リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「在宅訪問診療を受療する高齢者の血圧と臨床経過に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

在宅訪問診療を受療する高齢者の血圧と臨床経過に関する検討

糀屋, 絵理子 大阪大学

2021.03.24

概要

【研究背景】超高齢社会を迎えた我が国では、在宅療養への速やかな移行を目指した「地域完結型」医療を推進すべく、在宅医療ケアシステムの確立が求められている。しかし、在宅医療を研究フィールドとした先行研究は限られており、特に疾患一つ一つに焦点化した研究は少ない。中でも、我が国の高齢者において、高い有病率を示す高血圧については、各種疾患発症のリスクファクターとして注目され、これまでに適切な血圧レベル、血圧変動性の検討が行われてきたものの、在宅療養高齢者の血圧管理状況については、未だ把握されておらず、また明確な治療基準は得られていない。

【目的】本研究では、在宅訪問診療を受けている高齢者において、血圧管理・降圧治療の実態を把握するとともに、血圧レベル、血圧変動性(訪問診療間変動、季節変動)と、在宅療養中のイベント(入院、転倒、死亡)発生との関連性を検討した。また、その結果を基に、今後の治療・ケア方針への示唆を得ることを目的とした。

【研究1】〈血圧レベルに関する検討〉
〈方法〉包括的在宅医療確立のためのレジストリー研究(Osaka Home Care Registry study:OHCARE)の協力機関にて訪問診療を受療する、65歳以上の者のうち、初回と追跡調査が可能であった151名(84.3歳±8歳)を対象とした。平均血圧、高血圧罹患有無を基に、療養中イベントとの関連を検討した。〈結果〉収縮期血圧(SBP)の平均値124mmHgをカットオフとし、2群間比較を行うと、SBP124mmHg未満群では、SBP124mmHg以上群より「療養中の入院」の発生割合が有意に高かった。また、高血圧罹患者に対する「療養中の入院」の関連要因について、現疾患などの影響を考慮した上でも「SBP124mmHg未満」は独立した関連を示した。〈結論〉在宅診療受療中の高齢者において、高血圧罹患者も含め、SBP124mmHg未満という指標は、入院へ繋がりうる虚弱な全身状態を予測するバイオマーカーになりうることが示唆された。

【研究2】〈血圧変動性に関する検討①-訪問診療間の変動-〉
〈方法〉OHCARE研究に登録され、65歳以上、かつ初回調査にて3回以上の血圧測定値が得られた者のうち、平均血圧測定間隔が16±13日範囲内の患者103名を対象とし、受診間血圧変動と療養中イベントとの関連性を検討した。受診間血圧変動の指標は、標準偏差(SD)、Coefficient of variation (CV)を使用した。〈結果〉SBPのSD、CVと「療養中の入院」との間に有意な正の関連を認めた。また、降圧薬有無別では「降圧薬内服あり」群において、同様の関連を認めた。さらに、関連因子を調整した上でも、SBPのSD、CVは「療養中の入院」と独立した関連を示した。〈結論〉訪問診療受診間血圧変動性の大きさは療養中の入院イベントリスクと関連する可能性が示唆された。

【研究3】〈血圧変動性に関する検討②―季節間の変動(夏・冬)―〉
〈方法〉OHCARE研究に登録され、65歳以上、かつ初回と追跡調査で、夏季(6/1-8/31)、冬季(12/1‐2/28)に調査を行った57名を対象とし、血圧の季節変動の実態を明らかにするとともに、療養中イベントとの関連性を検討した。〈結果〉平均血圧は、夏季120.5±12/66.9±8mmHg、冬季124.7±11/69.5±7mmHgと冬季の方が有意に高値であった。また血圧変動レベル大小2群で特性を比較すると、変動レベルが大きい群の方が小さい群より、夏季SBP,DBPが有意に低かった。また、変動レベルが大きい群の方が有意に「療養中の入院」の発生割合が高かった。〈結論〉季節間で血圧は変動し、特に夏季の血圧低下が変動に影響する可能性が考えられた。また、血圧変動性の大きさが療養中の入院イベントリスクと関連する可能性が示唆された。

【まとめ】本研究より、在宅療養高齢者の血圧レベル、血圧変動性は、入院イベントに繋がりうるバイオマーカーとなる可能性が示唆された。在宅療養を中断しうる有害事象を回避し、QOLの高い生活を維持するためにも、医療者は、各患者個人の血圧レベル、変動性の特徴を把握した上で、臨床的な諸問題を考慮し、慎重に患者個々に最適な治療、ケアを検討する必要がある。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る