、熊野照久専任助教授が、2006年度に嶋田総太郎専任講師、森岡一
幸専任講師が着任した。これらの教員の中で、森啓之専任教授、田中賢一専任教授ならびに森
岡一幸専任准教授は、2013年度より総合数理学部ネットワークデザイン学科へ移籍した。
 1995年度の電子通信工学科所属学科教員は、岡栄一専任教授、大竹政光専任教授、中野遼太
郎専任教授、石田義久専任教授、根本俊夫専任教授、北見徳廣専任教授、遠藤哲郎専任教授、
松本直樹専任教授、荒井祓彦専任教授、鎌田弘之専任助教授、川口順也専任講師、三浦登助手
の12名であった。1997年度に井家上哲史専任助教授が着任し、1998年度には、一般教育から、
松本皓永専任助教授が加わり2013年度に退職した。2004年度に関根かをり専任助教授、2006年
度に加藤徳剛専任講師が着任した。
  2 学科から 1 学科に改組した2007年度に池田有理専任講師、2010年度に勝俣裕専任准教授、
野村新一専任准教授が着任した。2011年度には、和田和千専任准教授、小野弓絵専任准教授、
小原学専任講師、2012年度には村上隆啓専任講師、2013年度には工藤寛之専任准教授、中村守
里也専任准教授、川崎章司専任講師、2014年度には野口裕専任准教授、梶原利一専任准教授、
2017年度に田中幹也専任教授、丁利亞専任教授が着任した。
 1995年の時点では、電気工学科・電子通信工学科の明治大学工学部、理工学部、大学院の電
気系出身の教員はそれぞれ9名・10名であった。電気電子生命学科に再編された現在は、教員
27名の内、母校電気系出身者は電気電子工学科出身者5名、電子通信工学科出身者4名の合計
9 名となっている。また、関根かをり教授が2004年に着任してから着実に女性教員が増加し、
現在は27名中 4 名が女性教員である。
 

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⑵ 研究分野の遷移
 1995年時点での電気工学科、電子通信工学科の研究分野は、電気物性研究、通信伝送研究、
情報制御研究、電気エネルギー研究の 4 分野であった。2007年度に電気電子生命学科へ統合さ
れると同時に情報制御研究は、生体情報制御研究に名称を変更した。その頃から、着任する教
員の研究分野は、従来の電気電子工学の分野に加えて、有機化学、生命科学、脳科学、機械学
習などの新しい分野に広がっていった。以下で、1995年度の電気工学科と電子通信工学科の両
学科の各教員の研究室名称と2019年度の電気電子生命学科の研究室名称の変遷を表で見てみ
る。表の左側の枠は、1995年当時の大学院の4研究分野に従って作ってある。
 表で分かるように、カタカナを含む研究室名称が増え、キーワードに、複雑、複合、アドバ
ンスト、バイオ、生命、知能、知識というワードが現れていることに、四半世紀の時代の変化
を見ることができる。2019年度から、表の左側の4研究分野は、電気電子生命研究に一本化さ
れている。これにより、大学院博士前期課程、後期課程の学生の指導教授の変更を柔軟に行う
ことが可能となり、学生同士、研究室同士の研究交流の促進にもつながっている。今後、より
新しい研究テーマの創出、学内学外の研究室との共同研究の活性化が期待される。

表 1 .1995年度と2019年度における学科内研究室名称の比較
1995年度
電気工学科・電子通信工学科 研究室名称

2019年度
電気電子生命学科 研究室名称

ロボットシステム、電力工学、電機制御、エネルギー 電機システム、超伝導応用技術、電力システム、シス
変換機器、システム制御、電力システム、電機システ テム制御、大規模複雑システム、アドバンスト機器制
ム、電磁エネルギー
御、
電気磁気材料、光エレクトロニクス、電子事象、電子 半導体テクノロジー、オプトバイオエレクトロニクス、
素子、電子材料、電子物性
機能デバイス、電気磁気エネルギー材料、有機分子エ
レクトロニクス
電子計測、伝送工学、通信システム、情報伝送

通信技術、光通信工学、集積回路システム、波動信号
処理回路

電子回路、情報数理、数理基礎、計測制御、電子情報 回路網、知能信号処理、電子情報生命、複合情報処理、
工学、回路網、信号処理工学室
知識工学
健康医工学、有機分子 ・ バイオ機能材料、認知脳科学、
医療福祉ロボット、生命情報、脳回路機能、バイオ ・
マイクロデバイス

