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大学・研究所にある論文を検索できる 「血管新生におけるヒストン脱メチル化酵素KDM2B の機能解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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血管新生におけるヒストン脱メチル化酵素KDM2B の機能解析

佐々木, 裕司 東京大学 DOI:10.15083/0002007008

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名佐々木 裕司
本研究では血管内皮細胞における VEGF 刺激下によってエピジェネティックな修飾変化に
着目し、KDM2B の血管新生に与える影響について調べた。また、in vitro において
KDM2B の血管新生における機能を検討し、下記の結果を得ている。
1. 初めに HUVEC に対して VEGF 刺激した際に活性化される遺伝子を RNA-seq を用い
て網羅的に解析し、早期に誘導される 57 個の遺伝子を同定した。これらは腫瘍血管新
生に重要な転写因子群を含んでおり、既報と一致していた。
2. 次に VEGF 刺激下のヒストン修飾変化を網羅的に検索するために、H3K4me3、
H3K27ac、H3K36me3、H3K9me3、H3K27me3、H2A119Ub の ChIP-seq を行っ
た。その結果、血管新生関連の遺伝子座において、VEGF 刺激 1 時間後の
H3K4me3、H3K36me3 のシグナル強度の上昇、および H2A119Ub では VEGF 刺激
15 分後の抑制の解除および VEGF 刺激 1 時間後のシグナル強度の回復を認めた。こ
の結果から、KDM2B が VEGF 刺激下における血管内皮の遺伝子変化に介在する因子
として示唆された。
3. siRNA を用いた KDM2B のノックダウンにより、血管新生関連遺伝子の変化を検討し
たところ、VEGF 刺激 1 時間後の発現量の上昇は KDM2B のノックダウンによって有
意に増加していた。RNA-seq を用いて VEGF 刺激によって早期誘導される 57 の遺伝
子を解析したところ、41 遺伝子において 2 種類の siRNA に共通して KDM2B のノッ
クダウンによって FC が増加しており、また腫瘍血管新生に重要な遺伝子群はこれら
に含有されていた。このことから KDM2B が腫瘍血管新生遺伝子に抑制的に作用して
いることが示唆された。
4. in vitro において VEGF 刺激下における KDM2B の血管新生に与える影響を検討する
ためにチューブフォーメーション、スクラッチアッセイ、増殖アッセイを行った。い
ずれのアッセイにおいても KDM2B のノックダウンによって血管新生は有意に亢進し
ており、KDM2B のノックダウンが内皮細胞における血管新生を亢進させることが判
明した。
5. 次に KDM2B の過剰発現系を構築するためにクローニングを行った。KDM2B の過剰
発現を行って qPCR を行ったところ、血管新生関連遺伝子の VEGF 刺激 1 時間後の
mRNA の発現量は KDM2B の過剰発現によって減少を認めた。RNA-seq では
KDM2B の過剰発現によって FC が減少した遺伝子と KDM2B のノックダウンによっ
て FC が上昇した遺伝子を比較し、KDM2B が転写制御に強く関与している 31 遺伝子

を同定した。この中には EGR1-3 や NR4A2、NR4A3 などが含まれていた。
6. KDM2B を過剰発現させた際の血管新生に与える影響を検討するために同様にチュー
ブフォーメーション、スクラッチアッセイ、増殖アッセイを行ったところ、チューブ
フォーメーション、増殖アッセイにおいては血管新生は有意に低下していた。スクラ
ッチアッセイにおいても血管新生の低下は認めたが有意差は認めなかった。
以上、本論文では VEGF 刺激下における KDM2B の血管新生への関与を初めて証明し
た。血管新生を促進するヒストン修飾についてはいくつか報告があるが、今回、血管新生
に抑制的に機能する初めてのエピジェネティクス因子として KDM2B の関与を示してお
り、今後腫瘍に対する血管新生をターゲットとした治療法に対して新たな知見を提供す
る。

よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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