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湿式成形プロセス最適化に必要なスラリー特性の解明とその評価手法の開発に関する研究

岩田 尚也 法政大学 DOI:info:doi/10.15002/00024125

2021.06.22

概要

湿式成形プロセス最適化に必要なスラリー特性の解
明とその評価手法の開発に関する研究
著者
著者別名
その他のタイトル

ページ
発行年
学位授与番号
学位授与年月日
学位名
学位授与機関
URL

岩田 尚也
IWATA Naoya
Studies on elucidation of slurry property to
optimize the wet shaping processes and
development of slurry evaluation method
1-150
2021-03-24
32675甲第512号
2021-03-24
博士(理工学)
法政大学 (Hosei University)
http://doi.org/10.15002/00024125

法政大学審査学位論文

湿式成形プロセス最適化に必要な
スラリー特性の解明とその評価手法の開発
に関する研究

岩田

尚也

目次
第 1 章 序論 ................................................................................................................ 1
1.1 産業におけるスラリーの役割
1
1.2 スラリーを用いた材料製造プロセス
1
1.3 湿式成形プロセスにおけるスラリー設計・調製の重要性
3
1.3.1 粒子の溶媒への濡れ
3
1.3.2 機械的解砕
4
1.3.3 粒子分散の安定化
5
1.4 種々のスラリー評価手法とその利用例
1.4.1 原子間力顕微鏡を用いた表面間相互作用力測定
1.4.2 粒子径分布測定
1.4.3 流動特性評価
1.4.4 沈降試験
1.4.5 沈降静水圧測定
1.5 代表的な湿式成形方法
1.6 スラリー評価に基づいた成形体密度の予測
1.7 スラリー調製プロセスにおいて解決すべき課題
1.8 本論文の目的

9
9
10
11
13
14
15
18
19
20

1.9 本論文の構成
参考文献

21
24

第 2 章

スラリー調製におけるバインダーの添加が分散剤の最適添加量に
及ぼす影響 .................................................................................................. 35
2.1 緒言
35
2.2 実験方法
36
2.2.1 スラリー調製
36
2.2.2 スラリー評価
36
2.3 実験結果
38
2.4 考察
43
2.5 結言
参考文献

48
48

i

第 3 章

セラミックスシート成形体密度の的確な予測を可能とする
スラリー評価手法の検討 .......................................................................... 51
3.1 緒言
51
3.2 実験方法
52
3.2.1 スラリー調製
52
3.2.2 スラリー評価
53
3.2.3 シート成形
55
3.3 実験結果
55
3.3.1 スラリー評価
55
3.3.2 シート成形体充填率
60
3.4 考察
3.4.1 各種スラリー評価結果と成形体充填率の相関関係
3.4.2 沈降静水圧測定と流動特性評価の違い
3.5 結言
参考文献

62
62
66
69
70

第 4 章

成形・濃縮過程におけるスラリー中の分散媒の変化が成形体密度に
及ぼす影響 .................................................................................................. 73
4.1 緒言
73
4.2 実験方法
74
4.2.1 スラリー調製
4.2.2 スラリー評価
4.2.3 成形
4.3 実験結果
4.3.1 スラリー評価
4.3.2 各種成形体の充填率
4.4 考察
4.4.1 見かけ粘度と堆積層充填率の関係
4.4.2 スラリー特性と各種成形体充填率の関係
4.4.3 粒子構造体形成過程の違いと鋳込み成形体充填率予測手法の検討
4.5 結言

74
75
76
77
77
84
86
86
89
92
96

参考文献

97

ii

第 5 章

多孔質基材への塗布操作におけるサスペンション調製条件の
最適化 ........................................................................................................ 101
5.1 緒言
101
5.2 実験方法
102
5.2.1 サスペンション調製
102
5.2.2 サスペンション評価
103
5.2.3 コーティングおよびその特性評価
105
5.3 結果および考察
106
5.3.1 サスペンション評価
106
5.3.2 サスペンション特性とコーティング特性の関係
112
5.4 結言
参考文献

119
119

第 6 章

サスペンション中の粒子分散・凝集状態が溶射皮膜特性に及ぼす
影響 ............................................................................................................ 123
6.1 緒言
123
6.2 実験方法
124
6.2.1 サスペンション調製
124
6.2.2 サスペンション特性評価
124
6.2.3 成膜試験と皮膜特性評価
126
6.3 結果および考察
6.3.1 サスペンション特性評価
6.3.2 溶射皮膜特性評価
6.3.3 サスペンション評価結果と皮膜特性との関係
6.4 結言
参考文献

第 7 章

127
127
133
136
138
139

結論 ............................................................................................................ 141

本論文を構成する報文 .............................................................................................. 146
学会発表 .................................................................................................................... 147
謝辞

