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大学・研究所にある論文を検索できる 「宇宙プラズマ中の高エネルギー荷電粒子の消失過程」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

宇宙プラズマ中の高エネルギー荷電粒子の消失過程

田所, 裕康 加藤, 雄人 京都大学

2023.03

概要

宇宙プラズマ中の高エネルギー荷電粒子の消失過程
Loss processes of energetic charged particles in space plasma
研究代表者:田所裕康

(千葉経済大学経済学部)
h-tadokoro@cku.ac.jp

研究分担者:加藤雄人

(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)
yuto.katoh@tohoku.ac.jp
担当:シミュレーション開発、パラメータサーベイ

研究目的 (Research Objective):
プラズマー中性粒子間衝突は、宇宙プラズマ素過程の定量的理解において重要で
あるとともに、その理解において計算機実験の果たす役割は大きい。本研究課題では、
これまで土星磁気圏を対象として、中性粒子による磁気圏電子の振る舞いを議論して
きた。土星磁気圏は、カッシーニ探査機の観測結果からエンケラドス衛星起源の水分
子(中性)がプラズマよりも高密度に分布しているため、プラズマの消失が支配的な
「消失型磁気圏」と言うこともできる。本研究では、中性粒子との衝突プロセスに関
して定量評価がほとんどなされていない電子に着目する。一般に電子ー中性粒子間衝
突は、電子のエネルギーに応じて、支配的な衝突プロセスが変わる (lkeV以下では弾
性衝突、 lkeV以上ではイオン化反応)。これら個々の衝突プロセスを切り分けて検証
できるのが数値実験の強みであり、これまでに lkeV電子と水分子の弾性衝突の定量
評価がなされている [TadokoroandK
a
t
o
h
,2
0
1
4
,J
G
R
]。また K
DKを用いて 2
0
2
1年ま
でに 500eV-50keV電子と水分子の弾性衝突の計算を終えている。本年はこれらの計算
結果を用いて、
l
)弾性衝突散乱によってピッチ角散乱された降下電子によるオーロラ発光強度の

見積り
を行うことを目指す。
また、イオン化反応に関しては、これまでに lkeV電子のエネルギー消失率の初期
結果を示している。しかしながら、これらの計算結果は、 2次電子の生成エネルギー
(微分断面積)を 1次電子のエネルギーが lkeVであると仮定して計算している。実際
は衝突が発生する毎に 1次電子のエネルギーは消失を受けていくため、これら 1次電
子エネルギーを反映した 2次電子生成エネルギーのモデル化が必要となる。そこで、
2
)1次電子のエネルギーを考慮した 2次電子生成エネルギーのモデル化の検討

を目指す。
計算手法 (Computational Aspects)
上星磁気圏において最も中性水分子が高密度であるエンケラドス衛星付近の磁力
線に沿った空間 1次元におけるテスト粒子シミュレーションを行う[Tadokoro and
-47-

K
a
t
o
h
,2
0
1
4
,J
G
R
]。相対論効果を含めた基礎方程式は、以下のようになる。
d







(m y
v
)=q(E十サ xB),
dt

(
1
)

ただし、電場佑ま 0 と仮定している。磁場B
はダイポール磁場を仮定している。境界条
0度以内のシミュレーション空間で考える。計算時間は、共回
件として、磁気緯度士 1
転を仮定した電子フラックスチューブがエンケラドス衛星周辺の高密度領域を通過
する 6.4分 (
3
8
0秒)間としている。また初期ピッチ角分布は、ピッチ角変動を評価す
るため、等方分布を仮定する。計算粒子数は 500,000とする。中性水分子との衝突過
程は衝突確率として、以下のように表すことができる。
p=natotV△t
,

(
2
)

nは中性水分子密度(背景値として固定)である。びtotは衝突断面積であり、弾性衝突、
a
s
o
n
,2
0
0
5
]。時間ステップ△ t
毎に衝突
イオン化衝突ごとに値は異なる [ItikawaandM
の有無を (
2
)式によって判定する。衝突しなければ次の時間ステップに進める。衝突
が発生する場合、弾性衝突の場合はピッチ角散乱が発生するがその時の散乱角は実験
値をもとにモンテカルロ法を用いて解く。イオン化反応に関しては、反応後 1次電子
は、イオン化エネルギー (
1
2
.
6
e
V
)と2次電子のエネルギー分のエネルギーを消失する。
2次電子の生成エネルギーは Singly Differential Cross S
e
c
t
i
o
n
(
S
D
C
S
)の実験値を
用いる [Itikawa andM
a
s
o
n
,2
0
0
5
]。イオン化反応における電子散乱は未実装である。



‘,‘、

研究成果(Accomplishments

弾性衝突とイオン化反応に関して、以下の 2点に関して進めていった。
l
) 弾性衝突を起因とした降下電子によるオーロラ発光強度の再評価

これまでに KOKを用いて、 500eV-50keVの磁気圏電子と水分子間の弾性衝突を通
したピッチ角散乱による電子消失率の評価を行ってきた。これら消失率を用いること
によってオーロラ発光強度の見積りを行った(これまでは l
k
e
V電子の観測結果のみ
を用いて議論してきたため、より実パラメータを用いて再評価した)。入力値は、計算
されたエネルギー依存電子消失率、磁気圏電子フラックス (Cravenseta
l
.
,2
0
1
1の
観測結果をもとにモデル化)用いて、エネルギー依存したオーロラ発光強度を得た(降
ta
l
. [
1
9
8
3
]を用
下電子によるエネルギーからオーロラ発光強度への変換は Waitee
.
6
[
R
]というオーロラ発光強度を定
いた)。結果として、 500eV-50keV電子において 2

量的に見積もることができた。
2
) イオン化衝突の微分断面積のモデル化検討

これまでの計算では、 1次電子のエネルギーを l
k
e
Vと仮定して 2次電子の生成工
ネルギーを解いてきた。実際には 1次電子のエネルギーはイオン化反応を発生する毎
に減少していくためこれらを考慮した微分断面積を用いる必要がある。本年度は、直
線補間を最初に実施したが、実験値とのずれが非常に大きくなることが判明した。次
にスプライン補間を用いた微分断面積のモデル化を行った。今後の課題として、これ

-48-

らのモデルの妥当性の検証を実施し、イオン化反応による電子消失率の計算機実験を
実施していく予定である。

公表状況(Publications ) :
(査読無し論文)

1. Tadokoro, H., and Y. Katoh, Test particle simulation of 1keV electron energy loss by
ionization with water molecule around Enceladus, Proceedings of Symposium on Planetary
Science 2022, 2022.
(学会発表)

1. Tadokoro, H., and Y. Katoh, Numerical simulations of 1keV electron energy loss by
ionization with neutral H2O around Enceladus, 日本地球惑星科学連合 2022 年 大 会, 千
葉県, 2022 年5月
2. Tadokoro, H., and Y. Katoh, Test particle simulation of electron – water molecule ionization
around Enceladus: energy loss of 1keV electrons, 第 152 回地球電磁気・地球惑星圏学
会,神 奈 川 県, 2022 年11月
3. Tadokoro, H., and Y. Katoh, Energetic electron collisions with water molecules: elastic
collision and ionization in the magnetosphere at the orbit of Enceladus, 第 24 回惑星圏研
究会, 2023 年2月 . ...

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