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気道炎症における2型自然リンパ球の維持及び活性化に対する局所インターロイキン7の機能に関する研究

高見, 大地 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24547

2023.03.23

概要

気道炎症における 2 型自然リンパ球の維持及び活性化
に対する局所インターロイキン 7 の機能に関する研究

2022

高見

大地

1

目次

略語表 ……………………………………………………………………………………………3

序論 ………………………………………………………………………………………………4

第 1 章 IL-7 産生細胞の同定と ILC2 に対する肺局所 IL-7 の機能解明 …………………8

第 2 章 IL-5-Venus レポーターマウスを用いた肺 ILC2 の局在変化解析 ………………10

結論 ………………………………………………………………………………………………11

実験材料と方法 …………………………………………………………………………………12

謝辞 ………………………………………………………………………………………………17

参考文献 …………………………………………………………………………………………18

2

略号表
ANOVA

analysis of variance

cKO

conditional knock-out

CLP

common lymphoid progenitor

FBS

fetal bovine serum

GFP

green fluorescent protein

HDM

house dust mite

IL

interleukin

IL-7R

interleukin-7 receptor

ILC2

group 2 innate lymphoid cell

NFIL-3

nuclear factor, IL-3-regulated

PAMP

pathogen-associated molecular pattern

PBS

phosphate-buffered saline

PFA

paraformaldehyde

PI3K

phosphatidylinositol-3 kinase

RNA-seq

RNA-sequencing

STAT

signal transducer and activator of transcription

TCR

T-cell receptor

Th2

type 2 T helper

TSLP

thymic stromal lymphopoietin

3

序論

生物は細菌やウイルスなどの病原微生物に曝露され、常に感染の危険にさらされている。
我々に元来備わっている免疫機構は、外敵の侵入を防ぎ、侵入後に排除し、破壊された組
織を修復する、優れた防御システムである。免疫応答には、抗原の曝露に対して速やかに
起こる自然免疫応答と、比較的時間のかかる適応免疫応答がある。自然免疫応答は、マク
ロファージや樹状細胞、顆粒球などの骨髄系細胞が中心となり、パターン認識受容体と呼
ばれる多様性のない自然認識受容体を発現し、単純な分子や病原体関連分子パターン
(PAMPs)を認識し、サイトカインやケモカインを産生することによって炎症反応を誘導
する。一方、適応免疫応答は、B 細胞と樹状細胞などの抗原提示によって活性化される T
細胞が、個々の病原体の構造を認識する抗原 T 細胞受容体(TCR)を用いて、特異的に異
物を排除する。近年、自然免疫応答を担う細胞の一つとして、自然リンパ球(ILC)が同
定された。ILC は、T 細胞や B 細胞と同じ前駆細胞であるリンパ球性共通前駆細胞(CLP)
から分化し、ヘルパーT 細胞の分化と同様の転写因子によって分化する特徴を持つ(Fig. 01)
。一方で適応免疫系である T 細胞とは異なり、ILC は小腸、肺、皮膚、肝臓などの末梢
組織に常在し異物侵入後の初期の生体防御を担う(1)。

Fig. 0-1 ILC は CLP から分化し、ILC サブタイプはヘルパーT 細胞サブセットの分化と同様の転写因子
によって制御される

ILC の中でも、アレルギーや喘息、寄生虫感染時に応答する自然リンパ球は 2 型自然リ
ンパ球(ILC2)と呼ばれている(2)。ILC2 は肺、皮膚、腸管などに常在し、外敵の侵入に
4

迅速に応答し活性化される(3,4)。活性化 ILC2 は IL-5、IL-13 などの 2 型サイトカインを産
生し、好酸球を遊走させ炎症を引き起こす一方で、組織リモデリングを誘導する(2,5)(Fig.
0-2)
。ILC2 は 2 型ヘルパーT(Th2)細胞と同様に 2 型サイトカインを産生するが、Th2 細
胞が TCR のシグナルによって活性化されるのに対して、ILC2 は炎症性サイトカイン IL-33、
TSLP、IL-25 に反応して活性化されるという点で異なる(2,5-7)。
呼吸器系である肺は、外界と接するがゆえに外敵に暴露されやすい臓器の一つである。肺
では緻密な免疫機構が構築されているが、外敵を排除する過程で免疫系が過度に活性化し、
組織に傷害を与えてしまうことがある。気道炎症は主に Th2 細胞や ILC2 が産生する 2 型
サイトカインとそれによる好酸球の流入によって炎症が起こる病態である。ILC2 は肺実質
に常在し、上皮細胞が産生する炎症性サイトカインからのシグナルを受けて活性化され、
2 型サイトカインを産生することで炎症を誘発する(Fig. 0-2)
。ILC2 は定常状態において