.................................................................................................................... 149

iii

第 1 章

第 1 章 序論
1.1 産業におけるスラリーの役割
ある液体中に固体粒子が分散・懸濁した流動体は,広義にはスラリーと呼ばれ,
その粒子濃度が低い場合にはサスペンション,高い場合には泥漿(でいしょう)
あるいはペースト,スラッジなどと呼ばれている.このスラリーは乾燥粉体に比
べてハンドリング性や粒子充填性が高いことから,微粉体を用いる際にはスラ
リー状にして扱うことが多い.そのため,粉体を原料とする製品・材料において
はそのほとんどの工業プロセスでスラリーが利用されている.例えば,セラミッ
クス[1, 2]や電池[3, 4],インク[5, 6],塗料[7, 8],研磨剤[9, 10],あるいは化粧品
[11, 12],食品[13, 14]など,広範にわたる分野においてスラリーを介した製品製
造が行われており,すでに多くの産業を支えている.これまでにも多数の分野に
わたって使われてきたスラリーであるが,その利用に対するニーズは今後もま
すます高まることが予想される.富士経済グループが行ったセラミックス材料
の世界市場調査においては,その市場規模は 2024 年にはおよそ 370 億ドルにま
で拡大する見込みとされており[15],また,同じく富士経済は自動車向け二次電
池の世界市場についてその市場規模は 2035 年に 19 兆 7000 億円にまで達すると
の見込みを発表している[16].セラミックス材料および電池の部材の多くはスラ
リーを介して製造されており,この二分野だけをみてもスラリーの持つ役割は
極めて大きいことがわかる.

1.2 スラリーを用いた材料製造プロセス
スラリーを用いた具体的な材料製造プロセスの一例として,セラミックスシ
ート成形プロセスの概要を Fig. 1-1 に示した.図のようなセラミックス材料の場
合では,まず原料粉末を適当な分散媒や添加剤と混合し,ボールミル等の分散処
理をすることでスラリーが調製される.調製したスラリーはドクターブレード
法やダイコート法などにより,キャリアフィルム等の基材上に一定の厚みにな
るよう塗工される.続いて,スラリー中の分散媒を除去するため乾燥機等を用い
て乾燥させ成形体(グリーンシート)を得たのち,焼成工程を経ることで最終製
品が得られる.

1

第 1 章

Fig. 1-1 Schematic diagram of ceramics manufacturing process through a tape casting.
粉末を原料とする製品においてはその内部構造,すなわち粒子配列が製品全
体の特性に及ぼす影響は大きく,この粒子充填構造を制御することで製品特性
の向上が図られている.例えば,セラミックス分野において Wang ら[17]は,新
規焼結助剤として ZrSi2–MgO を用いた Si3N4 セラミックスの緻密化を達成して
おり,このセラミックス部材は 113.91 W・(m・K)–1 と従来よりも高い熱伝導率を
持つことを示した.電池製造プロセスにおいては,Vogel ら[18]はリチウムイオ
ン二次電池電極の微構造がその交流インピーダンスに強く影響することを示し
ており,電極微構造の均質化の重要性を説明している.また,顔料コーティング
においては,Jӓrnstrӧm ら[19]はコーティング膜の表面粗さがその光沢に影響を及
ぼすことについて触れ,表面粗さ測定の重要性を示した.他方で,Löf ら[20]は
TiO2 粒子を含むサンスクリーン剤について,その塗布膜中の粒子構造体が塗布
面の不透明性および紫外線吸収効果に影響を及ぼすことを明らかにしている.
さらに,上記のような製品の熱的・電気的・光学的特性以外にも粒子充填層の内
部構造が影響する事例が存在する.例えば,成形体内部構造の不均質性は割れ欠
けなどの乾燥欠陥[21–23]や成形体の変形[24]を引き起こすため,結果的に歩留ま
りの低下と高コスト化を招いてしまう.広範な分野で用いられている粉体成形
プロセスではこれらの問題は分野を問わず共通の課題として認識されており,
製造工程の中で精密な微構造制御が求められている.特に,セラミックス部材に
おいてはこの問題は顕著であり,2016 年には国立研究開発法人科学技術振興機
構(JST: Japan Science and Technology Agency)の実施する研究成果最適展開支援
2

第 1 章

プログラム(A-STEP: Adaptable and Seamless Technology Transfer Program through
Target Driven)において,「セラミックスの高機能化と製造プロセス革新」のテ
ーマが採択されるなど,製造工程におけるそれぞれの課題の抜本的な解決によ
り,これまで以上の精密な微構造制御および製造プロセスの低コスト化・高信頼
性化を実現しようとする試みが行われている[25].

