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大学・研究所にある論文を検索できる 「動的な面不斉を有する9, 10員環ジアリルアミン類の設計,合成とその立体化学挙動」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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動的な面不斉を有する9, 10員環ジアリルアミン類の設計,合成とその立体化学挙動

林, 純一 HAYASHI, Jun-ichi ハヤシ, ジュンイチ 九州大学

2020.04.30

概要

ある種のtrans-シクロアルケン類が面不斉を有することは古くから知られていたが,それらは官能基に乏しく有機合成化学的な有用性は低いと見なされていた.一方,先に当研究室では,ヘテロ9 員環分子が,室温において安定な面不斉を有することを明らかにするともに,その有機合成化学的応用と立体化学挙動に関して系統的に検討を行ってきた.その中にあって,高度に動的な面不斉を有するヘテロ中員環分子は,光学活性体として取り扱うことが困難であるために,これまで積極的には研究対象とされなかった.これに対して本研究では,高度に動的な面不斉を有するヘテロ中員環分子として,C4 位置換9 員環ジアリルアミン,及び10 員環ジアリルアミン類を設計,合成し,それらの立体化学挙動を精査するとともに,合成化学的な応用について検討した.

第1章「緒論」では,面不斉を有するtrans-シクロアルケン類と当研究室で開発された面不斉ヘテロ中員環分子の立体化学と光学活性体の調製法に関する既往の研究を概観するとともに,本論文において動的面不斉を有するヘテロ中員環分子を研究する意義と目的について述べた.

第2章「C4 位に置換基を有する9 員環ジアリルアミン類の合成と立体化学挙動」では,9 員環ジアリルアミンのE-アルケン上C4 位に導入した置換基と立体化学的安定性との相関について詳細に検討した.C4 位に置換基を有する種々の誘導体は,対応するヨウ素置換体に対する熊田・玉尾カップリング反応によって効率的に合成し,それらの立体化学的安定性は,溶液中,一定温度下における光学純度の経時変化を測定することで評価した.その結果,C4 位置換体の25 ºC における光学純度の半減期は数分〜数十時間であり,無置換体や C3 位に同じ置換基を有する誘導体に比べて高度に動的であることが明らかになった.また,置換基が嵩高くなる程,面不斉がより動的になる傾向が認められた.その様な面不斉の安定性に及ぼす置換基の効果について,ラセミ化の機構に基づいて考察した.さらに,当研究室で開発した動的不斉誘起法(DYASIN)によって C4 位置換体を光学活性体とした後に,立体特異的な変換を行い,立体化学的に安定な炭素中心性不斉を有する分子や準静的な面不斉を有する分子を,基質と同等の光学純度で得ることに成功した.

第3章「10 員環ジアリルアミン類の合成とその立体化学挙動」では,中員環ジアリルアミン類の立体化学的安定性に環員数やアルケンのE/Z 異性が及ぼす効果を明らかにするために, 9 員環ジアリルアミンのメチレン炭素を1つ増やした E,Z-10 員環ジアリルアミン及び,環内のアルケンが両方とも E-アルケンである E,E-10 員環ジアリルアミンを設計・合成し,それらの立体化学挙動を精査した.

無置換体及び,E-アルケン上,もしくは Z-アルケン上にメチル基を 1 つ導入した E,Z-10 員環ジアリルアミンの立体化学的安定性を温度可変1H NMR 実験やDFT 計算によって精査した結果,25 ºC 下,溶液中における光学純度の半減期が0.2〜1.4 秒程度と求まり,それらが光学活性体として取り扱うことは困難な分子であることが明らかになった.さらに E,Z-10 員環ジアリルアミンのアルケンを白金に配位させることで,立体化学的安定性を大きく向上させることに成功した.

一方,E,E-10 員環ジアリルアミンの立体化学的安定性を精査した結果,25 ºC 下,溶液中における光学純度の半減期は数分〜数十分であり,それらが0 ºC 付近で光学活性体を取り扱える程度に動的な面不斉を有することが明らかになった.さらに,その光学活性体に対して低温下に立体特異的な変換を行うことによって,その動的な面不斉を立体化学的に安定な炭素中心性不斉に,基質と同等の光学純度で変換することに成功した.

第4章「結論」では,本論文を総括した.

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