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Cardiac and vasomotor baroreflexs are functional during local anesthesia with mepivacaine

清水 千昌 広島大学

2020.03.23

概要

論 文 全 文 要 約
Cardiac and vasomotor baroreflexs are functional
during local anesthesia with mepivacaine
(メピバカインを応用した歯科的局所麻酔が
圧受容器反射感受性に与える影響)

主指導教員:岡田 芳幸教授
(広島大学病院 障害者歯科学)
副指導教員:栗原 英見教授
(医系科学研究科 歯周病態学)
副指導教員:香西 克之教授
(医系科学研究科 小児歯科学)

清水 千昌
(医歯薬保健学研究科 医歯薬学専攻)


【緒言】
本邦を含む先進国では高齢化が進み、それに伴って心血管疾患患者が増加しているという
報告がある。すなわち、加齢で循環予備力が低下した患者、循環器疾患を併発した患者が歯
科医院を訪れる機会が増加し、そのため局所麻酔使用時の脳出血、心筋虚血等の危険性も高
まっている。通常、歯科治療で使用する局所麻酔薬はアドレナリン含有 2%リドカインである
が、心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧が有意に上昇するため、循環器疾患患者では血管収縮
薬を含有しない 3%メピバカインが推奨されている。しかしながら、3%メピバカインの心血
管系への影響は単位時間当たりの血圧平均値が使用前後で差がないという報告から評価され
たのみで、歯科治療ストレスのような血圧変動要因に対する血圧維持能への影響については
不明のままである。血圧が安全域から一時的に逸脱することで心血管系イベントが発生する
ことを考慮すると、血圧を定常に保つ能力が維持されるか否かがより重要となる。
血圧が変動すると頸動脈洞と大動脈弓に存在する圧受容器がそれを感知し、血管運動中枢
である延髄孤束核へ求心性に信号を伝える。血圧中枢に血圧の変動が伝わると、筋交感神経
活動(MSNA)の活性/非活性を介し、血管収縮/弛緩を起こすことで末梢血管抵抗を調節し、
血圧を圧受容器反射の目標設定値(オペレーティングポイント)の周囲に保持し、安定させ
る。また、心臓では心拍数の上昇/低下を介して心拍出量を増加/減少させることで、同様に
血圧を維持する。以上の反射経路における受容器からの入力刺激と効果器への遠心性の信号
を踏まえ、中枢性血圧維持能は血圧に対する交感神経・心拍数の反応性、つまり、圧受容器
反射感受性で評価される。圧受容器反射感受性が低下した場合、血圧の上昇あるいは低下が
より大きくなってはじめて同程度の MSNA や心拍数の変化が起こるため、オペレーティング
ポイント周囲の血圧変動はより大きくなる。この場合、オペレーティングポイントを保って
いて、血圧の平均値に変化がなくても血圧調節が不安定な状態となっているといえる。そこ
で、我々は局所麻酔としてメピバカインを応用した場合に圧受容器反射感受性が維持される
か否かを評価することとした。今回、心電図による心拍数測定とともに、マイクロニューロ
グラフィーを用いてヒト MSNA を直接測定することで、メピバカインを応用した歯科的局所
麻酔時に交感神経性圧受容器反射感受性は維持されるという仮説を検証した。

【方法】
対象は、年齢 20 歳以上 40 歳未満の健康な成人男性 10 人とした。室温、湿度および呼吸数を
一定にコントロールした環境下で、3%メピバカイン(MPV)、生理食塩水(CNT)3.6ml をそ
れぞれ被験者口腔粘膜内に浸潤させた状態で、連続動脈圧、心拍数、SpO2、および腓骨神経内
の MSNA を測定した。5 分間の安静時データを収集した後、前腕皮静脈から 100 ㎍ sodium
nitroprusside を、60 秒後に 150 ㎍ phenylephrine をボーラス投与することで血圧変化を誘発
し、心拍数、MSNA の反応を記録した(オックスフォード変法)。圧受容器反射特性は各条件下
で、動脈圧の変動に対する心拍応答あるいは筋交感神経の応答から評価した。感受性算出方法と
して収縮期血圧と心拍数、拡張期血圧と筋交感神経活動のペアを X-Y 座標上にプロットするこ

とで算出される直線回帰式の傾きから心臓性、及び交感神経性圧受容器反射感受性を求めた。一
方、オペレーティングポイントは安静 5 分間の動脈圧、心拍数、MSNA の平均値から求めた。

【結果】
収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧、MSNA で CNT と MPV で有意差を認めなかった。一
方、心拍数は MPV で有意に上昇していた。心臓性および交感神経性圧受容器反射感受性はいず
れも CNT と MPV で差を認めなかった。

【考察】
MPV により血圧の平均値は変化しないことから、MPV は血圧中枢で設定されるオペレーテ
ィングポイントに影響を及ぼさないと考えられた。また、圧受容器反射感受性は低下することな
く維持され、血圧中枢の目標設定値に対する遠心路反応は変化しないことが明らかとなった。以
上のことから、MPV が歯科治療ストレスに対して血圧が安全域を逸脱し危険域へ変化するリス
クを上昇させることはないことが示唆された。
今回評価した MPV は局所麻酔薬において血圧変動を正常な状態に維持することが分かり、リ
スク上昇回避には有効であることが示された。高齢化社会で循環予備力が低下した患者が増加
しているため、歯科治療時の結果回避義務として血圧値だけでなく、血圧維持機構も保つ方法を
選択することが重要であると考える。

【結論】
メピバカインを応用した歯科的局所麻酔による圧受容器反射感受性の低下を認めず、中枢性血
圧調節機構に影響を及ぼさないことが示唆された。

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