1.3 湿式成形プロセスにおけるスラリー設計・調製の重要性
スラリーから粒子構造体を形成するプロセス(=湿式成形プロセス)において,
その微構造を制御する重要な工程の一つがスラリーの設計・調製である.特に,
液中での粒子の分散・凝集状態は成形・乾燥後の粒子集合構造および製品特性に
著しい影響を与えるため,所望の製品を得るためには液中の粒子分散状態を高
度に制御する必要があり,スラリーの調製条件の最適化が湿式成形プロセスの
高度化のための重要課題であると広く認識されている[26–29].乾燥粉体をスラ
リー状にする過程では種々の分散処理が施されており,そのスラリー中の粒子
の分散過程は,
(1)粒子の溶媒への濡れ,
(2)機械的解砕,
(3)分散の安定
化の 3 つに分かれると考えられている[30].そこで本節では,粒子分散に及ぼす
各過程の効果を概説するとともに,既往の研究における具体的な検討事例を用
いてそれぞれの取り組みをまとめる.そのうえで,スラリー調製条件最適化の観
点から各過程における問題点を述べる.
1.3.1 粒子の溶媒への濡れ
分散媒中に粒子を分散させるためには,まず粒子が媒液に対してよく濡れる
必要がある[31–33].これにより,粒子同士の凝集力が低下するため,次の解砕工
程でより分散しやすくなる.この濡れ性を向上させるためには原料粉末に対し
てよく濡れる分散媒液を選択するか,あるいはその粒子に表面改質を施すこと
で濡れ性を改善するアプローチが挙げられる.例えば,Kawamura ら[32]は凝集
性の高いフュームドシリカ粒子に対し n-または t-ブチルアルコールを用いた表
面改質を行っており,その結果,水に対しての濡れ性改善が達成され,表面改質
前に比べて粒子が分散しやすくなったことを報告している.
このように,粒子を分散させるうえで濡れ性を向上させることは重要である
一方で,濡れはスラリー調製の第一段階であるためこの過程だけでは粒子が液
中で分散し安定化するかどうかはわからない.そのため,後工程である機械的解
砕・分散安定化のそれぞれの最適化が必要となる.

3

第 1 章

1.3.2 機械的解砕
解砕過程では様々な分散機が使われている.例えば,ボールミルやビーズミル
などの媒体撹拌ミルや,メディアを用いないロールミルやディスパー,ホモジナ
イザーなど多くの分散機が利用されており,場合によっては一つのスラリーを
調製するのに複数種の分散機が使われることもある.
上記の分散機を用いた分散過程において,スラリー中の粒子凝集体はせん断
力や圧縮力を受けることで解砕が進行することが知られており,既往の研究で
は種々の分散機の運転条件が粒子分散状態に及ぼす影響について調査を行って
いる.例えば,運転時間[34],撹拌・解砕媒体の種類[35],分散機の種類[36, 37]
について検討がなされるなど,粒子分散状態は多数の因子に影響を受けるため
にそれぞれの条件を最適化しなければならない.具体的な検討例としては,
Yoden ら[35]はナノサイズの水系シリカスラリーに対しビーズミルを用いた解砕
を行い,そのビーズ径や操作条件がシリカ粒子の分散挙動に及ぼす影響につい
て調査をした.その結果,ビーズ径が 50 µm である場合にナノシリカ粒子が最
もよく分散し,高い解砕効果を得ている.一方で,ビーズ径が 100 または 300 µm
まで大きくなると解砕と同時に粉砕の効果も表れるため,粒子表面の活性なサ
イトが生成することに伴い凝集粒子の形成(逆粉砕効果)が起こることを報告し
た(Fig. 1-2).
先に述べたように,解砕工程ではその分散機の種類や運転条件が多く,その最
適化は容易ではない.近年では,離散要素法(DEM: Discrete Element Method)を
用いたシミュレーションにより媒体撹拌ミルにおけるボールやビーズの挙動を
解析し,その解砕効率を検討した例がいくつか行われている[38–40]ものの,複
雑な実スラリーを予測できるまでには至っていないのが現状である.そのため,
各条件で実際に調製したスラリーが分散しているかどうかをスラリー評価によ
って確認し,粉砕条件とスラリー特性の関係を明らかにすることで最適化がな
されるものと期待されているが,後述するようにスラリー評価そのものが十分
に検討されていないためにまずはスラリー評価法を確立する必要があると考え
られる.

4

第 1 章

Fig. 1-2 Schematic diagram of deflocculation mechanism of nanometer-size particles
dispersed by various size beads. (A): 20 µm beads, (B): 50 µm beads, (C): 100 and 300
µm beads[35].

1.3.3 粒子分散の安定化
粒子分散の安定化は,粒子分散状態の制御を考えるうえで最も重要な因子で
ある.これを達成するためにはまず粒子間に働く力を理解することが重要であ
り,本項では水系スラリーで特に有効性が示されている DLVO 理論(DerjaguinLandau-Verwey-Overbeek theory)と高分子吸着により生じる力について概説した
のち,それらを用いて分散状態制御に取り組んだ事例をまとめる.
(i) 電気二重層形成により生じる力と DLVO 理論
一般に,水中の粒子は正または負に帯電し,これに伴って電気二重層が形成さ
れる.電気二重層を持つ 2 粒子が近づいたとき,局所的なイオン濃度の上昇が
起こるためこれを緩和する方向に浸透圧が生じ,その結果,粒子間には反発力
(静電反発力と呼ばれる)が働くことになる.一方で,物質によらない普遍的な
引力である van der Waals 力も働くため,2 粒子間には常に反発力と引力が同時
に作用する.ロシアの Derjaguin と Landau,オランダの Verwey と Overbeek のグ
ループはそれぞれ,このような帯電する 2 粒子間の全相互作用ポテンシャルエ
ネルギーが Eq. (1-1)で示したような,静電反発ポテンシャルエネルギー 𝑉R (J)
と van der Waals ポテンシャルエネルギー 𝑉A (J)の和で与えられると結論付けた.
これは DLVO 理論と呼ばれ,粒子の分散・凝集を理解する上で広く利用されて
きた.

