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書き出し

Decomposition behavior of woody biomass in supercritical methanol

Yao, Yilin 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24922

2023.09.25

概要

( 続紙 1 )
京都大学

博士(エネルギー科学)

氏名 YAO Yilin

Decomposition behavior of woody biomass in supercritical methanol
(超臨界メタノール中での木質バイオマスの分解挙動)
(論文内容の要旨)
論文題目

本 論 文は、超臨界メタノール(臨界温度 239℃、臨界圧力 8.1MPa)中での
ス ギ ( 針葉樹)の分 解挙動に ついて、反 応圧力、水添加およ び副成分の影
響 を 検 討したものであり、7 章から構成される。
第 1 章は序論であり、木材の 主要構成成分、副 成分および細胞壁構造に
つ い て 、また、超臨 界流体法を含むバイ オマスの各種変換法 、既往研究お
よ び 課 題をまとめ、研究の目的及び意義を述べている。
第 2 章では、本研究の ために 設計・ 製作されたセミフロー反応器の構造
お よ び 仕様がまとめ られている。本セミ フロー反応器は反応 温度、圧力お
よ び 溶 媒流速を独立 に制御することがで き、バッチ反応器と は異なり、反
応 圧 力 の影響を より詳細に 検討 することが可能になった。
第 3 章では、臨界圧力を超え る 10~30MPa の圧力範囲で超臨界メタノー
ル 中 で のスギの分解 挙動に及ぼ す圧力の 影響を、 ヘミセルロ ースとリグニ
ン の 分 解が進行す る 270℃ で検討した 。その結果、反応圧 力の上昇と共に
ス ギ か らのリグニン の溶出が顕 著になる ことを見出した。ま た、圧力上昇
と 共 に リグニン由来 芳香族モノマー(コ ニフェリルアルコー ルおよびその
γ -メ チ ルエーテル)の収量が 増加することも明らかにした。これらの理由
と し て 、10MPa から 20MPa への圧力上昇時、超臨界メタノー ルの密度が約
160kg/m 3 から 520kg/m 3 へと大 幅に増大する ため、リグニン由来分解物(オ
リ ゴ マ ー およびモノマー)の溶 解性が向上する機構が提案された。
第 4 章では、超臨界メタノール中でのスギの分解挙動に及ぼす水( 臨界
温 度 374℃、臨界圧力 22.1MPa)の影響を 270℃にて検討した。その結果、
10vol% の水の添加により、10MPa では多糖の分解が、20MPa 以上では脱リ
グ ニ ン がより選択的 に進行することがわ かり、水添加系で反 応圧力を変化
さ せ る ことで構成成分の分解・溶出挙動を制御できることを明らかにした。
水 は 密 度が圧力に依 らない液相で存在す る一方、超臨界メタ ノールの密度
は 10~ 20MPa の 圧力 条 件 で 気 相 か ら 液相 に 近 い 密度 に ま で大 幅 に 増 大す
る 。そ のため、10MPa では液相の水の影響が支配的になることで多糖の分
解 が 促 進され、20MPa 以上ではメタノールの影響が支配的になり脱リグニ
ン が 促 進される機構が提案された。
第 5 章では、スギに含まれる副成分の影響として、ヘミセルロースのウ
ロ ン 酸 に 塩として存 在するアルカリおよ びアルカリ土類金属 カチオンの影
響 に つ い て、10vol%水添加超臨界メタノール中、270℃、10MPa の条件で検

討 し た 。その結果、 希酸処理により金属 カチオンを除去した 脱塩スギ試料
で は 、多糖の分解に よる糖収量が増大し、リグニン由来芳香 族モノマー(コ
ニ フ ェ リルアルコー ル類)の収量が減少 することがわかった 。一方、全て
の ウ ロ ン酸を金属塩(Na + 、K + 、Ca 2+ または Mg 2+ との塩)にすることで、逆
に 芳 香 族モノマーの 収量が向上し、糖収 量 が低下することが 判明した。こ
れ ら の 結果より、ス ギ中のウロン酸の 含 有量はごく僅かであ るものの、遊
離 の ウ ロン酸の酸触 媒作用がヘミセルロ ースとリグニンの分 解挙動に大き
く 影 響 すること、こ れを金属塩とするこ とで酸触媒作用を除 去できること
が 明 ら かになった。
第 6 章では、タンパク質をスギに添加した試料を用い、270℃、27MPa の
超 臨 界 メタノール中 (バッチ式反応器) での分解挙動を調べ 、スギ中に少
量 含 ま れるタンパク 質の影響を 検討した 。その結果、タンパ ク質が共存す
る こ と で脱リグニン が促進されると共に 、チャー生成が抑制 される傾向が
あ る こ とが 示された 。 これらの 理由とし て、 タンパク質由来 のアミノ酸が
リ グ ニ ン由来物の再 重合を抑制する機構 、およびアミノ酸が 糖の脱水反応
を 抑 制 することで糖脱水物の重合を 抑制する機構が提案された。
第 7 章(結論)では、本研究で得られた成果についてまとめている。