Fig. 0-2

ILC2 は上皮細胞から産生されたサイトカインによって IL-5 や IL-13 を産生し炎症を惹起する

気管支近傍に局在しており(5,8,9)、上皮細胞からのシグナルに迅速に応答することができ
る。一方で、Th2 細胞が大量の 2 型サイトカインを産生する喘息などのアレルギー性気道
炎症では、ILC2 が Th2 細胞の 2 型サイトカイン産生を増強する機能を持つことが報告され
てきており(10,11)、ILC2 の役割や局在は解明されていないことが多い。
IL-7 は T 細胞や B 細胞、ILC の分化や維持に必須のサイトカインである。IL-7 は骨髄や
5

胸腺でそれぞれ B 細胞、T 細胞の初期分化を促進し(12,13)、末梢組織ではナイーブ T 細胞
及びメモリーT 細胞の恒常性を維持する(14,15)。T 細胞や B 細胞、ILC などのリンパ球は、
IL-7 欠損マウスや IL-7 受容体(IL-7R)欠損マウスにおいて劇的に減少する(16,17)。IL-7R
は IL-7R鎖と共通鎖のヘテロ二量体から構成されている。IL-7 は IL-7R に結合すると、
JAK1 及び JAK3 チロシンキナーゼを活性化し、リン酸化を介して STAT5 及び PI3K を活性
化する(18,19)。STAT5 や PI3K はリンパ球の増殖、生存、分化に関連したシグナルを伝達す
る(18)(Fig. 0-3)
。リンパ組織においては、IL-7 は骨髄間葉系細胞、胸腺上皮細胞、リンパ
管内皮細胞、細網線維芽細胞などのストローマ細胞によって産生される(20)。末梢組織に
おいては、皮膚ではリンパ管内皮細胞、腸管ではリンパ管内皮細胞及び上皮細胞によって
IL-7 が産生される(20)。肺においては、リンパ管内皮細胞から産生された IL-7 が、アレル
ギー性気道炎症において、組織常在性メモリーTh2 細胞の維持を促進することが報告され
ている(21)。しかしながら、肺においてリンパ管内皮細胞以外に IL-7 産生細胞が存在する

のか、各ストローマ細胞の IL-7 産生量の比較の詳細がどうなっているのかは明らかになっ
ていない。
Fig. 0-3

IL-7 は JAK-STAT、PI3K 経路を介して細胞の維持や分化を促進する

ILC2 は IL-7R を高発現し、分化(2,22,23)や維持(2,10,23,24)に IL-7 を必要とする。IL-7KO
や IL-7RKO マウスにおいて ILC2 が消失することから、生体内では骨髄における分化の段
階に IL-7 が必要であることが報告されている(2)。骨髄の IL-7 は ILC2 の分化の転写因子で
ある NFIL-3 の発現を誘導することによって CLP から ILC2 への分化を制御する(23,25)。さ
6

らに、ILC2 の培養では IL-7 を加えることによって細胞数が維持され、2 型サイトカイン産
生を助けることも報告されている(2,5)。したがって、生体内では ILC2 は肺や腸管などの末
梢組織に常在しているため、組織局所で産生された IL-7 が末梢 ILC2 の維持や活性化を促
進していることが予想される。しかしながら、局所の IL-7 が ILC2 に対してどのような影
響を及ぼしているのかは明らかになっていない。
本研究では、まず肺 ILC2 に対する局所 IL-7 の機能を明らかにすること、肺 ILC2 の局在
微小環境を明らかにすることを目的として遺伝子改変マウスを用いた免疫学的研究を行い、
以下の新知見を得た。
第 1 章では、まず肺における IL-7 産生細胞を同定し、続いて細胞特異的 IL-7 欠損マウス
の解析によって、パパインによる急性気道炎症時には気管支肺胞上皮細胞由来の IL-7 が
ILC2 の活性化を促進し、イエダニ(HDM)抗原によるアレルギー性気道炎症時にはリン
パ管内皮細胞由来の IL-7 が ILC2 の維持を促進していることが明らかになった。
したがって、炎症状態の違いによって ILC2 の肺での局在が変化している可能性が考え
られた。そこで第 2 章では、IL-5-Venus レポーターマウスを用いてパパイン及び HDM によ
る気道炎症を誘導し、ILC2 の局在を解析した。ILC2 は定常状態やパパインによる急性気
道炎症時には肺上皮細胞近傍に局在し、HDM によるアレルギー性気道炎症時にはリンパ
管近傍に局在していることが明らかになった。また、ILC2 の局在は、ケモカイン受容体で
ある CCR2 及び CCR4 によって制御されていることが示唆された。CCR2、CCR4 それぞれ
のリガンドである CCL2、CCL17 の抗体を投与した実験においては、ILC2 の局在変化が消
失した。以上の結果から、ILC2 は急性気道炎症時に CCR4 発現を上昇させ気管支上皮近傍
に局在し、アレルギー性気道炎症時に CCR2 発現を上昇させリンパ管近傍に局在するとい
うことが明らかになった。
これらの研究成果について、以下に論述する。