5

第 1 章

(1-1)

𝑉 = 𝑉R + 𝑉A
𝑉R = 𝜋𝑥𝜀0 𝜀r 𝜓𝜁2 ln[1 + exp(−𝜅ℎ)]

(1-2)

1⁄2

𝑒 2 𝑁A ∑ 103 𝐶i 𝑍i2
𝜅=(
)
𝜀0 𝜀r 𝑘𝑇

𝑉A = −𝐴

𝑥
24ℎ

(1-3)

ここで,𝑥 (m)は粒子径,𝜀0 (F・m–1)は真空中の誘電率,𝜀r (–)は媒液中の比誘電
率,𝜓𝜁 (V)は粒子のゼータ電位,ℎ (m)は粒子表面間距離,𝑒 (C)は電気素量,𝑁A
(mol–1)はアボガドロ定数,𝐶i (mol・L–1),𝑍i (–)はイオン i の濃度および価数,𝑘
(J・K–1)はボルツマン定数,𝑇 (K)はスラリーの絶対温度,𝐴 (J)はハマカー定数を
表している.
この全相互作用ポテンシャルと粒子間距離の関係を示したポテンシャルエネ
ルギー曲線は,スラリーの条件により様々に変化することがわかっており,その
一例を Fig. 1-3 に示した.図は,原点に固定された粒子表面に対して距離 ℎのと
ころにある粒子が持つ全相互作用ポテンシャルエネルギーを示しており,ポテ
ンシャル勾配が正の時,粒子間には引力が働き,ポテンシャル勾配が負の時,粒
子間には反発力が働くことを意味している.スラリーの安定性という観点では,
ポテンシャルの極大値(ポテンシャル障壁:𝑉max )を指標とする場合が多く,一
般的には 20 𝑘𝑇以上あると分散性が良いとされている[41].
この DLVO 理論は水系で比較的粒子濃度が低く,かつ添加剤が pH 調整剤等
の単純な化合物である場合にスラリーの分散状態をよく表すことができるとさ
れており[42–44],これに基づいた粒子分散状態の考察が行われてきた.一方で,
実際の材料製造プロセスでは種々の有機溶剤を分散媒とした非水系スラリーも
多く,このスラリーのほとんどの場合では液中粒子が帯電しないために DLVO
理論では粒子間相互作用を計算できなくなる.また,水系であっても添加剤が複
数種にわたって使用される場合が多く,これらすべてを考慮に入れることは困
難である.次項に示すように,粒子に高分子界面活性剤が吸着した際の粒子間相
互作用ポテンシャルの計算も提案されているもののその実用性は低く,現状で
はすべてのスラリーの粒子分散状態を完全に予測することはできていない.

6

第 1 章

Fig. 1-3 An example of potential curve calculated by the DLVO theory.

(ii) 高分子吸着により生じる力
高分子界面活性剤は種々の要因で液中の粒子に吸着し,分散効果をもたらす.
この分散機構については,高分子の立体障害(立体反発)に加え,界面活性剤が
電解質である場合には,高分子吸着層の重なりまたはイオン濃度の上昇を緩和
するための浸透圧に起因した静電反発力がある.しかしながら,この高分子界面
活性剤の添加量が少ない場合には,一つの高分子が複数粒子の空いている吸着
サイトに吸着が可能となるため,結果として粒子を架橋し凝集させてしまうこ
ともある.また,添加量が多い場合には液中での高分子濃度が上昇することに起
因する枯渇相互作用[45–47]や塩析効果[48]によって粒子が凝集することも確認
されている.したがって,所望の粒子分散状態を作るうえで高分子界面活性剤の
添加量を最適化することが必要である.
高分子界面活性剤が飽和吸着した場合については Fischer がその相互作用ポテ
ンシャルを提案しており,次式で求めることができるとしている[49].
4
ℎ 3

𝑉M = 𝜋𝑘𝑇𝐵𝐶P2 (𝛿 − ) ( 𝑥 + 2𝛿 + )
3
2 2
2

(1-4)

ここで,𝐵 (m3・mol・kg–2)は吸着した高分子鎖/溶媒間の第二ビリアル係数,𝐶P
(m–3)は吸着層中のセグメント密度,𝛿 (m)は吸着層厚さを表している.
本式を用いれば,高分子界面活性剤が飽和吸着した際の粒子間相互作用ポテン
7

第 1 章

シャルが求められるものの,多様な高分子界面活性剤や溶媒に対してその吸着
層厚さ・第二ビリアル係数といった情報は簡単に得ることができない.また,同
じ高分子吸着量であってもその吸着形態は様々である[50–52]ことを考慮すると,
本式を実スラリーに対して適用することは困難である.