5 今後の展望
 2020年を目前とする現在、各研究室に所属する学生達は、幼いころからキーボード、タッチ
パネルに長時間触れて育ち、記号化されたバーチャルな世界、答えの選択肢が準備された世界
に慣れ親しんできた世代である。図3に1995年度と2017年度の就職実績を示したが、社会の情
勢の変化も相まって学生の就職先にも変化が見られるようになってきている。情報通信・サー
ビス産業へ就職する学生は確実に増加してきている。
「電気は産業の基盤」であるが、従来通
りの産業基盤にも変化が見られる。学生や受験生も、一時の流行ではなく世の中の流れを敏感
に感じ取っているのかもしれない。
 電気電子生命学科では、
学生達を「混沌とした知識の迷路の世界」=「研究の世界」に導き、

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問題を発見し、その解決に挑戦し続ける楽しさを経験させることで、社会に貢献出来る人材を
育成しようとしている。教員と学生がその経験を共有することが、研究の持続と活性化の源泉
となる。2019年度から、大学院の研究4分野の名称は「電気電子生命研究」に一本化した。 
 後期博士課程の学位論文のタイトルは、1995年度から2014年度までは、伝統的な電気電子工
学の分野のタイトルが主流であったが、2015年度以降は、生命科学、脳科学の分野のタイトル
が増えてきた。今後もこの傾向は続くと思われる。

図 3 .電気電子生命学科 1995年度と2017年度の就職実績比較

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機械工学科・機械工学専攻
納冨 充雄、中別府 修、椎葉 太一、小林 健一、
松尾 卓摩、澤野 宏、中 吉嗣
学科の特徴(納冨 充雄)
 機械工学科の前身は、1949年に明治工業専門学校が明治大学工学部に昇格した際に設置され
た機械科である。1989年に工学部が理工学部に改組された際にも、引き続き機械工学科として、
学部教育の一翼を担っている。
 現在の学科は、建学の精神を引き継ぎ、社会のニーズを反映した育成人材像を、『平和で豊
かな社会を実現していく責任感と倫理観を持ち、柔軟かつ総合・多面的な思考と機械工学の知
識・技術に基づき、他者と協調して課題を発見・解決し、積極的に価値を創造する、そして自
ら成長を継続できる“自立した創造的技術者”』としている。その実現のため、15名の教員が
グローバルに通用する技術者に必須の要件を満たした学習・教育目標を定め、これを達成する
年間のカリキュラムを提供している。まず、主要 4 力学(流体力学、熱力学、材料力学、機械
力学)を必修とし、演習を設けて知識及びその応用力の向上を図っている。さらに、実験・実
習、設計製図科目も必修あるいは選択必修により、全ての学生がエンジニアとして実務に役立
つ実学を身に付けるようになっている。これらの科目はできるだけ専任の教員が担当すること
により、教育の質が担保されるように心がけている。
 一方、学科を構成する教員の研究分野は、材料力学、機械力学、熱流体力学、制御、設計・
加工の 5 分野に分けられ、機械工学の全分野に対して、バランス良く配置されている。全ての
教員は自身の研究成果を日常的に日本機械学会や関連する学協会で公開するだけでなく、それ
らの学協会の運営にも積極的に参加し、学術的な責務を果たしている。さらに、各教員が主宰
する研究室では、学部生は 8 -10名、修士学生は 1 学年当たり 3 - 5 名が在籍し、教員の指導
の下に、研究活動を行っている。特に修士学生は、教員と同じく日本機械学会や関連する学協
会で自身の研究成果を発表し、高く評価され、優秀学生賞を授与される学生も少なくない。
 さらに、学科の国際化として、海外で開催されるシンポジウムで積極的に発表することと、
マレーシアからの留学生を積極的に受け入れてきたことが挙げられる。前者の代表として、機
械情報工学科および韓国慶尚大学校と合同で毎年実施しているシンポジウムが挙げられる。開
催を韓国と日本の隔年で実施し、2019年の時点で第14回を数え、機械工学科卒業生(機械工学
専攻)の学生の参加者は延べ100名を超えている。本シンポジウムはすべて英語で行われるだ
けでなく、両国学生が同室で宿泊する機会を設け、その交流を促進していることから、参加学
生の評価も高い。一方、後者の代表として、マレーシアからの留学生を組織的に受け入れてい
ることが挙げられる。これは毎年 1 - 3 名を受け入れ、既に30名を超えている。2019年度に創
設されたマレーシア父母会の会長が本学科出身学生の父母であることもからも、本学科のマ
レーシアとの交流に対する貢献度を示す例となっている。

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カリキュラム改訂(澤野 宏)
 機械工学科では新制大学設置認可に伴い工学部が開設された1949年以降、2015年のカリキュ
ラム改訂までに18回のカリキュラム改訂が行われてきた。1995年までは不定期にカリキュラム
改訂が実施されてきたのに対して、1995年以降は 5 年毎に定期的かつ全学的なカリキュラム改
訂が実施されるようになった。近年では、1995年、2000年、ならびに2015年に大規模なカリキュ
ラム改訂が行われている。
 1995年のカリキュラム改訂では、通年で開講されていた「工業力学」、「材料力学Ⅰ」、「機械
製図」、「設計製図」