7

第1章
IL-7 産生細胞の同定と ILC2 に対する肺局所 IL-7 の機能解明

IL-7 はリンパ球を分化、維持するサイトカインとして知られており(19,20)、近年では
ILC の分化と維持も促進することが報告されてきた(2,26)。ILC は末梢組織に常在し抗原に
対して初期に迅速に応答する役割を担うが、その中でも ILC2 は抗原が侵入する頻度の高
い肺組織に常在することが知られている(2)。ILC2 は IL-7KO マウスや IL-7RKO マウスでほ
ぼ消失し、IL-7 を添加し培養すると ILC2 が増殖及び維持されることが報告されている
(2,5,10)。これらの知見から、ILC2 は生体内において分化段階に IL-7 が必要であること、
培養系において ILC2 の増殖と維持に IL-7 が必要であることが明らかにされている。しか
しながら、ILC2 は組織常在性であるので、骨髄や培養系だけではなく末梢の微小環境にお
けるサイトカインの作用を評価することが重要である。末梢に常在する ILC2 は、末梢の
微小環境における IL-33、IL-25、TSLP などの様々なサイトカインによって維持され機能を
発揮しているが(2,5,6)、ILC2 が局所でどのような IL-7 の作用を受けているかは明らかにな
っていない。また、近年では ILC2 が 2 型サイトカインを産生するだけでなく、アレルギ
ー性気道炎症において ILC2 が抗原提示細胞として働き、Th2 細胞の 2 型サイトカイン産生
を増強するという報告もある(11)。したがって、肺局所における IL-7 の機能を定常状態だ
けでなく気道炎症においても明らかにする必要がある。
本章では、まず IL-7-GFP レポーターマウスを用いて肺における IL-7 産生細胞を同定し
た。その結果、気管支上皮細胞、2 型肺胞上皮細胞、リンパ管内皮細胞が IL-7 を産生して
いることが明らかになった。また、肺ストローマ細胞のシングルセル RNA-seq 解析でもリ
ンパ管内皮細胞が IL-7 を高発現し、気管支上皮細胞が IL-7 を低発現していることが明らか
になった。そして、細胞特異的な IL-7 欠損(IL-7 コンディショナルノックアウト:IL-7c
KO)マウスを用いて、肺の局所で産生された IL-7 が ILC2 に対して及ぼす作用を定常状態
と炎症状態において評価した。定常状態では、肺の局所で産生された IL-7 は ILC2 の維持
に必要不可欠ではないことが示唆された。ILC2 を活性化するモデルとして、パパインを用
いた急性気道炎症を誘導したマウスを解析したところ、気管支上皮細胞由来の IL-7 が
ILC2 の活性化を促進することが示唆された。さらに、Th2 細胞が主に 2 型サイトカインを
産生するようなアレルギー性気道炎症を、HDM を用いて誘導し解析を行った。その結果、
リンパ管内皮細胞由来の IL-7 が ILC2 の維持を亢進していることが示唆された。急性気道
炎症は抗 IL-7 抗体の投与によって減弱し、IL-7 抗体が ILC2 の活性化を抑制することが明
8