Fig. 1-4 Change of particle dispersion state by addition of dispersant; (a) insufficient, (b)
suitable, (c) excessive amount of dispersant. ...

この論文で使われている画像

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140

第 7 章

第 7 章 結論

本論文は,湿式成形プロセスにおいて作製される成形体および製品の内部構

造を高度に制御するため,従来の「勘と経験に基づいたスラリー最適化プロセス」

からの脱却と,科学的な根拠に基づいたスラリー調製指針の確立を目的とし,成

形体および製品特性を支配するスラリー特性の解明およびその評価手法の開発

に関する研究をまとめたものである.以下に各章で得られた結論をまとめる.

第 1 章「序論」では,スラリーを用いた材料製造プロセスを概観し,スラリ

ー設計・調製工程の重要性およびスラリー評価の必要性を確認した.スラリー評

価は幅広い分野で実施されている一方で,現状では従来の評価法で的確に成形

体および製品の特性を予測できているとまでは言えなかった.そのため,結局は

試行錯誤的にスラリーの調製条件を最適化しなくてはならず,湿式成形プロセ

スにおいては多くの時間と手間,コストを要していることが大きな課題となっ

ていることを,過去の研究例をまとめることで明らかにした.そこで本論文では

この課題を解決するため,これまで不十分であった成形体特性とスラリー評価

結果の比較を実施し,成形体特性に最も影響を及ぼすスラリー特性は何かを明

らかにすることとした.また,成形プロセスによって粒子構造体形成過程が異な

る可能性に着目し,この観点から各成形方法におけるスラリー評価法・指標の妥

当性を検証することとした.

第 2 章「スラリー調製におけるバインダーの添加が分散剤の最適添加量に及

ぼす影響」では,成形プロセスごとの各論に入る前に,まず,単純なモデルスラ

リーを用いた最適調製条件について検討することが,複雑な実スラリーにおけ

る最適条件の決定に応用できるか,検証を行った.実験試料には水系チタン酸バ

リウムスラリーを用い,モデルスラリーとして分散剤(PCA)のみ添加した系と

実プロセスに近いスラリーとして分散剤およびバインダー(PVA)の両方を添加

した系の 2 系統を調製した.粒子濃度 45 vol%のスラリーに対し分散剤添加量を

変化させ,分散剤吸着量測定,流動特性評価,沈降試験を実施した.その結果,

添加した PVA はスラリー中で PCA と相互作用し,粒子を凝集させることを明ら

かにした.また,この凝集効果は PCA の未吸着量に依存しており,飽和吸着量

に近く,PCA のみのスラリーでは最も分散していた PCA 添加量 2 mg・g–1 のスラ

リーは,PVA を添加することで最も凝集したスラリーになることが確認された.

この結果より,成形プロセスにおいて最適化すべきスラリーは,分散剤だけを使

ったモデルスラリーではなく,実プロセスで用いるスラリーそのものであるこ

とを明らかにした.

141

第 7 章

第 3 章「セラミックスシート成形体密度の的確な予測を可能とするスラリー

評価手法の検討」では,高濃度・水系チタン酸バリウムスラリーの粒子分散状態

を各種スラリー評価法により分析し,得られた結果とシート成形体充填率を比

較することで,シート成形体の密度を予測する上で適したスラリー評価手法は

何か検証を行った.その中で,従来広く用いられているレーザー回折式粒子径分

布測定により得られたメジアン径や,流動特性評価により得られたスラリーの

見かけ粘度および降伏値では成形体充填率と相関しないことを確認した.粒子

径分布測定においては測定時のスラリーの希釈操作が粒子分散状態を変化させ

てしまうため,これが両者の相関しない原因であることを明らかにした.一方,

流動特性評価では測定時点の粒子分散状態がわかるものの,成形中に時間とと

もに変化しないか,濃縮に伴って変化しないかまでは評価できないため,これが

両者の相関しない理由であることを見出した.これに対し,沈降静水圧測定では

濃縮による粒子分散状態変化も評価できるため,この測定により得られる分散

度(𝑡 ∗ ⁄𝜇s )と成形体充填率が良好な相関関係を示した.このことからシート成

形体充填率を予測するためには,粒子濃縮過程を考慮に入れることが必要であ

り,評価指標として沈降静水圧法により得られる分散度(𝑡 ∗ ⁄𝜇s )が適している

ことを明らかにした.

