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大学・研究所にある論文を検索できる 「Analysis of energy transfer and primary charge-separation process in heliobacterial reaction center with ultrafast spectroscopy」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Analysis of energy transfer and primary charge-separation process in heliobacterial reaction center with ultrafast spectroscopy

小島, 理沙 大阪大学

2022.03.24

概要

光合成は地球上のほぼ全ての生命を支える最も重要な反応の一つである。光合成初期過程は光合成反応中心(RC)と呼ばれる色素タンパク質複合体が担っており、色素によって吸収された光エネルギーは励起エネルギーとして色素間を移動しながらスペシャル・ペア(クロロフィル二量体)に到達し、電子を放出する電荷分離反応が生じる。RCは内部に結合している末端電子受容体の種類によって光化学系Ⅰ型(タイプ1RC)と光化学系Ⅱ型(タイプ2RC)に分類されている。

ヘリオバクテリアは絶対嫌気性の光従属栄養細菌であり、緑色硫黄細菌やPSIと類似したタイプ1RCを持ち、主要な色素としてバクテリオクロロフィル(BChl)gを持つ。2017年にX線結晶構造解析により、好熱性ヘリオバクテリアHeliobacterium modesticaldum (Hbt. modesticaldum)のhRCの立体構造が報告され、RC内部の電子伝達成分や色素配置などが明らかになった(Gisriel et al, Science,2017)。報告されたhRCの構造中には54個のBChl g、4個のBChl g’、2個の81-hydroxychlorophyll a(81OH-ChlaF)、2個の4,4’-diaponeurosporeneが含まれている。電子移動経路上にはスペシャルペアのBChl g’二量体(P800)、アクセサリー色素(Acc: BChl g)、一次電子受容体(A0: 81OH-Chl-aF)、末端電子受容体(FX: [4Fe4S]クラスター)が順番に並んでいる。本研究はhRCの構造情報を基に、光誘起により生じるhRC内の励起エネルギー移動および初期電荷分離過程に関する構造的基盤の解明を目的とし、高純度に精製されたhRC標品を用いてフェムト秒ポンプ・プローブ分光測定を行った。

まず、BChl gのQY帯の長波長側である810 nmの選択励起によりhRC内の励起エネルギー移動を観測した。励起光照射後0.2 ps以内に3つのBChl g集団(Bmd787, Bmd800, Bmd812)間で、励起エネルギーの極めて速い再分配と平衡化が観測された。またグローバル解析により得られたDecay-associated difference spectra (DADS)では、時定数0.13 psでuphillとdownhillの両方のエネルギー移動の後、時定数20 psにおいて初期電荷分離状態が形成されることも分かった。また、同時定数において816 nmの減衰成分が新規に観測された。これは、報告されている理論計算結果に基づき、P800にエネルギーを渡す最長波長BChl g (red-BChl g)、あるいは、P800とアクセサリー色素(Acc)の励起子カップリングに起因すると考えた。さらに、時定数20000 psの成分は非減衰成分を示し、この時間領域ではP800+A0⁻の電荷分離状態が保持されていることを意味する。しかしP800+に由来すると思われたピーク位置は、本来のP800+である798 nmよりも大きく短波長シフトしていた。これはAccとA0⁻の強いカップリングに起因すると解釈できるが、その妥当性については今後解明すべき課題である。

次に、hRC内に対称に配置されたカロテノイドの一種4,4’-diaponeurosporene(Car)の吸収波長である490 nmを励起光とし、低温(140 K)でフェムト秒ポンプ・プローブ測定を行った。グローバル解析の結果、得られた時定数から、Carの第二励起状態(S2)および第一励起状態(S1)のそれぞれからアンテナBChl gへの励起エネルギー移動が高効率で起こり、電荷分離形成に至ることが初めて明らかとなった。またこれに伴い、Carのphotochromicband shiftも観測された。これはCar周辺に存在するBChl gが励起状態となることで、Car自身が影響を受けるシフト成分と解釈される。このシフト成分が観測された時間領域から、Car近傍にはBmd812とBmd787のBChl g集団が存在することが示唆された。

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