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大学・研究所にある論文を検索できる 「Stanford B型急性大動脈解離モデルマウスにおける免疫抑制なしでのヒト Multilineage-Differentiating Stress-Enduring (Muse) 細胞経静脈的投与による血管構造強化効果の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Stanford B型急性大動脈解離モデルマウスにおける免疫抑制なしでのヒト Multilineage-Differentiating Stress-Enduring (Muse) 細胞経静脈的投与による血管構造強化効果の検討

高橋 誠 東北大学

2021.03.25

概要

本学位論文は、Stanford B 型大動脈解離に対する保存的加療の問題点の一つである解離血管径の拡大に対して、新たな治療法を新規開発することを目的とした研究に関する論文である。現時点では、大動脈解離の経時的な径拡大に対しては人工血管置換術以外に根本的な治療法はなく、非侵襲的な新規治療法が期待されている。また、本学細胞組織学分野にて発見された Multilineage-Differentiating Stress-enduring (Muse) 細胞は、経静脈的投与により障害組織での障害シグナル (S1P; sphingosine-1-phosphate) を認識し、障害組織に遊走・集積し、周囲組織に応じた細胞に自発的に分化し、障害組織を修復するという特徴を持つ多能性幹細胞である。本研究では、Stanford B 型急性大動脈解離モデルマウスに Muse 細胞を経静脈的に投与することにより、解離血管径の拡大抑制効果があるのではないかと仮説を立て、それを検証している。

本研究では、先行文献を参考に方法を一部変更して野生型マウスにβ-aminopropionitrile (BAPN)と AngiotensinⅡを用いて Stanford B 型急性大動脈解離モデルマウスを作成した。解離なし群 (Sham 群) よりも解離モデルマウス非治療群 (Vehicle 群) ではMuse 細胞の遊走の指標となるS1P が血漿にて高値であった。解離発症後 24 時間以内にモデルマウスに Muse 細胞を投与した群 (Muse 群) は Vehicle 群、間葉系幹細胞 (mesenchymal stem cell)を投与した群 (MSC 群)と比較して、細胞投与 8 週間後に造影 CT での解離血管径の拡大が抑制されていた。また、Muse 群は Vehicle 群よりも死亡率が低かった。IVIS での評価にて経静脈的に投与された Muse 細胞は細胞投与 8 週間後でも解離血管組織に特異的に集積していることが示された。蛍光免疫染色では解離血管中膜組織にて Muse 細胞をラベルした GFP と血管平滑筋マーカーであるαSMA の 2 重陽性細胞が認められた。Elastica-Masson 染色では Muse 群は Vehicle 群や MSC 群よりも解離血管断面積に対する弾性繊維の割合が高く保たれていた。免疫染色では解離血管に浸潤した白血球共通抗原である CD45 陽性細胞がMuse 群では Vehicle 群よりも少なく、Muse 細胞による解離血管での抗炎症作用も示唆された。

以上より、本研究では、経静脈的に投与した Muse 細胞が解離血管組織に特異的に遊走・集積し、血管平滑筋に分化し, 大動脈構造の要である弾性繊維を産生し, 血管構造を強化し, 解離血管径の拡大を抑制し, 解離血管破裂による死亡率を低下させているという機序が示唆され、Stanford B 型急性大動脈解離に対する新たな治療法へ繋がる基礎研究を遂行したと言える。

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