第 4 章「成形・濃縮過程におけるスラリー中の分散媒の変化が成形体密度に

及ぼす影響」では,スラリーの代表的な成形法としてシート成形と鋳込み成形プ

ロセスを取り上げ,成形体が最も緻密になるスラリー条件は両者で同じになる

かどうか検証を行った.実験試料には水系アルミナスラリーを使用し,pH を調

整した系と,分散剤(PCA)およびバインダー(PVA)を添加した系の 2 系統を

作製した.これらのスラリーからシートおよび鋳込み成形体を作製し,その充填

率を測定した結果,pH 調整のスラリーでは成形体充填率の大小関係が成形プロ

セスによらず一致したのに対し,分散剤およびバインダーを添加したスラリー

では充填率が最も高くなるスラリー条件は成形プロセスにより異なっていた.

この原因は成形プロセスにおける粒子構造体形成過程の違いに起因しており,

シート成形では単にスラリーが乾燥・濃縮するのに対し,鋳込み成形プロセスで

は分散媒が石膏型に吸引されるため,これに伴って液中の添加剤濃度が変化す

ることがその粒子構造体形成に影響を及ぼすことを明らかにした.スラリー評

価と成形体密度との比較においては,シート成形体では前章でも明らかになっ

たように,評価の過程で沈降・濃縮を含む沈降試験が成形体充填率と最も良い相

関関係を示したのに対し,鋳込み成形では沈降堆積層充填率と成形体充填率は

対応しなかった.そこで,評価の過程で分散媒液が透過する定圧沪過試験を実施

した結果,得られたケークの充填率と成形体充填率が良い相関を持つことが示

142

第 7 章

された.この結果から,鋳込み成形プロセスではスラリーの濃縮と分散媒液の透

過の両方を考慮に入れることが必要であり,鋳込み成形体充填率を的確に予測

するスラリー評価法として定圧沪過試験が適していることを見出した.

第 5 章「多孔質基材への塗布操作におけるサスペンション調製条件の最適化」

では,多孔質基材への微粒子コーティングにおいて粒子の付着状態を高度に制

御するため,そのサスペンション調製条件の最適化を行った.コーティングには

2.0 vol%の水系アルミナサスペンションを用い,添加剤として非イオン性ポリマ

ー(PEG),カチオン性ポリマー(PEI),アニオン性ポリマー(CMC)を使用し

た.理想的なコーティング膜は,粒子が凝集せずに付着し,加えて基材内部まで

侵入しないことであったため,この観点からサスペンション特性の評価を行っ

た.サスペンションの直接観察を行った結果,添加剤なしおよび PEG 添加のサ

スペンションで粒子が分散していたことが確認された.また,流動特性評価では,

添加剤なしのサスペンションに降伏値がなく,対して PEG 添加のサスペンショ

ンには降伏値が見られたため,このサスペンションには添加剤による構造体が

形成されていたことがわかった.これらを多孔質基材上でスピンコーティング

したところ,添加剤なしのコーティング膜は基材表面上に分散して付着したも

のの,基材内部にまで粒子が浸み込んでいたのに対し,PEG 添加の場合では粒

子は分散していたことに加え,高分子添加剤の構造化により基材内部への粒子

の侵入がある程度抑制されていた.また,PEI および CMC 添加のサスペンショ

ンでは粒子は凝集しており,基材内部への侵入は抑えられたが,その表面は不均

質であった.このことから,多孔質基材への塗布操作においては,粒子の分散と

高分子の構造体形成がサスペンションに求められる特性であり,そのための評

価法として直接観察および降伏値の測定が適していることを明らかにした.

第 6 章「サスペンション中の粒子分散・凝集状態が溶射皮膜特性に及ぼす影

響」では,粒子懸濁液を用いた比較的新しい材料製造プロセスの一例としてサス

ペンション溶射を取り上げ,そのサスペンション特性と溶射皮膜の関係につい

て調査した.実験試料には水系イットリアサスペンションを用い,その分散剤添

加量を変化させた.その結果,沈降試験により得られた堆積層充填率および低せ

ん断速度域(200 s–1)における見かけ粘度は溶射皮膜の気孔率と相関がないこと

が確認された.一方で,高せん断速度域(1000 s–1)におけるサスペンションの

見かけ粘度と溶射皮膜の気孔率には良好な相関関係があることを示した.サス

ペンション溶射もシート成形プロセスと同様,その成形過程には粒子濃縮が含

まれるものの,シート成形とは異なりサスペンションの堆積層充填率では皮膜

の気孔率を予測できないことが明らかとなった.これは,シート成形に比べ,溶

143

第 7 章

射プロセスではサスペンションが皮膜になるまでの時間が極めて短いことが原

因であると考えられ,皮膜中の粒子構造体は射出される直前の粒子分散状態に

大きな影響を受けるためであると推察された.また,サスペンションが通過する

経路には狭い箇所を含むために,サスペンションにかかるせん断速度を考慮し

て見かけ粘度を評価する必要がある.特に,本章で用いたサスペンションはダイ

ラタンシー性を有していたため,せん断速度が大きくなると急激に粘度が増加

し,経路に詰まる恐れがあることがわかった.したがって,サスペンション溶射

プロセスでは溶射直前の粒子分散状態を把握することが必要であり,その皮膜

の気孔率(あるいは密度)を的確に予測するためのサスペンション評価指標とし

て高いせん断速度における見かけ粘度が適していることを実証した.

