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大学・研究所にある論文を検索できる 「テリパラチドと骨髄血が配向連通孔構造を有するβ-リン酸三カルシウム人工骨に及ぼす骨新生促進効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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テリパラチドと骨髄血が配向連通孔構造を有するβ-リン酸三カルシウム人工骨に及ぼす骨新生促進効果の検討

熊谷, 洋 筑波大学

2020.07.27

概要

目的:
整形外科手術において、外傷による骨欠損や、手術部位の骨性の癒合を目指すために、しばしば骨移植が行われる。自家骨移植が一般的に行われるが、採骨に伴う合併症が多く、採取できる骨の量に限りがあるという問題点がある。代替法として、人工骨移植が行われるが、人工骨は骨誘導能を持たないため、その成績は自家骨移植に劣る。人工骨移植の成績の向上は、骨移植を要する患者の治療に寄与すると考えた。我々のグループで行ってきた配向連通孔構造を有する人工骨及び自家骨髄血移植に関する先行研究と、テリパラチドによる骨形成促進効果を踏まえ、本研究の目的は、配向連通孔構造を有するβ-リン酸三カルシウム人工骨移植に対しテリパラチド投与と骨髄血移植の併用が材料内の骨形成に及ぼす効果を明らかにすることとした。

対象と方法:
⾻成熟が得られた日本白色家兎24羽を使用した。脛骨開窓モデルを作製し、配向連通孔構造を有するβ-リン酸三カルシウム人工骨(以下アフィノス®)を埋植した。骨髄血含浸群、骨髄血含浸+テリパラチド投与群のアフィノス®には家兎腸骨稜から採取した骨髄血を含浸した。テリパラチド投与群及び骨髄血含浸+テリパラチド投与群には移植直後より屠殺時までテリパラチド30µg/kgを3回/週の間隔で⽪下注射した。⾻形成マーカーとして、カルセインを屠殺9⽇前と2⽇前に投与した。移植後6週で屠殺して⼈⼯⾻を取り出し、⾮脱灰標本を作製した。矢状断薄切切片(Villanueva-Goldner染色)において材料中央を中心として縦5mm、深さ3mmの長方形を関心領域に設定し、連通孔内部の新生骨面積を測定した。測定領域内の新生骨部分面積を測定領域面積で除して新生骨の面積率を計測した。また、水平断薄切切片(未染色)において1辺200µmの測定領域をランダムに5箇所設定し、測定領域内において二重蛍光標識の最も伸長した箇所を計測し、各検体5箇所の平均を算出した値を石灰化速度として計測した。人工骨単独群、テリパラチド投与群、骨髄血含浸群、骨髄血含浸+テリパラチド投与群の4群の比較には、テリパラチド投与の有無と、骨髄血含浸の有無を独立変数とした2元配置分散分析法(Two-way factorial ANOVA)を用い、p<0.05を有意差ありとした。

結果:
矢状断薄切切片(Villanueva-Goldner染色)において、関心領域内の新生骨面積の割合は人工骨単独群で平均24.0±3.9%、テリパラチド投与群で平均33.0±9.0%、骨髄血含浸群で平均18.2±9.3%、骨髄血含浸+テリパラチド投与群で平均29.5±7.7%であった。テリパラチド投与は新生骨面積率を有意に上昇させたが(p=0.004)、骨髄血含浸は影響を与えなかった(p=0.156)。テリパラチド投与と骨髄血含浸に相互作用はなかった(p=0.717)。水平断薄切切片(未染色)において、石灰化速度は人工骨単独群で平均3.0±0.33µm/day、テリパラチド投与群で平均4.0±0.27µm/day、骨髄血含浸群で平均2.7±0.47µm/day、骨髄血含浸+テリパラチド投与群で平均3.3±0.68µm/dayであった。2元配置分散分析法においてテリパラチド投与は石灰化速度を有意に上昇させたが(p<0.001)、骨髄血含浸は石灰化速度を低下させた(p=0.01)。テリパラチド投与と骨髄血含浸に相互作用はなかった(p=0.286)。

考察:
新生骨面積率と、石灰化速度という2つの評価において、テリパラチド投与は有意に人工骨内での骨新生を促進させることがわかった。顆粒状のβリン酸三カルシウム人工骨とテリパラチド投与により周囲の骨組織の形成を評価した報告はあったが、今回初めてテリパラチド投与が人工骨内の骨形成を促進することが明らかとなった。骨髄血移植を行った群と骨髄血移植を行わなかった群とで骨新生面積に有意差はなかった。初回採取のウサギ骨髄血に含まれる間葉系幹細胞様細胞数は、採取骨髄血1ml当たり95個であった。筑波大学整形外科グループで実施している濃縮自家骨髄血移植に用いる自家濃縮骨髄血1mL当たりの間葉系幹細胞様細胞数は、平均126.7個であり、未濃縮ながら相当数の間葉系幹細胞様細胞を含んでいると言える。しかし、本研究に用いた人工骨には、容積の制限から約0.086mLしか骨髄血を含浸することができなかった。大腿骨頭壊死症の治療には片股あたり15-20mLの濃縮骨髄血を移植しており、およそ2000-2500個の間葉系幹細胞様細胞が含まれている。本実験系では骨髄血量が不十分であり、骨新生効果を十分に評価することができなかったと考える。

結論:
テリパラチド投与は人工骨連通孔内部の骨新生をさらに促進させることを、家兎脛骨開窓モデルより明らかにした。本研究の手法においては、骨髄血に含まれる間葉系幹細胞様細胞の数の少なさや凝固に伴う含浸不良により骨髄血の含浸が人工骨内での骨新生に寄与するかは明らかにできなかった。

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