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大学・研究所にある論文を検索できる 「Astaxanthin ameliorat ed parvalbu m in posi tive neuron deficits and Alzheimer’s disease related pathological progression in the hippocampus of App NL-G-F/NL-G-F mice」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Astaxanthin ameliorat ed parvalbu m in posi tive neuron deficits and Alzheimer’s disease related pathological progression in the hippocampus of App NL-G-F/NL-G-F mice

本江 信子 富山大学

2020.03.24

概要

〔目的〕
アルツハイマー病( AD) は認知症の重要な病因であり、病理学的には、脳内のβ -アミロイドペプチド( Aβ) 等からなる老人斑およびリン酸化タウ( pTau) を伴う神経原線維変化が認められる。Aβはまたミクログリアの活性化も誘導することが知られている。
近年、ADおよび軽度認知障害を有するヒトの脳では、Aβによる酸化ストレスにより生体内抗酸化物質であるグルタチオン( GSH) が減少し、酸化ストレスがAD発症に関与することが示唆されている。一方、GABA作動性介在ニューロンである、パルブアルブミン( PV)陽性ニューロンは、γオシレーションを誘起して種々の認知情報処理に関与するが、PV陽性ニューロンは酸化ストレスに障害され易く、ADの認知障害に関連することが示唆されている。AD治療では、ADの臨床症状が発症する前にAβ凝集を阻止することが求められている。本研究では、ADの新しいマウスモデルを用いて強力な抗酸化力をもつカロテノイドの一種であるアスタキサンチン( AX)をAβ凝集出現前に投与し、記憶機能、AβやpTauの増加、ミクログリアの活性化およびPV陽性ニューロン障害に及ぼす影響を解析した。

〔方法並びに成績〕
方法
1) 動物
6週齢の雄性AppNL-G-F/NL-G-FマウスをAX摂取群( AppNL-G-F(AX)マウス, n=24) と非摂取群( AppNL-G-F(Ctrl)マウス, n=23) に分け、AX摂取群には0.02%のAXを含む餌を自由摂取させた。同齢のAX非摂取のC57BL/6Jマウス( WTマウス, n=25) を対照とした。

2) 行動学解析
6カ月齢において、バーンズ迷路課題を用いて、まずゴールの場所を学習させ( 9日間)、ゴール到達時間を測定した。24時間後のプローブテスト( PT) では、3分間におけるゴール訪問回数を計測した。

3) 免疫組織化学的解析
9カ月齢で脳を取り出し、PV抗体を用いて海馬PV陽性ニューロンを染色して同ニューロン密度をステレオロジー法にて解析した。また、Aβ凝集、ミクログリアおよびpTauは、Aβ 、Iba1およびpTau抗体を用いて、免疫組織化学的に解析した。

4) 生化学的定量
Aβ 42量は、海馬および前頭前野にてELISA法を用いて測定した。脂質過酸化マーカーである 4-ヒドロキシルノネナール修飾タンパク質( 4-HNE)量は、4-HNE抗体を用いてslot blot法により海馬領域にて定量した。抗酸化物である総グルタチオン( GSH) 量は、酵素リサイクリング法を用いたDTNB[5,5'-dithiobis (2-nitrobenzoic acid)]発色を利用して定量した。

結果
1) 行動解析
学習時におけるゴール到達時間には3群のマウスで差が認められなかった。プローブテストにおけるゴール訪問回数は、WTマウスに比べてAppNL-G-F(Ctrl)マウスで減少の傾向にあり、 AppNL-G-F(Ctrl)マウスに比べてAppNL-G-F(AX)マウスで有意に増加した。

2) 免疫組織化学的解析
海馬のPV陽性ニューロン密度は、AppNL-G-F(Ctrl)マウスと比べてAppNL-G-F(AX)マウスで有意に増大した。また、海馬領域をAβ、Iba1およびpTauに対する抗体にて免疫染色した陽性面積は、WTマウスに比べてAppNL-G-F(Ctrl)マウスで大きく、AppNL-G-F(Ctrl)マウスに比べて AppNL-G-F(AX)マウスで有意に小さかった。さらにIba1/Aβ比は、AppNL-G-F(AX)マウスにおいて WTマウスおよびAppNL-G-F(Ctrl)マウスに比べて有意に高く、AX摂取によるマイクログリアの活性化が示唆された。

3) 生化学的定量
海馬のAβ 42量は、WTマウスに比べてAppNL-G-Fマウスで有意に増大したが、AppNL-G-F(Ctrl)マウスに比べてAppNL-G-F(AX)マウスでは有意に減少した。4-HNE量は、WTマウスに比べてAppNL-G-Fマウスで有意に高く、AppNL-G-Fマウスの両群間に差は認められなかった。一方、GSH量では、 WTマウスに比べてAppNL-G-F(Ctrl)マウスで有意に減少したが、AppNL-G-F(Ctrl)マウスに比べて AppNL-G-F(AX)マウスでは有意に増加した。

4) 相関解析
免疫組織化学的解析におけるAβ、Iba1およびpTauの面積は互いに有意な正相関の関係にあり、それぞれはバーンズ迷路課題のプローブテストにおけるゴール訪問回数と有意な負相関を示した。

〔総括〕
本研究では、AppNL-G-Fマウスにおいて記憶力の低下、Aβ 42の蓄積、pTauの増加およびミクログリアの活性化( Iba1/Aβ比の増加) が認められ、その相関分析によりAβの凝集がトリガーとなりADが発症とするというアミロイドカスケード理論を補強するデータが得られた。 AppNL-G-F(Ctrl)マウスにおいてAXが示したADの予防的効果の作用機序として、1) 生体内抗酸化力の上昇によるPV陽性ニューロン密度の増加、2)γオシレーション増強によるミクログリアの活性化およびミクログリアによるAβ取り込みの増加を介したAβ蓄積の抑制、3) GSH合成系であるNrf2/AREシグナル伝達系はオートファジーも活性化することから、オートファジー増強によるpTauの分解の亢進によるpTauの減少等が示唆された。

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