これらの結論より,すべての成形プロセスに対して共通する考え方として以

下のまとめが得られた.

① スラリー評価において必要なのはモデルスラリー(分散剤のみを含むスラ

リー)ではなく,すべての添加剤が含まれた実スラリーである.

② 成形プロセスごとに適切なスラリー評価手法を選択する必要がある.特に,

スラリーの濃縮や媒液の透過を含むプロセスではその過程が粒子分散状

態に大きく影響を及ぼすことを認識する必要がある.

以上の通り,各種湿式成形プロセスにおいてその成形体の微構造を的確に予

測するためのスラリー評価指標とスラリー評価法を提案した.これらの結果は,

従来十分に検討されず不透明なままであったスラリー評価結果と成形体特性の

関係を明らかにしたもので,試行錯誤に基づくスラリー調製プロセスからの脱

却につながる第一歩であるといえる.また,これらのスラリー評価指標および評

価法は用いる材料によらず広く適用することが可能である.本論文ではセラミ

ックス材料が中心となったが,同じ湿式成形プロセスであれば,電池や化粧品,

塗料など幅広い分野に適用ができるため,その波及効果は大きいと考えられる.

一方,本研究において各種成形体密度をスラリー評価により予測するために

はその成形過程を模擬することの重要性を見出したものの,その評価手法には

いくつか検討すべき課題が残っている.例えば,シート成形体密度の予測では,

その乾燥工程や成形工程に要する時間の影響の解明が課題として挙げられる.

本論文で提案した沈降試験は,成形プロセスでの粒子濃縮を模擬できているも

のの,乾燥に伴う添加剤の濃縮や粒子構造体形成までにかかる時間が及ぼす影

響といった観点では十分に考察できていない.両者はどちらも粒子への添加剤

吸着量を変化させる可能性が残るため,結果として粒子分散状態を変えうる.し

たがって,スラリー条件によっては沈降試験により得られる堆積層充填率とシ

144

第 7 章

ート成形体密度が相関しないことが想定されるため,これを検証する必要があ

る.また,鋳込み成形体においては,定圧沪過試験の条件の最適化が必要である.

沪過時間や沪過圧力はケークの充填率に影響を及ぼすため,スラリー条件およ

び成形体作製条件によりこれらを最適化する必要がある.また,沪過の過程で得

られる沪液量の経時変化からケークの密度分布が推定可能であり,これが鋳込

み成形体の密度分布と対応する可能性がある.鋳込み成形体の密度分布は重要

な特性の一つであり,これをスラリー評価により予測できることは大きな意義

がある.

このように,スラリー評価技術はさらに発展させることができる可能性があ

り,今後も引き続き研究していく必要性があると考える.

145

本論文を構成する報文

タイトル

論文誌,巻(号),

頁,公表年

Naoya Iwata

Takamasa Mori

Effect of binder addition on

optimum additive amount of

dispersant for aqueous

BaTiO3 slurry

Ceramics International,

45(16), 19644–19649,

2019.

3章

Naoya Iwata

Takamasa Mori

Determination of optimum

Journal of Asian

slurry evaluation method for

Ceramic Societies,

the prediction of BaTiO3

8, 183–192, 2020.

green sheet density

4章

Naoya Iwata

Saori Yamada

Takamasa Mori

2章

5章

6章

著者

Takamasa Mori

Saori Yamada

Naoya Iwata

Naoya Iwata

Takamasa Mori

Effect of medium condition

change on green body

density during casting and

International Journal of

Applied Ceramic

Technology, 18, 384–

drying

393, 2021.

Effects of suspension

properties on the

microstructure of Al2O3

coatings deposited onto

macroporous SiC substrate

Surface and Coatings

Technology,

326, 1–10, 2017.

Effects of particle

dispersion on the properties

of suspension-sprayed

Journal of the Ceramics

Society of Japan,

coatings

146

125, 783–788, 2017.

学会発表

【国際会議】

1) Naoya Iwata, Takamasa Mori, Effect of Dispersant and Binder Additive Dosage on

the Crack Formation in Graphite Green Sheets, 9th Asian Coating Workshop, Tokyo

(Japan), May 2017. (poster)

2) Naoya Iwata, Takamasa Mori, Effect of Particle Dispersion State on Properties of

Sprayed Coating for Suspension Spraying, The 7th Asian Particle Technology

Symposium, Taoyuan (Taiwan), Jul. 2017. (poster)

3) Naoya Iwata, Mariko Morisono, Takamasa Mori, Prediction of the BaTiO3 Green

Sheet Density by Using Hydrostatic Pressure Measurement, International

Conference on Characterization and Control of Interfaces for High Quality Advanced

Materials (ICCCI2018), Okayama (Japan), Jul. 2018. (poster) [Student Poster

Award]

4) Naoya Iwata, Saori Yamada, Takamasa, Mori, Proposal of a Novel Slurry Evaluation