らかになった。
、次に、Th2 細胞が主に 2 型サイトカインを産生するようなアレルギー性気
道炎症を、HDM を用いて誘導し解析を行った。その結果、リンパ管内皮細胞由来の IL-7
が ILC2 の維持を亢進していることが示唆された。
これらの結果から、肺局所における IL-7 は ILC2 の活性化及び維持を促進していること
が明らかになった。急性気道炎症において気管支上皮細胞が産生する IL-7 が ILC2 の活性
化を促進し、アレルギー性気道炎症においてリンパ管内皮細胞が産生する IL-7 が ILC2 の
維持を促進することが明らかになった。

9

第2章
IL-5-Venus レポーターマウスを用いた肺 ILC2 の局在変化解析

第 1 章ではパパインによる急性気道炎症時には気管支肺胞上皮細胞由来の IL-7 が ILC2
の活性化を促進し、HDM によるアレルギー性気道炎症時にはリンパ管内皮細胞由来の IL7 が ILC2 の維持を促進することを明らかにした。したがって、炎症状態の違いによって
ILC2 は異なる細胞種由来の IL-7 に依存して活性化あるいは維持されていることが示唆さ
れた。その理由の一つとして考えられるのが、ILC2 の肺における局在がパパイン誘導性の
急性気道炎症では気管支上皮近傍に、HDM によるアレルギー性気道炎症時にはリンパ管
近傍に、変化している可能性である。
先行研究では、定常状態において肺 ILC2 は気管支や太い血管、リンパ管近傍に局在す
ることが報告されている(5,8,9)。また、炎症状態においても血管周囲や気管支周囲の領域
に局在することが報告されている(27,28)。しかしながら、定常状態や炎症状態における肺
ILC2 の局在の違いはこれまで詳細に比較されていない。また、どのような生理活性物質に
よって ILC2 の局在が制御されているのかほとんど明らかになっていない。
本章では ILC2 を部分的に標識することができる IL-5-Venus レポーターマウス(9,29)を用
いて、定常状態、パパインによる気道炎症、HDM による気道炎症における ILC2 の局在を
定量的に解析し比較評価した。さらに ILC2 の局在に重要なケモカイン受容体を特定し、
ILC2 の局在が気道炎症に与える影響を評価した。その結果、ILC2 は定常時及び急性気道
炎症において気管支近傍に局在し、アレルギー性気道炎症においてリンパ管近傍に局在し
ていることが明らかになった。また、急性気道炎症と慢性気道炎症における気管支肺胞洗
浄液中の ILC2 の RNA-seq データ(30)を再解析したところ、急性気道炎症における ILC2 の
CCR4 が上昇し、一方で慢性気道炎症における ILC2 の CCR2 が高発現していた。同様に、
パパインによる急性気道炎症では Ccr4 発現が上昇し、HDM によるアレルギー性気道炎症
では Ccr2 が高発現していた。CCR4 のリガンドである CCL17 を遮断する抗体を投与した
ところ、パパインによる急性気道炎症で気管支近傍への局在の偏向が消失した。また、
CCR2 のリガンドである CCL2 を遮断する抗体を投与したところ、HDM によるアレルギー
性気道炎症においてリンパ管近傍への局在の偏向が消失した。
これらの結果より、ILC2 は急性気道炎症において CCR4 の発現を上昇させ気管支近傍に
局在し、アレルギー性気道炎症において CCR2 の発現を上昇させリンパ管近傍に局在する
ことが明らかになった。
10

結論

本研究では、肺微小環境から産生された IL-7 が肺に常在する ILC2 に対して与える影響、
及び ILC2 の肺における局在変化を、定常状態と炎症状態で評価し、以下の新知見を得た。

第 1 章では、肺上皮細胞特異的な IL-7cKO マウス及びリンパ管内皮細胞特異的な IL7cKO マウスを用いて ILC2 の機能や細胞数、遺伝子発現変化を解析した結果、急性気道炎
症において肺上皮細胞由来の IL-7 が ILC2 の活性化を促進しており、アレルギー性気道炎
症においてリンパ管内皮細胞由来の IL-7 が ILC2 の肺での維持を促進していることが明ら
かになった、また、抗 IL-7 抗体を投与すると ILC2 の活性化が抑制され、急性気道炎症が
減弱する効果が認められた。

