リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「マウス胚で三胚葉を可視化するトリプルノックインレポーターシステムの開発」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

マウス胚で三胚葉を可視化するトリプルノックインレポーターシステムの開発

鈴木, 颯 筑波大学

2023.09.04

概要









論 文 題 目:マウス胚で三胚葉を可視化する
トリプルノックインレポーターシステムの開発

指導教員:
人間総合科学研究科

生命システム医学専攻

杉山 文博 教授



属:筑波大学大学院人間総合科学研究科
生命システム医学専攻



名:鈴木





的:
哺乳類の胚発生における重要な時期として、原腸胚期がある。原腸胚期では多能

性をもつエピブラストから内胚葉、外胚葉、中胚葉の三胚葉が形成される。これまでの
トランスクリプトーム、エピゲノム研究により、三胚葉の形成や発達に関わる分子機構は
解明されてきたが、未だ完全ではない。大規模な細胞の分化と移動が起こり複雑な細
胞局在を示す原腸胚の中で三胚葉形成を把握するためには、各胚葉を同時に可視
化することが有効であることから、胚葉特異的なマーカー遺伝子座に蛍光タンパク質
遺伝子がノックインされたレポーターシステムをもつマウスおよびマウス ES 細胞が作製
されてきた。しかし、in vivo のマウス原腸胚で胚発生を障害することなく三胚葉を同時
に可視化できるレポーターシステムの報告はない。そこで、本研究の目的は、マウス原
腸胚にて三胚葉を同時に可視化する MIERU(Multi-color Imaging of Embryonic
development by Reporter Units)システムをもつマウスおよびマウス ES 細胞の作製を試
みた。
対象と方法:
ま ず 始 め に 、 MIERU シ ス テ ム を も つ マ ウ ス を 作 製 す る た め 、 内 胚 葉 可 視 化

Sox17-EGFP ノックインマウス、外胚葉可視化 Otx2-tdTomato ノックインマウス、中胚
葉可視化 T-TagBFP ノックインマウス同士を交配した。MIERU マウス原腸胚におけるレ
ポーター遺伝子の発現を確認するため、ヘテロ接合型 MIERU マウス胎齢 7.5 日胚を
解剖し、蛍光顕微鏡で観察した。ホモ接合型トリプルノックインが内在性遺伝子の機能
欠損を引き起こさないことを確認するため、ホモ接合型 MIERU マウス同士を交配させ
産子を得た。
次に、ホモ接合型 MIERU マウスの交配で得られた胚盤胞の内部細胞塊由来の細
胞を、2i/LIF 法で培養し増殖させて MIERU-ES 細胞を樹立した。樹立した MIERU-ES
細胞の多能性を確認するため、MIERU-ES 細胞と ICR マウス由来四倍体胚から四倍
体補完法によりキメラ胚を作製した。
最後に、三胚葉形成に対する遺伝子機能解析において MIERU-ES 細胞が有用で
あることを検討するため、2 種類の CRISPR/Cas9 発現ベクターを MEIRU-ES 細胞内へ
トランスフェクションし、Strap の exon2 を除去された Strap-/--MIERU-ES 細胞クローン
を作製した。MIERU システムが遺伝子破壊による三胚葉への影響の評価に有用であ
るかを確認するため、Strap-/--MIERU-ES を用いた四倍体補完法を実施し、胎齢 9.5
日でキメラ胚を解剖して蛍光顕微鏡で観察した。


果:
シングルノックインマウス同士の交配を経て、トリプルノックインレポーターマウスであ

る MIERU マウスの作出・系統化した。蛍光顕微鏡を用いて MIERU マウス胎齢 7.5 日

胚を観察すると、EGFP の蛍光は胚体部の内胚葉で観察された。tdTomato の蛍光は
胚前方に位置する外胚葉で特に強い蛍光が認められた。TagBFP は胚体部後方に位
置する原始線条や胚前方に伸びる脊索中胚葉で確認された。また、ホモ接合型
MIERU マウス同士の交配によって得られる平均産子数は野生型 C57BL/6J マウスと同
程度であった。
ホモ接合型 MIERU マウスの交配で得られた胚盤胞から 8 株の MIERU-ES 細胞を
樹立することに成功した。また、四倍体補完法で作製した胎齢 7.5 日のキメラ胚は蛍光
の観察像において、キメラ胚は MIERU マウス胎齢 7.5 日胚と同様に、3 種類のレポー
ター遺伝子がそれぞれ胚葉特異的な部位で確認された。
MIERU-ES 細胞内ゲノム編集の結果、5 クローンの Strap-/--MIERU-ES 細胞を作製
できた。四倍体補完法で作製した胎齢 9.5 日の Strap-/--MIERU-ES キメラ胚では、
EGFP の蛍光は胆嚢の前駆細胞に相当する部位には認められなかった。また、
tdTomato の蛍光は頭部全体で発現しており、前脳、中脳および後脳の区画化は認め
られなかった。脊索で確認された TagBFP の蛍光は頭部に近づくに連れて減衰してお
り、かつ湾曲していた。


察:
胎齢 7.5 日胚の蛍光顕微鏡観察の結果から、MIERU システムはマウス原腸胚にて

三胚葉を同時に可視化したと言える。ホモ接合型 MIERU マウス同士の交配によって
得られる平均産子数の検討から、トリプルノックインアレルは胚発生を障害しないことが
示唆され、MIERU マウスおよび MIERU-ES 細胞は三胚葉形成の研究に有用であると
考えられる。特に、MIERU-ES 細胞は四倍体補完法で作製されたキメラ胚において三
胚葉へ分化して可視化することが証明されており、現時点で in vivo のマウス胚での三
胚葉形成の評価に有用な唯一のトリプルノックインレポーターマウス ES 細胞であると
考えられる。さらに、Strap-/--MIERU-ES キメラ胚において形態学的解析だけでは同定
できない表現型が蛍光の観察像で確認されたことから、MIERU システムはゲノム編集
技術を用いた遺伝子破壊と組み合わせることで、三胚葉の形成や発達に対する標的
遺伝子の機能評価に有用であることが示唆された。


論:
私はマウス原腸胚において三胚葉を同時に可視化する MIERU システムをもつトリプ

ルノックインレポーターマウスを作製した。また、MIERU マウスから高い分化能をもつ
MIERU-ES 細胞を樹立した。さらに、MIERU-ES 細胞の遺伝背景下におけるゲノム編
集技術を用いた遺伝子破壊と、四倍体補完法によるキメラ胚作製を組み合わせること
で、三胚葉形成に対する標的遺伝子の機能評価系を確立した。 ...

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る