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大学・研究所にある論文を検索できる 「Morphological changes of large layer V pyramidal neurons in cortical motor-related areas after spinal cord injury in macaque monkeys」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Morphological changes of large layer V pyramidal neurons in cortical motor-related areas after spinal cord injury in macaque monkeys

Takata, Yu 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23461

2021.09.24

概要

手指の巧緻運動は、ヒトや高次の非ヒト霊長類に特有の運動であり、日常生活を送る上で極めて重要である。この運動は皮質脊髄路(CST)によって制御されているため、脊髄損傷などによりCSTが損傷を受けると運動機能が著しく低下する。特に脊髄損傷からの機能回復は困難であり、障害が残存することが多い。ヒトと類似した CSTを有するマカクザルを用いた先行研究では、脊髄損傷後の運動機能回復には、大脳皮質前頭葉の一次運動野に由来するCSTニューロンの脊髄レベルでの神経回路再編成が重要であることが報告されている。しかしながら、脊髄損傷後のCSTニューロンの大脳皮質における神経可塑性については未だ不明な点が多い。そこで、本研究では、脊髄損傷のサルモデルを用いて、手指の運動機能変容と前頭葉の運動関連領野に分布するCSTニューロン(巨大錐体細胞)の可塑的変化の相関を明らかにすることを目的として一連の研究を実施した。巨大錐体細胞は一次運動野だけでなく、補足運動野や背側および腹側運動前野にも分布する。一般に、錐体細胞の樹状突起やスパインが高い可塑性を示すことはよく知られており、その形態は神経活動量や他のニューロンからの入力などに依存して変化する。本研究では、特に運動関連領野に分布する巨大錐体細胞の基底樹状突起とスパインに注目し、脊髄損傷後の形態学的変化と運動機能変容の相関を調べた。

まず、第2章では、健常個体において各運動関連領野の5層に分布する巨大錐体細胞の基底樹状突起およびスパインの形態学的特徴(樹状突起の全長および分枝、スパインの密度および種類)を調べた。その結果、基底樹状突起およびスパインの形態は領野によって異なり、特に背側運動前野ではその複雑度が低いことが明らかになった。このような運動関連領野間における基底樹状突起やスパインの形態学的差異は、外部入力に依存した各領野の運動機能の違いを反映している可能性を示唆している。

次に、第3章では、脊髄損傷モデルを用いて5層巨大錐体細胞の基底樹状突起およびスパインの形態学的変化と運動機能変容の相関を調べた。その結果、損傷後の急性期(損傷後10日目)では、すべての領野で基底樹状突起とスパインの複雑度が急激に低下し、回復期(損傷後30日目)では機能回復に伴い、正常な形態の再獲得が惹起されることが明らかになった。また、このような可塑的変化の程度は領野により差異が認められることも明らかになった。領野間における神経可塑性の違いについては、そのメカニズムが明確ではないが、回復過程における巨大錐体細胞の形態学的変化が最も遅かった腹側運動前野が手指の巧緻運動に強く関与することから、各領野における運動機能の差異に起因している可能性が示唆された。

以上の研究成果は、脊髄損傷後における手指の運動機能変容と運動関連領野に分布するCSTニューロンの可塑的変化の相関を詳細に解析しており、今後、脊髄損傷からの運動機能回復に有効性が報告されているような治療を実施したサルモデルに同様の形態学的解析を適用し、CSTニューロンによる神経回路の再構築機構の解明に繋がることが期待できる。

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