「コンピュータ機械工学」、「ゼミナール」、「卒業研究」の 7 科目を春学期
開講科目と秋学期開講科目に分割することにより、全ての科目が半期開講となった。この他、
7 科目について科目名称等の変更が加えられた。
 2000年のカリキュラム改訂では、大幅な科目の整理が行われ、
「伝熱工学Ⅱ」、「コンピュー
タ機械工学Ⅱ」

「油空圧機器」

「熱機関」、
「工作機械」、
「機械工学概論」が廃止された.また、
このカリキュラム改訂においては製図系科目についても大幅な見直しがなされており、
「機械
設計製図Ⅱ」が「機械システム設計実習」と「メカトロニクス実習」に変更され、より実践的
な設計を学べるようになった。これにあわせて、「機械設計製図Ⅰ」が「機械設計製図Ⅱ」に、
「機械製図Ⅱ」が「機械設計製図Ⅰ」に、「機械製図Ⅰ」が「機械製図」に変更されている。
2000年のカリキュラム改訂で 6 科目が廃止された代わりに、2005年のカリキュラム改訂では「自
動車の科学」、「熱流体・エネルギー」

「実験工学・演習」、「工業英語」の 4 科目が新設されて
いる。2010年のカリキュラム改訂では「工業英語」が廃止された他、「自動車の科学」が「機
械工学通論」に、
「機械工作 1 」が「ものづくり原論」へと変更された。これらの科目は2015
年のカリキュラム改訂でそれぞれ「基礎機械工学 1 」「基礎機械工学 2 」へと変更され、機械
工学科の学生が最初に学ぶべき基礎を教える内容を提供している。
 2015年のカリキュラム改訂では、
「工業力学・演習 1 」
、「機構学」

「材料強度学」の 3 科目
が廃止され、「創造デザイン実習」が新設された。また、このカリキュラム改訂におけるその
他の大きな特徴として、必修科目を大幅に増やしたことが挙げられる。選択必修科目を除く必
修科目は、2010年カリキュラムでは卒業要件単位132単位中75単位であったのに対して、2015
年カリキュラムでは136単位中94単位となっている。これは、機械工学科の学生が卒業までに
習得すべき項目を定めた「学習教育目標」を確実に達成させる目的に基づく。
 このように、機械工学科では、定期的かつ不断なカリキュラムの見直しにより、大学や機械
工学科としての伝統を守りつつも、時代の変化にあわせて教育の質を維持してきた。

図1 製図系科目の移り変わり

39

JABEE(日本技術者教育認定機構)活動(中別府 修)
 機械工学科では、2005年度に JABEE の新規認定審査を受け、以来、技術者教育の国際的同
等性を担保された教育プログラムとして継続して認定を受けている。卒業生は、ワシントン協
定加盟国の同分野の修了生と同等の技術者教育を受けたものと認められ、グローバル環境でも
技術者として活躍できる。また、技術士一次試験が免除され、技術士補となる資格を得ている。
 JABEE 認定の経過(図 2 )を振り返ると、新規審査から11年間、認定審査で懸念(C)や
弱点(W)を指摘され、 3 年毎の受審を重ねていた。2015年のカリキュラム改定に合わせ、学
習教育目標の再編、シラバスの改善、ルーブリックを用いた達成度評価基準の明示、学科・学
部等を含む組織的活動の見直しを行い、2016年度に全ての審査項目で適合(A)または懸念(C)
と判定され、 6 年認定を受けるに至った。
 学科では、新規受審を決定する際に、「JABEE の基準はミニマムリクワイアメントであり、
当然、自分たちの教育活動はそれに適う」、「通常の活動で審査には通る」との理解と、審査に
構えず、日常業務の延長としての対応する姿勢を確認している。2010年の認定継続審査の前に
は、継続の是非の議論で「学科の正当性、卒業生の(国際的)評価のために認証は必要」、「外
部評価、JABEE 審査は自身の改善活動として実施」ということを確認している。
 JABEE 認定で従前からの教育ポリシーや内容に不連続な違いが生じた訳ではないが、認証
を受けるには、教育活動全体を明文化・可視化し、継続的な改善ができる組織的な取り組みで
あることを示す必要があった。教育活動に加え、計画、実施、点検、改善の組織的な PDCA
活動のエビデンスを残す作業に負担を感じながら、JABEE 側の様々な変遷にも対応し、学科
内では議論を重ね全員で取り組んできた。
 現在、学科の教育組織・活動は図 3 にまとめられる。PDCA 活動を意識し、学部や社会と
のつながりを活用しながら、教育の質保証を担保する改善活動を行っている。JABEE 活動で
は、諸々の負担があるが、組織内の連携の強化、個人の経験的活動から組織的な活動へ、
PDCA の理解、共通体験によるまとまりの醸成など、改善効果を感じながら継続している状
況である。 ...

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