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大学・研究所にある論文を検索できる 「緑内障患者における白血球中グルタチオンと臨床パラメーターとの関連」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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緑内障患者における白血球中グルタチオンと臨床パラメーターとの関連

矢花 武史 東北大学

2020.03.25

概要

【背景と目的】
緑内障は、眼圧以外に血流障害や酸化ストレスなど様々な因子がその病態に関与する多因子疾患である。これまで、緑内障と酸化ストレスの関連は数多く指摘されているが、眼局所への影響について評価した研究は少なく、その詳細なメカニズムは不明である。糖尿病や冠動脈疾患では酸化ストレスにより組織局所での血行動態が変化することが報告されている。本研究では、酸化ストレスを反映する指標として白血球中のグルタチオンに注目し、緑内障患者における酸化ストレスを評価し、さらには白血球中グルタチオンと眼局所の臨床パラメーターとの関係を追究した。

【方法】
広義開放隅角緑内障患者 56 例 56 眼と年齢調節された非緑内障患者 21 例 21 眼を対象とし、全血 10ml から白血球を単離し、その細胞内容物を抽出し目的サンプルとした。そのサンプル中の総グルタチオン、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオン濃度の測定し、還元型・酸化型の比を算出した。年齢、性別、眼軸長、眼圧、眼灌流圧、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、喫煙習慣の有無、全身疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常、心疾患、睡眠時無呼吸症候群)の有無、緑内障家族歴の有無を評価項目とした。また、緑内障患者において、optical coherence tomography による乳頭周囲神経線維層厚及び視野検査による緑内障重症度(MD)、laser speckle flowgraphy (LSFG)による眼血流の評価を行った。緑内障群と対照群の各グルタチオン濃度の比較を Mann-Whitney U test を用いて行った。さらに、緑内障群において、測定されたグルタチオン濃度と各臨床パラメーターとの相関を Spearman’s rank correlation test で解析し、重回帰分析によるグルタチオン濃度の貢献度について評価した。

【結果】
対照群と緑内障群において、年齢、性別、眼軸長、眼圧、眼灌流圧、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、喫煙習慣、全身疾患の有無について有意差を認めなかった(全て P > 0.05)。しかし、緑内障家族歴において両者に差を認めた(P = 0.03)。緑内障患者では、酸化型グルタチオンの有意な上昇(P = 0.01)、redox index(log還元型/酸化型 比)(P = 0.01)の有意な低下を示したが、総グルタチオン及び還元型グルタチオンで差は認めなかった(共に P > 0.05)。さらに、緑内障群において、redox index は MD と相関し(r = 0.29, P = 0.03, Spearman’s rank correlation test)、血管拡張能を反映する LSFG の acceleration time index(ATI)と相関した(r = -0.30, P = 0.03, Spearman’s rank correlation test)。また、重回帰分析の結果から、redox index は MD(β = 0.26, P = 0.02)及び ATI(β = -0.34, P = 0.04)に独立した貢献因子であることが示された。

【結論】
緑内障群で酸化ストレスは存在し、視神経乳頭内の血管の自動調節機能に影響することで緑内障病態に関与している可能性が示された。今後更に、緑内障と酸化ストレスとの詳細な関係が解明されていくことで、酸化ストレスを対象とした治療戦略の可能性が期待される。

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