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大学・研究所にある論文を検索できる 「γ-オリザノールの吸収ならびに生体内動態に関する食品機能学的研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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γ-オリザノールの吸収ならびに生体内動態に関する食品機能学的研究

小林 エリ 東北大学

2021.09.24

概要

野菜や果物などの食用植物には様々な機能性成分が含まれており、医薬品と比較して副作用などのリスクが低いことから、食事を通じたこれらの日常的な摂取による疾患の改善や予防が注目されている。例えば、緑茶に含まれるカテキンには小腸での脂質の乳化と吸収を抑制する作用があり、高濃度カテキンを含む緑茶の摂取により内臓脂肪を低下させる飲料製品などが人気である。こうした機能性成分の効果を最大限に享受するためには、摂取後に体内でどのように吸収・代謝され、どのような形態で体内に分布し生理作用を発揮するのか、すなわち活性本体を理解することが重要であ る。しかし、トコフェロールやポリフェノール、特定のカロテノイドなどの非常に有名ないくつかの機能性成分を除いて、吸収代謝の理解は十分ではないことが多い。

γ-オリザノール(OZ)は、種々の植物ステロールやトリテルペンアルコールのフェルラ酸エステルの総称である。OZ は、1954 年に金子らによって米糠中で最初に同定され[1]、その後小麦、大麦、トウモロコシなどのいくつかの穀物中でも存在が確認され、現在までに 10 種類以上のOZ 分子種が報告されている。中でも、米糠は OZ を非常に多く含み、粗米糠油中に 1.5~3%程度の OZ が含まれている[2]。米糠中の主要な OZ 分子種としてはcycloartenyl ferulate(CA-FA)、24-methylenecycloartanyl ferulate(24MCA-FA)、campesteryl ferulate(Camp-FA)、および β-sitosteryl ferulate(Sito-FA)が挙げられる(Fig. 1)。OZ は抗酸化作用や抗発癌作用、抗糖尿病作用、神経保護作用、免疫調節作用および脂質低下作用などの優れた機能性を有しており[3-8]、米糠やそれを加工したこめ油の日常的な摂取による健康増進効果が大いに期待される。

OZ がヒトの生体に及ぼす生理活性には多くの関心が寄せられてきた一方で、経口摂取した OZ の生体内動態に関する研究報告は多くなく、未だ不明な点が多い。1980 年に藤原らが行ったOZ の体内動態の調査では、家兎に 14C 標識 OZ を経口投与(200 mg
/ kg 体重)すると、その後の血中にはOZ そのものではなく、代謝物(フェルラ酸)に由来する放射能が約 80%含まれていたことが報告された[9]。これは、OZ が生体内ですぐに加水分解を受け、体内ではフェルラ酸として存在していることを示唆していた。以降、OZ の吸収代謝に関する研究では、OZ そのものではなく代謝物であるフェルラ酸に焦点が当てられるようになった。我々の知る限り、薄層クロマトグラフィーを使用した 1 つの研究を除いて[10]、経口投与後の血中のOZ の存在を確認した研究は無い。この傾向とは対照的に、細胞試験などによる OZ の活性評価研究ではOZ そのものを添加した評価が行われており[6,11,12]、代謝物ではなくOZ としても生理活性があることは自明である。

近年の分析技術の発達により、以前は困難とされてきた多くの微量分子の精密解析が可能となった。その中で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とタンデム質量分析(MS/MS)を組み合わせた分析手法(HPLC-MS/MS)は、夾雑物が多く存在するサンプル中での高選択的・高感度な分析に適しており、特定の分子の構造同定および濃度測定に広く利用されている[13,14]。OZ の測定においても、米糠中のOZ の分析に HPLC-MS/MS が利用された実績があり、その有用性が証明されている[15,16]。しか し、生体サンプル中のOZ に対してこの技術を適用した例は無く、これを血漿や組織などの測定に応用することで、OZ の生体内動態の解明に利用できると考えた。

以上より、本研究では、HPLC-MS/MS による生体内のOZ の抽出および分析法を構築し、OZ そのものが生体内に存在するかを評価した。

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