Index to Predict Ceramics Green Sheet Density, The 2nd International Conference

and Exhibition on Powder Technology Indonesia (ICePTi2019), Surakarta

(Indonesia), Aug. 2019. (oral) [Student Presenter Award]

5) Naoya Iwata, Takamasa Mori, Effect of Slurry Characteristics on Generation of

Drying Defect in Ceramics Green Sheet, The 13th Pacific Rim Conference of

Ceramic Societies (PACRIM13), Okinawa (Japan), Oct. 2019. (oral)

147

【国内会議】

1) 岩田 尚也,森 隆昌,サスペンション溶射における粒子分散・凝集状態が溶

射被膜特性に及ぼす影響,第 22 回流動化・粒子プロセッシングシンポジウ

ム,東京大学(東京),2016 年 12 月.(ポスター)

2) 岩 田 尚 也 , 森 隆 昌, Effect of Dispersant Additive Dosage on the Particle

Dispersion State of Aqueous BaTiO3 Slurry,化学工学会第 49 回秋季大会,名古

屋大学(愛知),2017 年 9 月.(口頭)

3) 岩田 尚也,森園 真理子,森 隆昌,沈降静水圧法を用いた水系チタン酸バ

リウムスラリーの粒子分散・凝集状態評価,第 56 回セラミックス基礎科学

討論会,つくば国際会議場(茨城),2018 年 1 月.(口頭)

4) 岩田 尚也,森園 真理子,森 隆昌,水系チタン酸バリウムスラリーの粒子

分散状態に及ぼすバインダーの添加効果,粉体粉末冶金協会平成 30 年度春

季大会,京都大学(京都),2018 年 5 月.(口頭)

5) 岩田 尚也,森 隆昌,塗布膜乾燥に伴う亀裂の生成とスラリー特性に関する

研究,粉体工学会 2018 年度秋期研究発表会,東京ビッグサイト(東京),2018

年 11 月.(ポスター) [ベストポスター賞]

6) 岩田 尚也,森 隆昌,スラリー評価に基づいたスラリー調製条件最適化とセ

ラミックスシート成形体特性制御,第 58 回セラミックス基礎科学討論会,

ウインクあいち(愛知),2020 年 1 月.(口頭)

7) Naoya Iwata, Takamasa Mori, Proposal of Suitable Slurry Evaluation Method for the

Prediction of BaTiO3 Green Sheet Density, 粉体工学会 2020 年度春期研究発表

会,姫路・地場産業センター(兵庫),2020 年 5 月.(要旨集)

8) 岩田 尚也,森 隆昌,セラミックス成形体の乾燥クラック形成抑制に対する

スラリー調製条件の最適化,第 26 回流動化・粒子プロセッシングシンポジ

ウム,岐阜大学(オンライン),2020 年 11 月.(口頭)

148

謝辞

本研究を進めるにあたり,多くの方々にお力添えをいただきました.ここに記

して深く感謝の意を表します.

本研究の遂行および本論文の作成にあたって,終始適切なご指導とご教示を

賜りました法政大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 森隆昌 教授に心より

感謝申し上げます.森先生には学部 3 年生の時からご指導いただき,学問とし

ての知識はもちろん,研究の基本や考え方,取り組み方,ディスカッションの重

要性など,研究者にとって必要な多くのことを教えていただきました.また,

「現

場に役立つ基礎研究」のモットーにも触れ,自分の研究がどのようにして現場に

役立つか,どのようなことを研究するべきかを考える訓練にもなりました.今後

も森研究室の精神を忘れず,引き続き努力を継続していきたいと思います.

また,本研究に貴重なご助言を賜りました法政大学大学院 理工学研究科 応

用化学専攻 明石孝也 教授,石垣隆正 教授,山下明泰 教授に深く感謝いたしま

す.

研究室においては,終始適切なご助言を賜りました法政大学 生命科学部 環

境応用化学科 北村研太 教務助手に厚く御礼申し上げます.

本研究を進めるにあたって,貴重なご意見・ご助言を賜りました名古屋大学

椿淳一郎 名誉教授,兵庫県立大学大学院 工学研究科 佐藤根大士 准教授,法政

大学 生命科学部 環境応用化学科 木口崇彦 助教に深く感謝いたします.

トーカロ株式会社 虻川志向氏には溶射試験の実施および貴重なご意見・ご助

言を賜りました.ここに深く感謝申し上げます.

日本軽金属株式会社 佐伯雅之氏には本研究について貴重なご意見・ご助言を

賜りました.厚く御礼申し上げます.

本研究において,共同実験者として多大なご協力をいただきました山田咲織

氏,ならびに貴重なアドバイスをいただきました森研究室の皆様に心より御礼

申し上げます.

149

本研究を進めるにあたり,公益財団法人ホソカワ粉体工学振興財団より「平成

30 年度 研究者育成の援助」のご支援をいただきました.ここに記して感謝申し

上げます.

最後に,長期間にわたる学生生活をサポートしてくれた家族に,深く感謝の意

を表します.

法政大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻

岩田 尚也

150

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