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大学・研究所にある論文を検索できる 「特発性心室期外収縮に対するアブレーション治療におけるエピネフリン負荷の有効性と安全性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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特発性心室期外収縮に対するアブレーション治療におけるエピネフリン負荷の有効性と安全性

篠田, 康俊 筑波大学

2021.02.04

概要

目的:
特発性心室期外収縮(PVC)に対する経皮的カテーテルアブレーション治療中の臨床的PVCの消失はアブレーション治療不成功の一因となる。一般的にPVCの誘発にはイソプロテレノールが使用されるが、イソプロテレノール投与でもPVCが出現しないこともあり、誘発方法にコンセンサスはない。イソプロテレノール投与下でもPVCが出現しない場合にエピネフリンの投与を行い、エピネフリンのPVCの誘発における有効性、安全性を調査する。ならびにイソプロテレノール、エピネフリン投与後の血圧、脈拍の変化を調査し、PVCの発生との関連を調査する。

対象と方法:
2014年1月から2015年9月までの間に、筑波大学附属病院にて特発性心室期外収縮に対してアブレーション治療が行われた連続78症例を後ろ向きに調査した.

術前に心臓超音波検査や冠動脈造影にて器質的心疾患がないことを確認した。78人の患者のうち、手技の開始時に臨床的PVCを認めた58人とカテーテルによるペーシングでPVCが誘発された2人をあわせてpatients with PVC群とした。ペーシングでもPVCが誘発されなかった18人に対してイソプロテレノールとエピネフリンを使用した薬剤誘発試験が行われ、patients without PVC群と定義した。最初にイソプロテレノール10µgの投与を行った。薬剤が代謝されるまでの10分間を待機時間として、脈拍と血圧がベースラインに戻ったことを確認後、PVCが誘発されない場合にエピネフリン10µg投与が行われた。薬剤によりPVCが誘発された場合は、PVC中の早期電位記録部位への治療を行った。PVCが誘発されない場合はペースマッピングにより治療部位を決定した。

結果:
イソプロテレノール投与により5人(28%)の患者でPVCが誘発された。残りの13人にエピネフリンが投与されそのうち7人(39%)でPVCが誘発され、残りの6人(33%)では薬剤によりPVCが誘発されなかった。イソプロテレノールで誘発された患者,エピネフリンで誘発された患者、薬剤投与により誘発された患者で心電図学的特徴や、PVCの起源に明らかな差は認めなかった。EPI投与後の最大脈拍(HR)、HR変化(最大HR―ベースラインHR)はISP投与後の最大HR、HR変化ともそれぞれ有意に低かった(99 ± 15 bpm vs. 137 ± 15 bpm, p<0.001; 22 ± 10 bpm vs. 53 ± 12 bpm, p<0.001, respectively)。PVCが出現した時の脈拍はISP群がEPI群より有意に高かった(110 ± 11 bpm vs. 88 ± 12 bpm, p=0.01)。イソプロテレノール、エピネフリン投与による合併症(心電図変化、頭痛動悸などの症状)はすべての患者で認めなかった。

考察:
本研究ではイソプロテレノール投与でPVCが誘発されなかった患者のうち53%の患者においてエピネフリンの投与により、合併症なしにPVCが誘発された。エピネフリン投与後の脈拍の上昇はイソプロテレノール投与後に比べて有意に低かった。イソプロテレノールは非選択的β刺激薬であり、β受容体刺激により脈拍の増加、血圧の低下が起こる。一方で脈拍の増大は、拡張期時間の減少により時として不整脈の出現を抑制しうる。エピネフリンはβ受容体だけでなくα受容体も刺激する。投与後の血圧上昇により圧受容体反射を起こしそれにより脈拍の増大が抑制される。イソプロテレノール同様カテコラミン作用があると同時に、薬剤投与による頻拍が抑制されることがPVC誘発の一因と考えられる。PVCが誘発できることにより起源同定のためにペースマッピングだけでなくアクチベーションマッピングが可能となりより治療成績の向上につながると考えられる。PVCの誘発の第一選択肢であるイソプロテレノール投与でもPVCが出現しない場合にエピネフリン投与が考慮される。

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