(続紙 2 )
(論文審査の結果の要旨)
木質バイオマスは地球上に最も豊富に存在する再生可能な資源であ
り 、バイオ燃料やバイオケミカルスへの変換・利用が期待されている。
本 研 究 で は 、 ス ギ を 試 料 と し て 用 い 、 超 臨 界 メ タ ノ ー ル (臨 界 温 度
239℃ 、臨界圧力 8.1MPa)中での分解挙動に及ぼす反応圧力、水添加お
よび副成分の影響について、ヘミセルロースとリグニンの分解が進行
す る 270℃で検討した。主な成果は以下の通りである。
1) 臨界 圧力 を超 え る 10~30MPa の 圧 力範 囲で 超臨 界メ タ ノー ル中で
の ス ギの分解挙動に及ぼす圧 力の影響を検討した。その 結果、反応圧力
の上昇と共にスギからのリグニンの溶出が顕著になることを見出し
た 。 また、その理由として、 20MPa 以上の 条件で超臨界メタノールの
密 度 が大幅に増大することで 、リグニン由来分解物(オリゴマーおよび
コ ニ フェリルアルコール)の 溶解性が向上する機構が提案された。
2) 次 に 、 超 臨 界 メ タ ノ ー ル 中 で の ス ギ の 分 解 挙 動 に 及 ぼ す 水 (臨 界 温
度 374℃、臨界圧力 22.1MPa)の 影響を検討した。その結果、10vol%の
水 の添加により、270℃、10MPa では多糖の 分解が、20MPa 以上では脱
リグニンがより選択的に進行することがわかり、水添加系で反応圧力
を変化させることで構成成分の分解・溶出挙動を制御できることを明
ら か にした。水は密度が 圧力に依らない液相で存在する一方、超臨界メ
タ ノ ールの密度は 10~20MPa の圧力条件で 気相から液相に近い密度に
ま で 大幅に増大する。そのた め、 10MPa では液相の水の影 響が支配的
に な ることで多糖の分解が促進され、20MPa 以上ではメタノールの影
響 が 支配的になり脱リグニンが促進される機構が提案された。
3) ス ギ に含まれる副成分の影響として、ヘミセルロースのウロン酸に
塩として存在するアルカリおよびアルカリ土類金属カチオンの影響を
10vol%水添加超臨界メタノール中、270℃、10MPa で 検討した。脱塩試
料との比較から、スギ中の金属カチオンが多糖からの糖収量を低下さ
せる一方、リグニンからの芳香族モノマー収量を増大させることを見
出 し た。また、その 理由とし て、ヘミセルロースの加水分解やリグニン
の二次分解を促進する遊離ウロン酸の酸触媒作用が、塩になることで
消 失 する機構が提案された。さらに、スギ中に少量含まれるタンパク質
が脱リグニンを促進する作用を持つことを明らかにし、その機構を提
案 し た。
以上、本論文は超臨界メタノール中での木質バイオマスの分解挙動
に 及 ぼす反応圧力の影響、水 添加系での水の作用機構、および副成分の
影響を明らかにし、バイオマス変換に関わる学術領域に寄与するとこ
ろ が 少なくない。
よ っ て、本論文は博士(エネルギー科学)の学位論文として価値ある
も の と認める。また、令和5 年 8月 24日実施した論文内容とそれに関
連 し た試問の結果合格と認めた。
論文内容の要旨、審査の結果の要旨及び学位論文の全文は、本学学術情報リポ
ジトリに掲載し、公表とする。ただし、特許申請、雑誌掲載等の関係により、要
旨を学位授与後即日公表することに支障がある場合は、以下に公表可能とする
日付を記入すること。 ...

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