第 2 章では、急性気道炎症とアレルギー性気道炎症において、ILC2 が依存する IL-7 が異
なる細胞種由来であるという点に着目し、ILC2 の局在を定量的に比較した。その結果、
ILC2 は定常時及び急性気道炎症において気管支近傍に局在し、アレルギー性気道炎症にお
いてリンパ管近傍に局在していることが判明した。また、急性気道炎症時の ILC2 では
CCR4 の発現が上昇し気管支近傍に誘引され、一方、アレルギー性気道炎症時の ILC2 では
CCR2 の発現が上昇しリンパ管近傍に誘引されることが示唆された。

以上から、本研究で、ILC2 の肺における維持や機能が、局所の IL-7 によって促進され
ることを明らかにした。また、ILC2 はケモカイン受容体 CCR4 及び CCR2 によって肺にお
ける局在が変化、制御されることを明らかにした。これらの知見は、気管支喘息をはじめ
とした ILC2 が関連する肺気道炎症疾患の病態の解明や IL-7 及び ILC2 を標的にした薬剤の
創成に寄与することが期待される。

11

実験材料と方法

マウス
C57BL/6 マウスは日本 SLC 株式会社から購入した。8 週~12 週齢の C57BL/6 マウス
を解析に用いた。IL-7GFP/+マウス及び IL-7flox/flox マウスは我々の研究室で作製されたもの
を用いた。IL-5Venus/+ノックインマウスは理研 BRC から入手した。Sftpc-Cre (SPC-Cre)マ
ウス及び Lyve1-Cre マウスは、それぞれ尾池雄一博士(熊本大学)及び Jason Cyster 博士
(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)から提供された。すべてのマウスは京都大学
医生物学研究所感染症モデル研究センターの SPF 環境下で維持されたものを用いた。また、
すべてのマウス実験は京都大学動物実験委員会の承認を得ており、「京都大学における動
物実験実施に関する規定」に従い行った。

抗体及びフローサイトメトリー
以下の蛍光色素またはビオチンが標識された抗体を用いた:CD3(145-2C11)、CD4
(RM4-5)、CD8(53-6.7)、NK1.1(PK136)、CD11b(M1/70)、CD11c(N418)、Gr-1
(RB6-8C5)、CD45(30-F11)、Ter119(Ter119)、CD19(6D5)、B220(RA3-6B2)、CD5
(53-7.3)、FcRI(MAR-1)、CD25(PC61)、KLRG1(2F1/KLRG1)、Sca-1(E13-161.7)、
CD127(IL-7R)
(A7R34)
、ST2(RMST2-2)
、GFP、 EpCAM(G8.8)
、CD31(MEC13.3)

F4/80 ( BM8 )、 Siglec-F ( E50-2440 )、 MHC I-A/I-E ( M5/114.15.2 )、 gp38 ( podoplanin )
(8.1.1)、CD69(H1.2F3)、CD103(APC, 2E7)、TCR(H57-597)、CCR2(475301)、
CCR4(2G12)、CD44(IM7)、IL-5(TRFK5)、IL-13(eBio13A)、Bcl-2(BCL/10C4)及び
Ki-67(SolA15)。蛍光色素またはビオチン標識抗体は BioLegend、eBioscience、Invitrogen
から購入した。PBS57-loaded CD1d テトラマーは NIH Tetramer Core Faculty から入手した。
ビオチン化したモノクローナル抗体は Brilliant Violet 421 あるいは 510 で標識されたストレ
プ ト ア ビ ジ ン ( BioLegend ) で 検 出 さ れ た 。 Bcl-2 及 び Ki67 の 細 胞 内 染 色 に は 、
Foxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(eBioscience)を用いて、細胞を固定、透過性
を付与した。IL-5 及び IL-13 の細胞内染色では、Intracellular Fixation and Permeabilization
Buffer Set(eBioscience)を用いて、細胞を固定、透過性を付与した。生細胞は FlowJo ソフ
トウェア(BD Biosciences)を用いて BD LSRFortessa(BD Biosciences)で解析した。

細胞の調整
12

肺を PBS で灌流し摘出後、ハサミを用いて細かく刻み、10% FBS、1mg/ml collagenase
D(Roche Diagnostics)
、50 g/ml DNase I(Worthington Biochemical)を含む RPMI1640 培
地で、37℃で 45 分間インキュベートした。消化された肺の断片は、40 m セルストレイナ
ーを通し、30% Percoll 溶液を用いて遠心し免疫細胞を分離した。赤血球を溶血処理で除去
し、細胞をフローサイトメトリーで解析した。BALF は気道に 1 ml の PBS を注入すること
によって得られた。 ...

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参考文献

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